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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (38 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

(4) 治療方法


急性下痢症に対しては、まずは水分摂取を励行した上で、基本的には対症療法のみ行うこと
を推奨する。

成人の急性下痢症では、ウイルス性、細菌性に関わらず自然軽快することが多く、脱水の予防
を目的とした水分摂取の励行といった対症療法が重要と指摘されている 98,100。Vital Sign(生命
兆候)や起立性低血圧の有無等により、脱水の程度を評価し、補液の必要性を検討することや可
能な限り経口で水分摂取を行うこと 98,100、経口での水分摂取に際しては、糖分、ナトリウム、
カリウム等の電解質を含んだ飲料を摂取することが重要と指摘されている。重度脱水の乳幼児や
高齢者では、成分調整した経口補水液(Oral Rehydration Solution: ORS)が推奨されているが、
成人では、塩分含有量が少ない飲料の場合は適宜塩分摂取も必要とされるものの、多くの場合、
果物ジュースやスポーツドリンク等の摂取で十分とされている 98,125。
JAID/JSC、ACG の指針では、重症例又は海外渡航歴のある帰国者の急性下痢症(渡航者下痢
症)である場合を除いて抗菌薬投与は推奨されておらず 98,100、JAID/JSC の指針では、以下の場
合には抗菌薬投与を考慮することとされている 100。


血圧の低下、悪寒戦慄等、菌血症が疑われる場合



重度の下痢による脱水やショック状態等で入院加療が必要な場合



菌血症のリスクが高い場合(CD4 陽性リンパ球数が低値の HIV 感染症、ステロイド・免疫抑
制剤投与中等、細胞性免疫不全者等)



合併症のリスクが高い場合(50 歳以上、人工血管・人工弁・人工関節等)



渡航者下痢症
小児における急性下痢症の治療でも、抗菌薬を使用せず、脱水への対応を行うことが重要とさ

れている 112。
このようなことから、本手引きでは、急性下痢症に対しては、まずは水分摂取を励行した上で、
基本的には対症療法のみ行うことを推奨する。
上記のような重症例や渡航者下痢症における具体的な治療法については成書を参照頂きたい。
診断及び治療の手順を図 4 に示す。

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