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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (121 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

(2) マネジメント
感染症が改善しない場合の考え方

(i)
要旨


感染症の治療効果判定の指標の選択とそのタイミングが重要



感染症の治療効果が不十分な原因は、抗微生物薬のスペクトラムに起因するもの以外にも多
く存在するため、まず考えるべきは抗微生物薬の変更ではなくその原因についてアセスメン
トすることである



患者背景から考えられる原因微生物を想起し、現在投与中の抗微生物薬でどの微生物がカバ
ーできていないか具体的に検討することが重要

A) 治療効果判定のタイミングと治療効果判定に用いる指標の重要性
治療効果判定のタイミングについては前項((v) 抗菌薬の選択の適正化、①治療効果と培養結
果判定のタイミング)を参照のこと。このタイミングが早すぎる場合、有効な抗微生物薬が投与
されているにも関わらず、効果が不十分と判定され結果として不要な抗菌薬の追加や変更につな
がる懸念がある。
また、治療効果判定に用いる指標の選択も重要である。一般に、感染症の治療効果判定に用い
る指標は、発熱や食事量、白血球数・CRP 値等の臓器非特異的な指標と、腎盂腎炎における腰
痛や肋骨脊柱角(CVA)の叩打痛、膿尿・細菌尿等のような、感染臓器に比較的特異性の高い指
標の 2 種類に大別することができる(表 8)。感染症の治療効果判定にはこれら 2 種類の指標を意
識し、治療効果が得られないと感じた場合に、どの指標が改善していないのかを考えることが大
切である。
臓器非特異的な指標で注意が必要な点として、異なる臓器の感染症や非感染症による影響を受
けやすいことが挙げられる。例えば、肺炎に対する治療において、呼吸数や酸素飽和度、呼吸苦
等の自覚症状、あるいは聴診所見といった臓器特異的な指標は改善が得られているにも関わらず
発熱のみが続く場合がある。こうした場合、肺炎の悪化以外に、肺膿瘍等の局所合併症、感染性
心内膜炎や椎体椎間板炎といった遠隔の合併症、CAUTI や CRBSI といった肺炎以外の感染症に
よる発熱の可能性、又は偽痛風や薬剤熱等の非感染性の発熱の可能性について検討する必要があ
る 83。
一方、肺炎における胸部画像所見の改善のように、臓器特異的ではあるが、その改善が臨床的
改善に遅れる指標もある 84。このような場合、胸部画像所見のみで肺炎の治療効果判定を行うと、
不必要な抗微生物薬の広域化や治療の長期化につながるリスクがある。さらに、特に院内発症の
感染症では、当初から発熱や CRP の上昇等臓器非特異的な症状所見以外に臨床上の指標が乏し
い場合がある(典型的には CRBSI や CAUTI の一部等が当てはまる)
。そのような臓器特異的な
所見が乏しい感染症では、血液培養を再検することや感染臓器から採取した検体のグラム染色を
再検し経時的な所見の比較を行うことが、治療効果判定の一助となる場合がある。

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