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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (23 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

咳が出ることが多く、また、鑑別に迷う場合には検査として迅速診断キットも使用可能となって
いる 22,24,25。
COVID-19 に関しては、咽頭痛、鼻汁・鼻閉といった上気道症状に加え、倦怠感、発熱、筋肉
痛といった全身症状を生じることが多い。インフルエンザに類似しており、臨床症状のみから両
者を鑑別することは困難であることから、地域の流行状況によっては、発熱や呼吸器症状を呈す
る患者を診る場合、インフルエンザと両方の可能性を考慮し、同時に検査する場合もあると考え
られる。COVID-19 を疑う患者、もしくは COVID-19 と診断した患者の診療の詳細については、
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が発出している「新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)診療の手引き」の最新版を参考にされたい。

(ii)

急性鼻副鼻腔炎

発熱の有無を問わず、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を主症状とする病態を有する急性気道感染症を、
本手引きでは、急性鼻副鼻腔炎に分類する。副鼻腔炎はほとんどの場合、鼻腔内の炎症を伴って
いること、また、鼻炎症状が先行することから、最近では副鼻腔炎の代わりに鼻副鼻腔炎と呼ぶ
ことが多いとされている 26。
急性ウイルス性上気道感染症のうち、急性細菌性鼻副鼻腔炎を合併する症例は 2%未満と報告
されている 27,28。鼻汁の色だけではウイルス感染症と細菌感染症との区別はできないとされる 29
が、症状が二峰性に悪化する場合には細菌感染症を疑う必要があるとも指摘されている 22,30。

(iii)

急性咽頭炎

喉の痛みを主症状とする病態を有する急性気道感染症を、本手引きでは、急性咽頭炎に分類す
る。なお、本手引きでは、急性扁桃炎は、急性咽頭炎に含まれることとする。このような病態を
有する症例の大部分の原因微生物はウイルスであり、抗菌薬の適応のある A 群 β 溶血性連鎖球菌
(GAS)による症例は成人においては全体の 10%程度と報告されている 17,31,32 が、その一方で、
日本で行われた研究では、20-59 歳の急性扁桃炎患者の約 30%33、小児の急性咽頭炎患者の約
17%34 が GAS 陽性であったとも報告されている。一般的に GAS による急性咽頭炎は、学童期の
小児で頻度が高く、乳幼児では比較的稀であるとされる 17,31,35 が、咽頭培養から検出される GAS
のすべてが急性咽頭炎の原因微生物ではなく、無症状の小児の 20%以上に GAS 保菌が認められ
うるとも報告されている 36。近年、GAS 以外の C 群や G 群 β 溶血性連鎖球菌や Fusobacterium
属も急性咽頭炎・扁桃炎の原因になる可能性が欧米の調査では指摘されているが、日本での疫学
的な調査は少ないとされている 37-45。
GAS による咽頭炎の可能性を判断する基準としては、Centor の基準又はその基準に年齢補正
を追加した McIsaac の基準(表 2)が知られている 46,47。Centor の基準及び McIsaac の基準の点
数に応じた迅速抗原検査や抗菌薬投与の推奨は様々17,21,48,49 であるが、ACP/CDC 及び ESCMID
の指針では、Centor の基準 2 点以下では GAS 迅速抗原検査は不要と指摘されている 21,48。ただ
し、GAS を原因とする咽頭炎患者への最近の曝露歴がある 50 等、他に GAS による感染を疑う根
拠があれば、合計点が 2 点以下でも迅速抗原検査を考慮してもよいと考えられている。抗菌薬処
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