参考資料3_医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (122 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》 |
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学修者評価の評価は Assessment、カリキュラム評価の評価は Evaluation と訳されることがある。
Good Practice「「卒業試験」によらない卒業時評価」
我が国の医学教育では、「卒業試験」すなわち臨床実習の修了と卒業の可否を判定するために、各科が出
題し総括的評価を行う筆記試験が長らく行われている。しかし、
①卒業の可否のような重大な判断を単回の試験で行うと、学修者は試験対策目的の近視眼的な対応をとって
しまいやすく、継続的な学修態度の涵養を妨げる。
②筆記試験では、技能・態度に関わる能力を測りづらい。
③卒業時コンピテンシーを反映した妥当性を十分備えているか検証せずに実施される場合がある。
といった問題があり、一部の大学では廃止する動きがある。
代替策として、例えば①については、プログレステスト(卒業時に求められる程度の試験をより低年次から
定期的に課すことで、能力の伸長を経時的に可視化する試験手法)を用い、低年次でも所定の成績を修めれば
卒業試験に合格したと認める大学もある。実習期間中に実施する試験(筆記試験、OSCE)にプログレステスト
的要素を持たせるために、複数学年に同一の試験を課したり、複数回の試験を実施することも考えられる。
②については、臨床実習後 OSCE の導入によってある程度解消されたと考えられるが、共用試験実施評価機
構が提供する課題だけでなく、大学独自課題を充実させることで、各大学の考える卒業時総括的評価を構築
することもできる。また、紙面ではなくコンピューターで出題し、音声や動画を加えることで、より幅広い
能力を問おうとする試みも研究されている。
③はあらゆる試験で生じる問題であり、試験設計時にブループリントを作成し、出題内容が卒業時コンピ
テンシーを過不足なく反映しえているかを検証することで、克服を目指す。
さらに、Programmatic Assessment(別項参照)のように様々な要素を体系的に評価に組み込む手法が有用と
考えられる。その際には、臨床実習における様々な機会を体系的に吸い上げるために、観察評価やポートフ
ォリオといった多様な評価手法を導入することが求められるだろう。
3. 学修評価についての問い
学修者評価の計画・実施・解釈は、学修目標、学修カリキュラム、学修環境等、様々な学修要因の影響を受け
る。学修者評価を設計する上で検討すべき「問い」を以下に記す。それぞれの問いの答えは一つではなく、教育
機関ごとに異なるので回答は記していない。より良い学修者評価に向けての観点の例として、参考にしていただ
きたい。
1) 資質・能力の評価
・「医師として求められる基本的な資質・能力」はどのように評価したらよいだろうか。
・資質・能力の「科学的探究」はどのように評価したらよいだろうか。卒業論文は必要だろうか。
・資質・能力をコンピテンシーまたは汎用的技能(ジェネリック・スキル)として評価することと、知識・技
能・態度に分けて評価することの違いは何だろうか。
・学修者の能力発達を集積して把握するにはどうしたらよいだろうか。
2) 臨床実習の評価
・臨床実習の観察評価において留意すべきことは何だろうか。
・観察評価の結果を臨床実習の総括的評価に用いるためにはどうしたらよいだろうか。
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