【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (115 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
治療開始 72 時間以内であっても患者の状態が悪化する場合には、原因臓器、原因微生物、
抗菌薬選択について再検討する。
① 治療効果と培養結果判定のタイミング
初期治療において適切な抗菌薬を選択することは難しく、不適切な使用や不要な抗菌薬が投与
されている場合も少なくない(補遺 p1 参照)
。
よって、治療開始後は適切に治療効果を評価し、培養検査の結果等を参考にして抗菌薬治療を
適正化することが必要である。入院患者に対して開始した経験的治療の抗菌薬に対する治療評価
と抗菌薬の適正化は、治療開始 72 時間後を推奨する 26-29。
血液培養は検査が開始され 48 時間以上陰性であれば、99.8%は陰性であることが報告されて
いる 30。好中球減少性発熱の患者における菌血症も 24 時間以内に血液培養は 90%以上で陽性に
なることが報告されている 31。カンジダは一般細菌と比べてより長い発育時間を要するが、院内
発熱で問題となる真菌のほとんどは培養開始から 72 時間以内に陽性となる。
喀痰培養、尿培養も感受性まで判明していない場合もあるが、原因菌として優位な菌がいるか
どうかは判明している。そして、抗菌薬が奏効していれば、グラム染色では、培養結果が出る以
前に菌数の減少や菌の消失を確認することができる。UTI については、数時間後には菌減少を確
認することができる。そして、肺炎、UTI は、72 時間経過した時点で改善を認めているかどうか
が治療効果判定の目安とされている 29,32。
細菌検査を外部機関に委託している施設では輸送の分だけ評価タイミングが遅れる可能性があ
る。
日々、患者を評価することは重要であるが、実臨床において 72 時間後というのは、
A) 培養検査の結果のほとんどが判明し、感染症診断及び原因微生物診断が確立(あるいは疑い
が否定)できるタイミング
B) 抗菌薬治療に対する効果が確認できるタイミング
であるため上記時間を推奨した 33。なお、それよりも早期に適正化できる情報があるのであれ
ばその時点で適正化することはむしろ望ましい。
② 適切性の評価
経験的治療で開始した広域抗菌薬が、対象疾患に対して安全かつ有効であったとしても、その
疾患が狭域の抗菌薬で治療可能かつ治療に関するエビデンスがある場合、現在使用している広域
抗菌薬は不適切と判断される。その理由の一つは、上記状況では広域抗菌薬の過剰使用につなが
り、患者自身及び集団における耐性菌のリスクを増大させてしまうからである。もう一つの理由
として、感染症病名ごとに第 1 選択薬が存在するが、多くは狭域抗菌薬であり、第 1 選択ではな
い広域抗菌薬を使用し続けることで治療失敗のリスクを高めてしまうからである(不適切:
Inappropriate)
。
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