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提案書18(3402頁~3601頁) (64 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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注射薬は現在3,662品目(※1)存在すること、また、入院患者1人あたり約2.9回の注射処方が行われていること(※2)か
ら、「注射の処方技術」は有効かつ必要不可欠な医療技術といえる。

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

主治医の担当患者別・日別に診療の負荷を見ると、「注射の処方技術」との関連性として以下(1)~(6)が確認されている
(詳細は⑤「④の根拠となる研究結果等」で詳述)。
(1) 「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬がありの日」は、「なしの日」と比較して主治医の治療方針決定に
かかる所要時間が有意に長い。(30分以上かかったケースの割合:21% vs 11%)
(2) 「注射の種類数」と治療方針決定にかかる所要時間には有意な関連性があり、種類数が多い日ほど、所要時間が長
い。( 30分以上かかったケースの割合: 0種類…11%、1~5種類… 16%、6~10種類… 21%、11種類以上… 37%)
(3) 「注射の薬剤料および材料料が1万点以上の日」は、「そうでない日」と比較して主治医の治療方針決定にかかる所
要時間が有意に長い。( 30分以上かかったケースの割合: 25% vs 17%)
(4) 「注射薬の投与開始日および種類の異なる注射薬の追加投与が行われた日」は、それ以外の日と比較して主治医の負
荷が有意に高い。
(5) 投与している「注射の種類数が多い日」ほど、主治医の負荷が有意に高い。
(6) 患者の年齢や疾患等の交絡因子を調整した場合も、「注射薬の投与開始日および種類の異なる注射薬の追加投与が行
われた日」および「注射の種類数が多い日」は、治療方針決定にかかる所要時間に関連する独立因子である。
※1
※2

研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和3年4月1日適用)
「⑥普及性」より、注射処方料の算定要件の注1の算定回数は入院患者1人あたり約2.9回と試算される。

主治医に対するアンケート調査(N=11,056)とDPCデータを用いた内科系学会社会保険連合による後ろ向きコホート研究に
おいて以下(1)~(6)の研究結果が報告された(参考文献1)。
(1) 「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬」が有りの日は、無しの日と比較して主治医の治療方針決定にかか
る所要時間が有意に長い(「30分以上」の回答割合:21% vs 11%、χ二乗検定よりp<0.001)。
(2) 「注射の種類数」と、主治医の治療方針決定にかかる所要時間には有意な関連性があり、種類数が多い日ほど、所要
時間が長い(「30分以上」の回答割合:0種類のとき11%、1~5種類のとき16%、6~10種類のとき21%、11種類以上の
とき37%、フィッシャーの正確確率検定よりp<0.001)。
(3) 「注射の薬剤料および材料料の合計が1万点以上」の日は、それ以外の日(0点の日を除く)と比較して、主治医の
治療方針決定にかかる所要時間が有意に長い(「30分以上」の回答割合:17% vs 25%、フィッシャーの正確確率検定より
p<0.05)。
(4) アンケート回答日のうち「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬」が有りの日は、無しの日と比較して主治
医にかかる知識判断の負荷(「0点:実施なし」を含む5点満点評価)が有意に高い(中央値:3.0 vs 2.0、ウィルコクソン
の順位和検定よりp<0.001)。
(5) 投与している「注射の種類数」が多い日ほど、主治医にかかる知識判断の負荷が有意に高い(中央値:0種類のとき
2.0、1~5種類のとき2.5、6~10種類のとき3.0、11種類以上のとき3.5、p for trend<0.001)。
(6) 「主治医の治療方針決定にかかる所要時間が30分以上であるか否か」をアウトカムとし、患者属性として入院時年
齢・性別・BMI・救急車による搬送の有無・DPC6桁別疾患等を調整したロジスティック重回帰分析を行った結果、「前日と
比較した処方開始注射薬の有無」および「注射の種類数」は、治療方針決定にかかる所要時間に関連した独立因子であった
(「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬」が有りの日は、無しの日と比較したオッズ比が1.97、「注射の種類
数」が1~5種類の日は0種類の日と比較したオッズ比が1.26、同様に6~10種類の日のオッズ比は1.77、11種類以上の日
のオッズ比は3.03)。
また、同研究においてDPCデータのみから得られる説明変数をもとに負荷度ランク(内科系医師の診療負荷を示す尺度)を
予測する機械学習モデルの構築を行った結果、「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬の有無」および「注射の種
類数」は、変数重要度(variable importance)が高く、これらの変数は内科系医師の負荷との関連性が非常に高いことが
示唆された。
2b

ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

内保連グリーンブックver.2 内保連負荷度ランクと内科系技術の
適正評価に関する提言

年間対象患者数(人)

全国の年間新規入院患者(約14,810,000人)のうち注射を投与した患者

国内年間実施回数(回)

42,950,000回

⑥普及性

【算定要件の注1の算定回数】
入院患者約63万人を対象とした内保連の調査(※1)において、「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬」が有りの
延べ日数は約184万日。当該延べ日数は注射処方料の算定要件の注1に相当するため、入院患者1人あたりの算定回数は約
2.9回(184万日÷63万人)となる。
令和3年度の全国の医療機関の推計新規入院件数約1,481万人(※2)より、全国における1年間の算定回数は4,295万回
(1,481万人×2.9回)と見込まれる。

※患者数及び実施回数の推定根拠等

【算定要件の注2の算定回数】
同調査(※1)において、「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬」が有りの延べ日数のうち、注射の種類数が「6
~10種類」であった日数は約51万日、「11種類以上」であった日数は約26万日。入院患者1人あたりの算定回数は「6~10
種類」が約0.8回(51万日÷63万人)、「11種類以上」が約0.4回(26万日÷63万人)となる。
令和3年度の全国の医療機関の推計新規入院件数約1,481万人(※2)より、全国における1年間の算定回数は、「6~10種
類」の加算が1,185万回(1,481万人×0.8回)、「11種類以上」の加算が592万回(1,481万人×0.4回)と見込まれる。
【算定要件の注3の算定回数】
同調査(※1)において、「前日と比較して処方が新たに開始された注射薬」が有りの延べ日数のうち、「注射の薬剤料およ
び特定保険医療材料料を合算した点数が10,000点以上」であった日数は約4.4万日。入院患者1人あたりの算定回数は約
0.07回(4.4万日÷63万人)となる。
令和3年度の全国の医療機関の推計新規入院件数約1,481万人(※2)より、全国における1年間の算定回数は104万回(1,481
万人×0.07回)と見込まれる。
※1 内保連グリーンブックver.2 内保連負荷度ランクと内科系技術の適正評価に関する提言(参考文献1)
※2 令和3年度 医療費の動向 ―MEDIAS―

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