参考資料3_医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (157 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html |
出典情報 | 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》 |
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(1)関連する主な資質・能力/学修目標
社会における医療の役割の理解/SO-01-02: 社会保険、公的扶助、社会福祉、SO-01-03: 地域保健、SO-01-04:
産業保健・環境保健、SO-06-01: 社会科学と医療との関係
(2)方略
1)概要
患者ケースを軸として、診断・治療(のみ)を問うのではなく、遡及的に背景・経緯を探り、健康の社会的
決定要因(Social Determinants of Health:SDH)の視点から、なぜその患者がそのような状況になったのか
考 察 を 行 う 。 ま た 、 社 会 的 背 景 と 結 び 付 け て 、 こ こ に 至 る ま で の 、 現 在 の 患 者 の 体 験 (Patient
Experience、Patient Journey)の理解を深める。多職種と連携し社会的処方も含めた対応策を提案する。さ
らに急性期病院を退院した後の施設・在宅ケアへの連携を想定し、地域の医療・介護資源、制度、メディカ
ルソーシャルワーク等の役割の理解を深める 58。また疾病(例:急性心筋梗塞)の適切な診断からそのリスク
因子(高血圧、脂質異常、喫煙、糖尿病)、さらにその背景にある生活習慣・社会的環境へ視野を広げると共
に、疾患の病理、生物的な機序について基礎医学各科目で学んだ知識を確認する。実際のケーススタディー
を通して、臨床・社会医学・基礎医学を繋げて医学の理解を深めることを目指す 59。
57F
58F
2)どのような方法で教えるのか?
①「社会における医療の役割の理解」の基本知識となる社会保障(公衆衛生、社会保険、公的扶助、社会福
祉)、地域保健、産業保健、環境保健、健康危機管理についてグループ学修を行い、概要をまとめて全体
で発表する。
・オリエンテーションとなる講義では各課題の背景となる考え方、キーワードを紹介するが、詳細な説明
は行わず、グループワークへの関心を喚起することを主目的とする。
・講義で取り上げる考え方、キーワードの選択は、担当教員の裁量に委ねる(学生の関心を喚起すること
に留意し、自身の専門領域等、細部に偏らないよう配慮)。
・従来の医学の範囲を越える領域を扱うため、グループワークの情報収集に役立てられるように、インタ
ーネットの適切な情報源をまとめて提示しておく。
・グループ構成は学生の希望を取る、又は機械的に行うなど担当教員の裁量で可(前者の場合、グループ
分けが偏り、調整が煩雑になる可能性がある)。
・グループワークの効果を高める一法として、各課題を複数グループに割り当て、それぞれの発表を別課
題で担当する他の学生が評価を行なって内容・プレゼンテーションを競う形式を用いることも可能(相
互評価により、評価される側・する側のモチベーションを高める)。
②ケーススタディー:事例に基づき、患者の医学生物学的、文化的、社会的文脈(SDH の視点)について考察
を行い、多職種との連携、利用できる社会的処方も含めた対応策を提案する
・提示された患者ケースから、遡及的にその背景・経緯を探り、健康の社会的決定要因(SDH)の視点か
ら、その患者がそのような状況に至った原因を考察し、議論を行う。
・患者はこれまで何をどう体験してきたか、それをどのように認識しているか、Patient Experience、
Patient Journey の理解に努める。
・医師ができること・できないことを理解し、多職種と連携して社会的処方も含めた対応策を提案する。
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西岡大輔, 他. 医療機関で用いる患者の生活困窮評価尺度の開発. 日本公衆衛生雑誌. 2020;67(7):461–70.
https://doi.org/10.11236/jph.67.7_461
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小曽根早知子, 他. 2. 筑波大学附属病院総合診療科・地域医療実習への「健康の社会的決定要因 (SDH) 」教育プログラム導入の取り組み. 医
学教育. 2019;50(5):421–8. https://doi.org/10.11307/mededjapan.50.5_421
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