【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
物薬の不適正使用の頻度・割合は現状として判然としないものの、米国では処方された抗微生物
薬の少なくとも 30%程度は不適正使用であることが示されており 7、日本においても、65 歳以下
の患者の下痢症で過剰に抗菌薬が処方され 8、小児の肺炎でガイドラインを遵守して抗菌薬を処
方している施設が 4 分の 1 しかない 9。一方で、小児抗菌薬適正使用加算導入により対象年齢の
抗菌薬処方が減少し、加えて医療提供者に対する教育効果により全年齢で抗菌薬処方を減少させ
ていた 10。そのため、日本でも引き続き抗微生物薬の適正使用を推進していくことが必要である。
このような経緯のもと、本手引きでは、適正な感染症診療に係る指針を明確にすることで、抗
微生物薬の適正使用を推進していくことを目指している。
(2) 策定の目的
本手引きの策定の主たる目的は、適正な感染症診療が広がることで、患者に有害事象をもたら
すことなく、抗微生物薬の不適正使用を減少させることにある。日本の薬剤耐性(AMR)アク
ションプラン(2023-2027)の成果指標では「2027 年までに人口千人あたりの一日抗菌薬使用量
を 2020 年の水準から 15%減少させる」、
「2027 年までに人口千人あたりのカルバペネム系の一
日静注抗菌薬使用量を 2020 年の水準から 20%削減する」こと等が設定されている 1 が、これら
は適正な感染症診療の普及を進めた結果としての成果と考えるべきである。
(3) 手引きの対象
本手引きの第二版においては、主に外来診療を行う医療従事者を対象として作成していた。し
かし、今回第三版に改訂するにあたり、入院患者における抗微生物薬適正使用に関する項も追加
し、より幅広い患者を対象としたものとなるよう、内容のさらなる充実を図った。なお、推奨事
項の内容は、抗微生物薬の適正使用の概念の普及、推進を遂行するために欠かせない、処方を行
わない医療従事者や患者も対象とした内容としていることから、すべての医療従事者や患者にご
一読頂きたい。
(i)
一般外来編
外来診療を行う医療従事者の中でも、特に診察や処方、保健指導を行う医師を対象として作成
した。上述の通り、日本の抗微生物薬使用の多くは経口抗菌薬であること、さらに使用量が多い
経口抗菌薬である第 3 世代セファロスポリン系抗菌薬、フルオロキノロン系抗菌薬、マクロライ
ド系抗菌薬の処方の多くは外来診療で処方されていることが推測されるため、各論の前半部分で
は、外来診療で各医療従事者が主に抗微生物薬の必要な状況と必要でない状況を判別できるよう
支援することを念頭に置いた内容とした。
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