【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (37 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
なお、小児の場合には、ノロウイルスの迅速抗原検査の保険適応は 3 歳未満とされている。
(ii)
細菌に起因する急性下痢症
細菌による急性下痢症では、ウイルス性による急性下痢症と比べて腹痛が強く、高熱(38℃以
上)、血便や粘血便、テネスムス(しぶり腹)を伴いやすいとされるが、身体所見は下痢の原因
究明には役立たないことが多いとされており、表 6 に示すような疑わしい食品の摂食歴及び潜伏
期間が原因微生物を推定する上である程度は役に立つと指摘されている 116,122,123。
成人の細菌による急性下痢症は自然軽快するものが多いため、軽症例を含めた急性下痢症の患
者全員に検査を行い、原因微生物を特定する意義は小さいとされるが、その一方で、中等症~重
症例や、長引く下痢、抗菌薬を投与する症例等では、原因微生物の検出を目的として便培養検査
を行うことが望ましいことも指摘されている 92。
小児でも便培養検査を急ぐ必要のある症例は少なく、検査の適応となる症例には、細菌性腸炎
が疑われる症例で、激しい腹痛や血便を呈する者、腸管出血性大腸菌から溶血性尿毒症症候群
(Hemolytic Uremic Syndrome: HUS)が疑われるもの、免疫不全者等が挙げられている 124。
表 6. 感染性の急性下痢症及び食中毒の主な原因食品及び潜伏期間
原因微生物
毒
素
性
非
毒
素
性
文献 116, 122, 123 を参考に作成
国内で報告されている主な原因食品
セレウス菌
Bacillus cereus
穀類及びその加工品(焼飯類、米飯類、麺類等)
、
黄色ブドウ球菌
Staphylococcus aureus
にぎりめし、寿司、肉・卵・乳等の調理加工品
ボツリヌス菌
Clostridium botulinum
缶詰、瓶詰、真空パック食品、レトルト類似品、
腸管毒素原性大腸菌
Enterotoxigenic E. coli
特定の食品なし(途上国への旅行者に見られる
複合調理食品(弁当類、調理パン)等
及び菓子類等
いずし等
旅行者下痢症の主要な原因菌)
潜伏期間
1-2 時間
2-6 時間
18-36 時間
12-72 時間
ノロウイルス
Norovirus
牡蠣等の二枚貝
12-48 時間
腸炎ビブリオ
Vibrio parahaemolyticus
魚介類(刺身、寿司、魚介加工品)
2-48 時間
エルシニア属菌
Yersinia enterocolitica
加工乳、汚染された水、生の豚肉から二次的に
ウェルシュ菌
Clostridium perfringens
カレー、シチュー及びパーティ・旅館での複合調
サルモネラ属菌
Salmonella spp.
卵、食肉(牛レバー刺し、鶏肉)
、うなぎ、
腸管出血性大腸菌
Enterohemorrhagic E. coli
カンピロバクター・ジェジュニ
Campylobacter jejuni
汚染された食品
理食品
すっぽん等
生や加熱不十分な牛肉
生や加熱不十分な鶏肉、バーベキュー・焼き肉、
牛レバー刺し
37
2-144 時間
8-22 時間
12-48 時間
1-7 日間
2-7 日間