【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (113 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
りではなく、副作用・耐性菌のリスクが上昇するため、これらを遵守することが患者のアウトカ
ム改善の視点でも重要といえる 22。
腎機能に応じた投与計画をもとに、病棟薬剤師や AST から疑義照会があった場合には、それ
をオーダーに反映する必要がある。
培養結果の解釈
(iv)
要旨
培養結果=真の原因微生物とは限らない。
それぞれの臓器ごとに原因微生物の頻度は異なるため、検出された微生物の種類だけでなく、
その微生物が検出された培養検体の種類にも注目する。
尿培養で黄色ブドウ球菌が検出された場合は、UTI の可能性は低く、血流感染症の可能性を
検討すべきである
コンタミネーション(汚染菌)となりやすい細菌が血液培養 2 セット中 1 セットから検出さ
れた場合はコンタミネーションの可能性が高く、2 セット中 2 セットとも検出された場合は
真の原因菌と考える。
① 培養結果の解釈
培養から検出される菌は、検体によっては定着菌(保菌)の可能性があり、必ずしも培養で検
出された菌=治療対象とはならない。この原則は、後述する「入院患者の感染症で問題となる微
生物」においても当てはまり、たとえ薬剤耐性菌が検出されても定着菌であれば、治療対象とす
る必要はない。臨床所見やグラム染色所見等を合わせて、真の原因菌かどうか常に検討すべきで
ある。
病院内での肺炎をきたす微生物は耐性グラム陰性桿菌や黄色ブドウ球菌が多い。呼吸器検体か
ら表皮ブドウ球菌やカンジダ、腸球菌が培養されたとしても通常は原因菌とは考えない。病院内
での UTI は耐性グラム陰性桿菌や腸球菌が多い。カンジダや黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌は
通常原因菌とは考えない。ただし、尿培養から黄色ブドウ球菌が検出された場合、約 27%で血流
感染を合併するため、炎症反応の上昇があれば血液培養も採取すべきである 23。糖尿病足壊疽で
表面を擦過した検体は真の原因菌ではなくコンタミネーションの可能性が高い。
② 血液培養検査の結果
血液培養から検出された菌のうち、真の原因菌かコンタミネーションかは菌種によって判断が
異なる。
肺炎球菌や A 群 β 溶血性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌、カンジダ等は 1 セット
でも検出されたら真の原因菌と考える。一方で、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Coagulasenegative Staphylococci: CNS)
、Cutibacterium(旧 Propionibacterium)spp.(Propionibacterium
acnes は Cutibacterium 属に再分類された)、Corynebacterium spp.、Bacillus spp.等が 1 セットの
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