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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (117 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

腫瘍(急性骨髄性白血病等)の患者背景でも同様の対応で臨床的悪化はないという報告があ
る 43,44。
一般に、広域抗菌薬からの狭域化は安全に行えることが報告されている 45-49。また抗真菌薬に
ついても同様である 50,51。そして、CDI のリスクを下げることが報告されている 52。患者のアウ
トカムを最大化し、耐性菌・副作用・CDI のリスクを最小化することは、抗菌薬適正使用の目標
である。
また、広域抗菌薬の処方後監査とフィードバック等の AST の推奨を受け入れることで、死亡
率や入院期間には影響なく広域抗菌薬の使用量が低下することが示されている 53-56。感染症の治
療選択や適切な治療期間等については、日々知見がアップデートされている。抗菌薬選択の適正
化に際して、主治医だけではなく AST や感染症専門医等病院全体でサポートして行うことが、
患者個人の予後改善だけではなく、薬剤耐性の防止に対しても有効である。

感染症の治療期間

(vi)
要旨


感染症の治療期間は患者背景や感染臓器、原因微生物のすべてを考慮して決定する。



膿瘍等の合併症がなく、臨床経過も良好であれば、治療期間の短縮を検討できる。



カテーテル等の人工物が抜去困難な場合、ドレナージしていない膿瘍がある場合は治療期間
の延長を検討する。

① 入院中によく遭遇する感染症の一般的な治療期間と近年の動向
感染症に対する抗菌薬の投与期間は、もともと専門家の意見や経験則等に基づく慣習により決
定されていた部分が大きく、ランダム化比較試験(Randomized controlled trial: RCT)等の良質
なエビデンスに乏しいのが実情であった 57。近年、抗菌薬の投与に伴う影響−薬剤耐性や常在細
菌叢の破壊の問題−が大きいことが認識されるようになった 58-60。抗微生物薬の治療期間を短縮
できないか検討され、エビデンスが蓄積し一部はガイドラインにも反映されている 61。一方、治
療期間短縮の大きな懸念点は、治療失敗や再燃、それに伴う死亡率の増加等が挙げられる 62-65。

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