【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (80 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
(4) 急性気管支炎
急性気管支炎とは咳を主症状とする下気道の炎症で、その多くはウイルス性で自然軽快する
診断のための検査は基本的には不要だが、流行状況や所見から臨床的に肺炎や百日咳が疑わ
れる場合は除外診断のための検査を施行する。
【抗菌薬に関する推奨】
急性気管支炎に対して抗菌薬を投与しないことを推奨する。
急性気管支炎とは
(i)
急性気管支炎とは咳を主症状とする下気道の炎症であり、発熱や痰の有無は問わない。上気道
炎や急性鼻副鼻腔炎との明確な区別は困難なことが多いが、本手引きでは急性気道感染症のうち
咳を主症状とするものを急性気管支炎として扱う。なお、小児においては、喘鳴を伴う乳幼児の
急性細気管支炎を考慮する必要があり、これについては次項に記載する。
(ii)
急性気管支炎の疫学
原因微生物のほとんどはウイルス性であるとされている 60 が、他にもマイコプラズマやクラミ
ジア、百日咳菌に注意が必要である。また、乳幼児で 3 週間以上にわたって咳を呈する場合には、
肺炎球菌や H. influenzae 等の細菌感染が関与する遷延性細菌性気管支炎という疾患概念が提唱さ
れている 44,61,62。その一方で、同様の症状を呈することがある小児の鼻副鼻腔炎との区別は困難
なことが多い。
(iii)
診断と鑑別
急性気管支炎の明確な診断基準はなく、急性気道感染症のうち咳嗽を中心とした下気道の症状
や聴診上のラ音等の所見があり、呼吸状態や画像所見から肺炎が除外されたものをいうことが多
い 23。小児呼吸器学会・小児感染症学会における指針では、聴診上、下気道副雑音があるが、胸
部 X 線上明らかな異常陰影を認めない状態と定義されている 23。
臨床診断が主なため一般的に急性気管支炎を診断する目的での検査は不要であることから、検
査は他の鑑別診断を除外する目的で行われる 63。
10 日以上咳が遷延する症例については、湿性咳嗽を伴う場合は、鼻副鼻腔炎、遷延性細菌性
気管支炎、非定型肺炎が考慮される。稀ではあるが結核にも留意が必要である。その他、気管支
喘息、気道異物、胃食道逆流等鑑別は広い。
なお、小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2022(小児呼吸器感染症診療ガイドライン作成委
員会)では 1 歳未満の小児における咳の鑑別として、特徴的な「吸気性笛声」「発作性の連続性
の咳こみ」
「咳こみ後の嘔吐」
「チアノーゼの有無は問わない無呼吸発作」のうち 1 つ以上を臨床
的百日咳と定義している。1 歳以上の小児においては上記の基準に加えて、1 週間以上の咳があ
ることが求められる。確定診断には百日咳菌の分離培養あるいは核酸増幅法(PCR 法や LAMP
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