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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (111 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

表 1. 感染症評価の際の評価項目とそのポイント
バイタルサイン
体温

ポイント


体温の高さは必ずしも重症度を反映しない。また、体温の高さで血液培養の陽
性率は変わらず 11、むしろ低体温の方が重篤な場合がある。

呼吸数



頻呼吸は敗血症患者では鋭敏な指標となる。



qSOFA では≥22 回/分は 1 つの指標とされている 12。



ただし、慢性疾患のある高齢者では 16-25 回/分が正常と言われており、要注意
は 30 回/分以上である 13。

血圧



血圧や脈拍数は集中治療室では薬剤等で管理されていても呼吸数は早くなる。



明らかな低血圧でなくとも、普段の血圧より低い場合にはショックの予兆であ
る可能性がある。

脈拍数



特に脈拍と収縮期血圧が逆転する時には注意が必要である。



qSOFA では収縮期血圧≤100mmHg を 1 つの基準としている 12。



発熱に伴い脈拍数は増加するが、高齢者や β 遮断薬等の薬剤を内服中の患者で
は増加しにくい。

意識レベル



いつもと比較してレベルが悪い、急にせん妄になった、日頃と比べて機嫌が悪
いというのは、すべて意識障害と考え、敗血症では初期に出現する症状である
と言われている。



qSOFA でも意識レベル変化は 1 つの指標とされている 12。

入院患者で有用な指標

ポイント

食事量



食事量の低下を伴う発熱は、菌血症の指標になる 14。

悪寒、戦慄



軽い悪寒(ジャケットを羽織りたくなる状況)
、悪寒(ブランケットを羽織りた
くなる状況)
、戦慄(厚いブランケットをしてもブルブルしている状況)は、そ
れぞれ菌血症のオッズ比が 1.8、4.1、12.1 と報告されている 15。

血糖値



入院中に血糖値が測定されている患者が原因不明の低血糖となった場合も、敗
血症の予兆であることがある 16。

日常臨床で頻用される白血球数(WBC)
、C 反応性蛋白(CRP)は、他の様々な要因で変動す
るため経験的治療に対する主たる指標として推奨されない 17。プロカルシトニンは細菌感染症に
対して特異的と言われているが、院内の菌血症患者における感度は十分ではないという報告もあ
る 1。プロカルシトニンが陽性だったとしても、原因臓器や原因微生物の推定には寄与しないた
め、どの抗菌薬を選択するか、といった判断に何ら影響しない。よって、単一の数値のみで判断
をせずに、発熱以外のバイタルサイン、悪寒戦慄の有無、食事量の低下や低血糖等の敗血症の前
兆を見逃さないことが重要である。上記徴候に加えて、臓器障害があれば重症であり、より初期
治療選択が重要になる。臓器障害評価の 1 つとして既述の SOFA スコアがある 18。

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