【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (31 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
究によると、除菌率は有意にアモキシシリン治療群で高く(アモキシシリン治療群 91.7%、セフ
ァロスポリン系抗菌薬治療群 82.0%、p=0.01)、再発率に差はなかったことが報告されている 78。
このようなことから、本手引きでは、小児においても、迅速抗原検査又は培養検査で GAS が
検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬投与を検討することを推奨することとし、その際には、ア
モキシシリンを 10 日間経口投与することとする。
なお、前述のように、急性咽頭炎の鑑別診断については、緊急度・重症度が高い疾患を含めて
多岐に渡るため、急性咽頭炎を疑った時には GAS による急性咽頭炎のみを念頭に置かないよう
に注意する必要があり、また、遷延する咽頭炎の症例については専門医への相談も考慮する必要
があると考えられる。
(iv)
急性気管支炎
慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない成人の急性気管支炎(百日咳を除く)に対して
は、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
急性気管支炎に関しては、一律の抗菌薬使用には利点が少なく、利点よりも副作用の危険性が
上回ることが報告されており 79、JAID/JSC 及び ACP/CDC の指針でも、慢性呼吸器疾患等の基礎
疾患や合併症のない急性気管支炎の患者に対する抗菌薬投与は基本的には推奨されていない 21,59。
また、成人の肺炎を伴わないマイコプラズマによる急性気管支炎に対する抗菌薬治療については、
その必要性を支持する根拠に乏しいと指摘されている 21,59。
このようなことから、本手引きでは、成人の百日咳を除く急性気管支炎に対しては、抗菌薬投
与を行わないことを推奨する。ただし、前述のように、学童期の小児については、肺炎への移行
の可能性も考慮して、患者を経時的に診るという視点が重要である。特に、小児のマイコプラズ
マに対するマクロライド系抗菌薬投与については各指針で推奨されており 14,65,80、マイコプラズ
マやクラミジア・ニューモニエに関連して数週間遷延する咳又は難治性の咳についてはマクロラ
イド系抗菌薬の有用性が報告されている 81,82。ただし、慢性呼吸器疾患や合併症のある成人で、
発熱、膿性痰を認める場合は、喀痰のグラム染色を実施して細菌感染の有無を確認し、グラム染
色所見で細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を投与することが望ましい。
百日咳については、カタル期(発症から 2 週間程度)を過ぎてからの治療は自覚症状の改善に
は寄与しないが、1 歳以上では発症から 3 週間以内の治療は周囲への感染の防止には寄与しうる
ことが指摘されている 59,83。JAID/JSC 及び CDC の指針では、百日咳に対してはマクロライド系
抗菌薬が第一選択薬とされており、成人に対する治療期間については、アジスロマイシンは初日
500mg、2 日目以降 250mg/日で計 5 日間の投薬、又はアジスロマイシン 1 回 500mg を 1 日 1 回
経口投与、計 3 日間が標準的とされている 59,83,84。ただし、添付文書では、小児用クラリスロマ
イシンとエリスロマイシンについては百日咳が適応症として含まれている一方で、アジスロマイ
シンについては百日咳が適応症には含まれていないが、保険審査上は認められる 84。この時のエ
リスロマイシンの用法・用量は、「通常、成人にはエリスロマイシンとして 1 日 800-1,200mg
(力価)を 4-6 回に分割経口投与する。小児には 1 日体重 1kg あたり 25-50mg(力価)を 4-6 回
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