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提案書18(3402頁~3601頁) (182 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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⑥普及性

年間対象患者数(人)

85,536人

国内年間実施回数(回)

85,536回

※患者数及び実施回数の推定根拠等

令和3年6月 社会医療診療行為別統計より「第13部病理診断」の「悪性腫瘍病理組織標本加算」の算定回数は23,760回/月
この悪性腫瘍病理組織標本加算には早期悪性腫瘍なども含まれており、遺伝子変異検索が必要と考えられる症例は、全体の
約30%弱(K番号の手術手技およびその統計より)である。したがって年間の算定回数=実施回数=23,760回/月×0.3×12か
月=85,536回/年

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

悪性腫瘍の病理診断等に必要な病理組織検体を用いたNGS法などによる遺伝子変異結果解釈等に関して、日本病理学会で
は、2016年より「分子病理専門医認定制度」を企画して分子病理専門医研修プログラムを整備し、2020年より分子病理専門
医認定試験を課して、分子病理専門医を認定してきた。分子病理専門医試験の受験には、分子病理専門医講習会、ゲノム病
理標準化講習会、がんゲノム医療中核拠点病院あるいは拠点病院で実施されているエキスパートパネルへの参加などを必須
要件とし、試験はマークシートによる知識試験と症例提示による遺伝子変異解釈や報告レポートの作成等を問う記述試験を
行い、これまでに581名の分子病理専門医を認定した。これら分子病理専門医は、病理専門医の2階として設計されており、
遺伝子変異結果解釈をもとに病理診断と結び付けた悪性腫瘍遺伝子病理診断に関して卓越した知識を有する医師である。な
お現状では、分子病理専門医はすべてのがんゲノム医療中核拠点病院およびがんゲノム医療拠点病院にそれぞれ複数名配置
されており、さらにがんゲノム医療連携病院にも分子病理専門医の配置を進めている。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)

【施設の要件】以下の全てを満たす保険医療機関であること。(1)病理診断科を標榜している保険医療機関であること。
(2)病理診断管理加算1または病理診断管理加算2の届け出を行っている保険医療機関であること。(3)国際標準化機構が
定めた国際規格に基づく第3者施設認証を病理診断を行う部門が受けている保険医療機関であること。

人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門
性や経験年数等)

【人的配置】専ら病理診断を担当した経験を5年以上有する医師が1名以上配置されていること。なお、病理学会が認定す
る専ら分子病理診断を担当する医師(分子病理専門医:研修カリキュラム、認定記述試験あり)であることが望ましい。

その他
(遵守すべきガイドライン等その他の
要件)

「がんゲノム検査全般に関する指針」
「がんゲノム検査全般に関する指針参考資料」(ともに日本病理学会・日本臨床検査医学会

共同策定)

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

悪性腫瘍の病理診断のための遺伝子変異検索に関しては、すでにWHO病理組織分類により病理診断時に記載が求められてお
り、世界水準となっている。病理診断の際に病理診断を専ら担当する医師が行うことの安全性に関しては問題はない。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

特に問題はない。


妥当と思われる診療報酬の区分

⑩希望する診療
報酬上の取扱い

関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

点数(1点10円)

N006 注6 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関におい
て、悪性腫瘍に係る検体から病理診断の補助のために必要な遺伝子病理組織標本作製を行った場合に、悪性腫瘍遺伝子病理
組織標本加算として、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 処理が容易なもの (1)2項目まで 4,000点 (2)3項目まで 6,000点 (3)4項目以上 8,000点 ロ 処理が複雑なも
の (1)2項目まで 8,000点 (2)3項目以上 12,000点

その根拠

D004-2

悪性腫瘍組織検査の現行点数を準用

区分



番号

006-19

技術名

がんゲノムプロファイリング検査

具体的な内容

現在、がんゲノムプロファイリング検査では、標準治療が終了したがん患者に対して特に基準なく行われているが、初回の
病理診断時にすでに遺伝子変異が判明していることで、治療の際には必要な遺伝子変異のコンパニオン診断のみを行えばよ
いことになり、特に生殖細胞系列遺伝子変異の検索を含まないFoundationOne CDx検査の削減等が期待できる。
減(-)

