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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (41 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

なお、JAID/JSC の指針では、サルモネラ腸炎で抗菌薬投与が必要な場合には、第一選択薬の
処方としてレボフロキサシン 3~7 日間 経口投与、第二選択薬(フルオロキノロン低感受性株又
はアレルギーがある場合)の処方としてセフトリアキソン点滴静注 3~7 日間又はアジスロマイ
シン 3~7 日間 経口投与が推奨されている 100。
(セフトリアキソンとアジスロマイシンは添付文
書上の適応菌種ではない)

(iv)


カンピロバクター腸炎
健常者における軽症 ※のカンピロバクター腸炎に対しては、抗菌薬を投与しないことを推奨
する。

※軽症とは、日常生活に支障のない状態を指す。

検査の結果、原因微生物がカンピロバクターと判明した場合については、抗菌薬投与群は偽薬
群(プラセボ群)と比較して有症状期間を 1.32 日間(95%信頼区間 0.64-1.99 日間)短縮するこ
とが報告されている 130 が、大部分の症例が抗菌薬なしで治癒し、また、近年、カンピロバクタ
ーの耐性化が進んでいることから、JAID/JSC の指針でも、全身状態が重症である場合を除いて、
抗菌薬の使用は推奨されていない 100。このことから、本手引きでは、健常者における軽症のカ
ンピロバクター腸炎に対しては、抗菌薬を投与しないことを推奨する。
なお、カンピロバクターに関しては、世界的にフルオロキノロン系抗菌薬に対する耐性化が進
んでおり、JAID/JSC の指針では、全身状態が重症で抗菌薬を投与する場合には、クラリスロマ
イシン 1 回 200mg 1 日 2 回 3~5 日間経口投与、アジスロマイシン 1 回 500mg1 日 1 回 3 日間経
口投与が推奨されている 100。
(アジスロマイシンは添付文書上の適応菌種ではない)

(v)

腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic E. coli : EHEC)腸炎

腸管出血性大腸菌腸炎に罹患した患者では血便を伴うことが多いが、典型的には高熱を伴うこ
とは少ないと指摘されている 129。腸管出血性大腸菌腸炎の原因微生物としては、血清型 O157 に
よるものが最も多いが、血清型 O26、血清型 O111 等による症例も報告されている 100。EHEC 腸
炎全体のうち 5~10%が溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome: HUS)を起こすと報
告されている 100。
検査の結果、原因微生物が EHEC と判明した場合であっても、海外の総説では、抗菌薬使用に
より菌からの毒素放出が促進され、HUS 発症の危険性が高くなることから、EHEC 腸炎に対する
抗菌薬投与は推奨されていない 106。統合解析では、抗菌薬投与は HUS 発症増加とは関連しない
と報告されている(オッズ比 1.33 倍 95%信頼区間 0.89-1.99 倍)131 が、より厳密な HUS の定
義を用いている研究のみに限定するとオッズ比は 2.24 倍(95%信頼区間 1.45-3.46 倍)になり、
抗菌薬投与が HUS 発症増加と関連することが示唆されている 131。一方で、日本の小児を中心に
した研究では、EHEC 腸炎に対して発症早期にホスホマイシンを内服した者では、その後の HUS
発症率が低いことも報告されており 132,133、これらのことも踏まえて、JAID/JSC の指針では、
「現時点で抗菌薬治療に対しての推奨は統一されていない」とされている 100。

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