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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (42 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

なお、これらの指針では、EHEC 腸炎に対する止痢薬に関しては、HUS 発症の危険性を高くす
るため使用しないことが推奨されている 100,134,135。

(5) 患者・家族への説明
急性下痢症の多くは対症療法のみで自然軽快するため、水分摂取を推奨し脱水を予防すること
が最も重要である。一方、下痢や腹痛をきたす疾患は多岐に渡るため、経過を見て必要があれば
再受診すべき旨を伝える必要がある。
表 7. 急性下痢症の診療における患者への説明で重要な要素
1) 情報の収集

 患者の心配事や期待することを引き出す。
 抗菌薬についての意見を積極的に尋ねる。

2) 適切な情報の提供

 重要な情報を提供する。
– 下痢は 1 週間程度続くことがある。
– 急性下痢症の大部分は自然軽快する。
– 身体が病原体に対して戦うが、良くなるまでには時間がかかる。
 抗菌薬に関する正しい情報を提供する。
 十分な栄養、水分をとり、ゆっくり休むことが大切である。

3) まとめ

 これまでのやりとりをまとめて、情報の理解を確認する。
 注意するべき症状や、どのような時に再受診するべきかについての具体的な指示
を行う。

【医師から患者への説明例:成人の急性下痢症の場合】
症状からはウイルス性の腸炎の可能性が高いと思います。このような場合、抗生物質はほとん
ど効果がなく、腸の中のいわゆる「善玉菌」も殺してしまい、かえって下痢を長引かせる可能性
もありますので、対症療法が中心になります。脱水にならないように水分をしっかりとるように
してください。一度にたくさん飲むと吐いてしまうかもしれないので、少しずつ飲むと良いと思
います。下痢として出てしまった分、口から補うような感じです。
下痢をしているときは胃腸からの水分吸収能力が落ちているので、単なる水やお茶よりも糖分
と塩分が入っているもののほうが良いですよ。食べられるようでしたら、お粥に梅干しを入れて
食べると良いと思います。
一般的には、強い吐き気は 1~2 日間くらいでおさまってくると思います。下痢は最初の 2~3
日がひどいと思いますが、だんだんおさまってきて 1 週間前後で治ることが多いです。
ご家族の人になるべくうつさないようにトイレの後の手洗いをしっかりすることと、タオルは
共用しないようにしてください。
便に血が混じったり、お腹がとても痛くなったり、高熱が出てくるようならバイ菌による腸炎
とか、虫垂炎、俗に言う「モウチョウ」など他の病気の可能性も考える必要が出てきますので、
そのときは再度受診してください。万が一水分が飲めない状態になったら点滴が必要になります
ので、そのような場合にも受診してください。

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