【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (116 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
培養結果・画像検査等から合理的に感染症が証明できない場合は、開始した抗菌薬の継続は不
必要であると判断される。また、標準治療期間を超過して継続される抗菌薬も不必要と判断され
る(不必要:Unnecessary)
。
投与量や投与間隔がその患者の腎機能から推奨される量ではない場合や推奨される投与方法で
はない場合も不適切であると判断される(最適でない:Suboptimal)
。
上記のような抗菌薬投与は、耐性菌の増加 34、副作用の出現 35、そして CDI の発生につながる
ことが強調されている 36。内科入院患者に対する抗菌薬による副作用の頻度は、20%程度と言わ
れており、そのうち、不要な抗菌薬で 20%程度の副作用が起きていることが知られている 35。
③ 院内発熱における抗菌薬の選択の適正化の実際
治療開始から 72 時間の時点で(それより早く判断できる場合は待つ必要はない)
、
A) 治療経過、検査結果から治療対象となる細菌感染症が合理的に証明できない場合は開始した
抗菌薬を終了する。
B) 治療経過、検査結果から細菌感染症の病名を決定する。
C) MRSA 等抗 MRSA 薬が必要な菌の検出がなければ、抗 MRSA 薬は終了する。
D) カルバペネム系抗菌薬で経験的治療を開始した場合は、Extended-spectrum beta-lactamase
(ESBL)産生菌による菌血症、カルバペネム系抗菌薬でしか治療できない感染症、血液悪
性腫瘍患者における好中球減少性発熱でフォーカスが不明な重症例を除き、より狭域な抗菌
薬への変更を行う。
E) 偏性嫌気性菌を含む複数菌が関与する感染症がない場合は、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗菌
薬以外の抗菌薬へ変更を行う。
F)
適切な抗菌薬が投与されており、患者の状態が安定している場合には、あえて途中から広域
抗菌薬に変更するメリットはない 37。
G) 重症例、または抗菌薬を終了することによる懸念が強い場合には、診断された感染症病名に
応じた治療期間を設定する。不必要な抗菌薬の因子として診断名の不確かさが指摘されてお
り、診断をつけることはすなわちそれが抗菌薬適正使用につながる 38。
④ 特定の状況に関する適正化
A) フルオロキノロン系抗菌薬は、フルオロキノロン系抗菌薬が第 1 選択となる感染症、又はフ
ルオロキノロン系抗菌薬以外の代替薬がない場合に限り使用する。高齢者では頻度は低いが、
重篤な副作用が報告されている 39。
B) 重症の市中発症の消化管穿孔や院内発症の腹腔内感染症(臓器/体腔の SSI)で Candida spp.
が検出された場合は治療対象とする 40。
C) 血液培養で黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌が 1 セットでも検出された場合は、原則として
治療対象とし、複数菌感染症ではない状況であれば、検出された菌のみをカバーする抗菌薬
へ適正化する 41。
D) 好中球減少性発熱では、原則として抗緑膿菌活性のある抗菌薬を継続するが、バイタルサイ
ンが落ち着いていれば培養結果に基づき抗菌薬を適正化することも可能である 42。血液悪性
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