プラスマイナス
予想影響額(円)

その根拠
予想影響額

備考

715,312,000円
【現行の費用】(件数は令和3年6月調査社会医療診療行為別統計による)*D006-19がんゲノムプロファイリング(CGP)検
査(44,000点)の件数=993件/月×12か月=11,916件/年 *B011-5 がんゲノムプロファイリング評価提供料(12,000点)件
数=880件/月×12か月=10,560件/年 *よって現行の費用は44,000点×10円×11,916件/年+12,000点×10円×10,560件/年
=6,510,240,000円/年・・(A)
【病理診断時に悪性腫瘍遺伝子病理組織標本作製(以下本技術)を実施した場合】
<CGP検査の減額分>病理診断に基づいた遺伝子検査を行った場合に、コンパニオン診断(CDx)相当の有効な遺伝子変異が
見つかる確率は約20%とされている。すなわち約80%の患者では有効な遺伝子変異が見つからないことから、CGP検査は80%の
患者で不要となるため、減額分は(A)より、6,510,240,000円/年×0.8=5,208,192,000円/年・・(B) <本技術による増額
分>病理診断時の本技術の費用は、最も算定回数が多いと考えられる8,000点と仮定した場合、85,536回/年×8,000点×10
円=6,842,880,000円・・(C) *(B)と(C)により増額分は6,842,880,000円/年-5,208,192,000円/年=1,634,688,000円/
年・・(D)
【減額される医療費】<肺癌の場合>肺癌のコンパニオン診断(CDx)は現状で、23,760回/月×12か月=285,120回/年。肺
癌新規発症は年間約10万人、そのうち非小細胞肺癌が約6万人である。年間約3万人がオンコマインを実施、約3万人がシン
グルCDxをしていると仮定すると、オンコマインは14,000点×30,000人/年×10円=4,200,000,000円/年、シングルCDxは
5,000点×30,000人/年×10円=1,500,000,000円/年 合計、5,700,000,000円/年の医療費が計上されている。・・(E)こ
の非小細胞肺癌のCDx検査実施者6万人のうち、約30%(約2万人)はCDxに該当しないため検査不要であり、約40%(2.5万
人)はEGFR等のシングルCDxに振替可能、残り約30%(1.5万人)はオンコマインを実施と想定すると、オンコマインは
14,000点×15,000人/年x10円=2,100,000,000円/年、シングルCDxは5,000点×25,000人×10円=1,250,000,000円/年合計
3,350,000,000円/年となる。・・(F) *(E)と(F)から差額分は5,700,000,000円-3,350,000,000円/年=
2,350,000,000円/年の減額となる。・・(G) よって(D)(G)より1,634,688,000円/年 ー 2,350,000,000円/年=マイナ
ス715,312,000円/年(減額)
<他の悪性腫瘍>その他の悪性腫瘍でもCDx検査が効率化でき、より減額分は増える。以上より、本技術の対象をすべてNGS
検査に振り替えたとしても、CGP検査及びCDx検査の効率化によって、年間検査費用はむしろ減額になる。さらにこれまでが
んゲノムNGSデータは年間1.5万件程度で、その90%近くが海外流出している。一方、本技術は日本国内で実施するため、NGS
データは年間約8万件増え、その大部分は国内に残る。またCGP検査費用である総額42億円の大部分は海外企業に流れている
が、本技術に移行することで国内還流分が増えるなどのメリットもある。なお、病理診断に必要な技術であるため「エキス
パートパネル」は不要である。

上記の他に初回病理診断でCDx相当の遺伝子変異が見つかることで、初回治療開始時に、悪性腫瘍遺伝子病理標本作製を参
考に薬物療法のためのコンパニオン診断を実施すること等により、分子標的治療薬の使用や無駄な化学療法が省略できる可
能性があり、患者にも優しく、患者の早期社会復帰および医療費のさらなる削減などの効果も期待できる。

⑪提案される医療技術において使用される医薬品、医療機
器又は体外診断薬
特記すべきものは無し
(主なものを記載する)

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