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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (74 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

(iv)

第三版

抗菌薬治療

上述のように、急性咽頭炎の多くはウイルス性で抗菌薬の適応ではない。一方で、抗菌薬処方
を迅速検査又は培養検査で GAS が検出された場合のみに限ると、不要な抗菌薬使用を減らすこ
とができるという報告が存在する 39。
このことから、本手引きでは、GAS 咽頭炎が強く疑われ、かつ、迅速抗原検査もしくは培養
検査において陽性であった場合にのみ、抗菌薬投与を検討することを推奨する。
以下、GAS 咽頭炎の治療法を主体に述べる。
① GAS 咽頭炎の治療目的
GAS による急性咽頭炎に対する抗菌薬使用の目的は 3 つある。
第一目的は、GAS 除菌による急性リウマチ熱(Acute rheumatic fever: ARF)予防である。
GAS 咽頭炎発病から 9 日以内の抗菌薬開始で ARF 予防効果が証明されている 40。
第二の目的は、速やかな症状緩和である。一般的に GAS 咽頭炎による諸症状は 3~4 日で軽快
するが、抗菌薬はその有症状期間を半日から 1 日短くする 41。
第三の目的は、周囲への感染伝播防止である。早期の抗菌薬開始で、周囲への伝播を減らすこ
とができる 42。その結果、保護者が早期に職場復帰できることより、社会的損失を回避すること
が可能となる。
② GAS 咽頭炎に対する第一選択抗菌薬
GAS はすべてのペニシリン系抗菌薬に対して感性である。IDSA のガイドラインではペニシリ
ン系抗菌薬が推奨されている 43。また日本の小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2022 では、
GAS 咽頭炎にはアモキシシリン、又はベンジルペニシリンベンザチンが第一選択抗菌薬として
推奨されている 44。
③ GAS 咽頭炎に対する抗菌薬投与量と投与間隔
小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2022 ではアモキシシリンの小児投与量は 30~50mg/kg/
日・分 2~3、又はベンジルペニシリンベンザチン 5 万単位/kg/日・分 3~4 とある 44,45。
小児外来抗菌薬治療において服用遵守は重要である。米国では 50mg/kg(最大 1g)の 1 日 1 回
投与・10 日間も推奨される。ニュージーランドでの 5~12 歳の小児 353 名を対象にした単施設
RCT 研究によると、アモキシシリン 1 日 1 回がペニシリン V1 日 2 回の治療に対し非劣性である
ことを示された 46。またアモキシシリン 1 日 2 回と 1 日 1 回投与で比較した非劣性研究でも 1 日
1 回の非劣性は証明されている 47。アモキシシリン 1 日 1 回投与はアドヒアランス面では一見有
利であるが、本邦ではアモキシシリン製剤は 10%又は 20%しか存在しないため、現実的にアモ
キシシリン 1,000mg を 1 日 1 回で投与する場合は、10%製剤 10g(20%製剤なら 5g)となり、
大量に服用することになる。よって、実際上困難であるため、本手引きでは、上記の投与方法を
推奨する。

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