【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (40 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
経静脈的輸液が必要になる危険性が高い者は、血便、持続する嘔吐、尿量の減少、眼窩の陥凹及
び意識レベルの低下のある者とされている 14。
ORS は、急性下痢症に対する世界標準の治療であり 97,112、その有効性だけではなく、血管確
保が不要で患者への負担も少ないという利点も大きく、脱水のない状況での脱水予防や軽度から
中等症の脱水に対する治療として推奨されている 97,112。
具体的な脱水への対応としては、できるだけ早期(脱水症状出現から 3~4 時間以内)に、
ORS を少量(ティースプーン 1 杯程度)から徐々に増量しつつ、脱水量と同量(軽症から中等
症脱水ならば 50mL/kg~100mL/kg)を 2~4 時間で補正することが重要とされている 112。なお、
下痢に対する止痢薬は科学的根拠に乏しく推奨されていない 112。
(ii)
小児に対する抗菌薬の適応
小児の急性下痢症の多くはウイルス性のため、抗菌薬は、無効であるばかりか、腸内細菌叢を
乱し、菌交代現象を引き起こすため、使用すべきではないと指摘されている 100,112。細菌による
急性下痢症が疑われる場合であっても、多くは自然軽快するため、抗菌薬の使用は不要と指摘さ
れている 100,112。なお、海外の指針でも、便培養検査の結果を踏まえて抗菌薬治療を行う必要が
ある状況としては、全身状態が不良又は免疫不全者のサルモネラ腸炎やカンピロバクター腸炎等
一部の症例に限定されている 112,127。
(iii)
サルモネラ腸炎
健常者における軽症※のサルモネラ腸炎に対しては、抗菌薬を投与しないことを推奨する。
※軽症とは、日常生活に支障のない状態を指す。
検査の結果、原因微生物がサルモネラ腸炎と判明した場合であっても、非チフス性サルモネラ
属菌による腸炎に対する抗菌薬治療は、基礎疾患のない成人において、下痢や発熱等の有症状期
間を短縮させず、かえって保菌状態を長引かせることが報告されている 128。このことから、本
手引きでは、健常者における軽症のサルモネラ腸炎に対しては、抗菌薬を投与しないことを推奨
する。
なお、サルモネラ腸炎の重症化の可能性が高く、抗菌薬投与を考慮すべき症例としては、以下
が示されている 129。
3 か月未満の小児又は 65 歳以上の高齢者
ステロイド及び免疫抑制剤投与中の患者
炎症性腸疾患患者
血液透析患者
ヘモグロビン異常症(鎌状赤血球症等)
腹部大動脈瘤がある患者
心臓人工弁置換術後の患者
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