よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (29 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

このようなことから、本手引きでは、成人に関して、表 3 に示す中等症又は重症の急性鼻副鼻
腔炎に対してのみ、抗菌薬投与を検討することを推奨することとし、その際には、アモキシシリ
ンを第一選択薬として 5-7 日間経口投与することとする。
海外の指針では、成人で β-ラクタム系抗菌薬(ペニシリン系抗菌薬、セファロスポリン系抗菌
薬、カルバペネム系抗菌薬及びペネム系抗菌薬)にアレルギーがある場合には、テトラサイクリ
ン系抗菌薬やフルオロキノロン系抗菌薬を投与することが推奨されている 30,72 が、日本では、細
菌性鼻副鼻腔炎の主要な原因微生物である肺炎球菌のテトラサイクリン系抗菌薬に対する耐性率
が高いことが報告されており 74、このような症例については専門医に相談することも考慮する必
要がある。
小児の用法・用量については、添付文書では「アモキシシリン水和物として、通常 1 日 2040mg(力価)/kg を 3-4 回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1 日
量として最大 90mg(力価)/kg を超えないこと。
」と記載されている。また、各学会の指針では、
急性鼻副鼻腔炎に対して抗菌薬を用いる場合、アモキシシリンが第一選択薬として推奨されてい
る 49,67,69。
このようなことから、本手引きでは、小児の急性鼻副鼻腔炎に対して、表 4 に示す遷延性又は
重症の場合には、抗菌薬投与を検討することを推奨することとし、その際には、アモキシシリン
を第一選択薬として 7-10 日間経口投与することとする。

(iii)


急性咽頭炎
迅速抗原検査又は培養検査で A 群 β 溶血性連鎖球菌(GAS)が検出されていない急性咽頭炎
に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。



迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬を投与する場合に
は、以下の抗菌薬投与を検討することを推奨する。

(成人・小児における基本)アモキシシリン 10 日間経口投与

急性咽頭炎に関しては、ACP/CDC 及び IDSA の指針では、急性咽頭炎の多くはウイルスによ
って引き起こされる病態であることから、迅速抗原検査又は培養検査で A 群 β 溶血性連鎖球菌
(GAS)が検出されていない急性咽頭炎に対しては、抗菌薬投与は推奨しないとされている 17,21。
なお Fusobacterium 属等の嫌気性菌、C 群又は G 群 β 溶血性連鎖球菌の関与する急性咽頭炎に対
して抗菌薬を投与すべきか否かについては一致した見解がない注9とされている 57,75。
これらのことから、本手引きでは、迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出されていない急
性咽頭炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
成人の GAS による急性咽頭炎に対する治療として、セファロスポリン系抗菌薬投与群とペニ
シリン系抗菌薬投与群とを比較した研究では、症状軽快について統計学的有意差はないこと(オ
ッズ比 0.78 倍 95%信頼区間 0.60-1.01 倍)が報告されている 76。また、臨床的に再度増悪する
注9

C 群又は G 群 β 溶血性連鎖球菌による劇症型溶血性レンサ球菌感染症(疑いを含む)についてはこの限りではないとされ
ている。

29