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予算執行調査資料(総括調査票) (68 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2024/sy0606/0606b.html
出典情報 令和6年度 予算執行調査の結果を公表します(6月公表分)(6/28)《財務省》
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調査事案名



調





(21)クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電設備等の実態調査

②調査の視点
【調査対象年度】
令和元年度~令和5年度(調査手法B
のみ令和5年度の1年間を対象)
【調査手法・調査対象先数】
(1)国の補助金を受けている事業者
(937先)
A.充電設備の普及に向けた課題や
売上向上への取組状況等につい
てアンケート調査(書面)
回答数:222/937先(24%)
B.設置場所ごとの収益状況調査
(書面)
回答数:335/937先(36%)
(2)地方公共団体
C.独自補助制度の有無等について
調査(書面)
回答数:1,016/1,788先(57%)
D.岡山県・島根県へ実態調査
(実地)
1.充電設備の普及に向けた課
題・売上向上への取組
充電設備の普及に向けた課題や
売上向上への取組状況について、
国の補助金を受けている事業者に
アンケート調査を実施した。
また、平成22年度に実施された
予算執行調査の内容が反映されて
いるか調査した。

③調査結果及びその分析
【表1】事業者の声(重複あり)

1.充電設備の普及に向けた課題・売上向上への取組
○ 回答のあった事業者のうち約8割の事業者にとって採算性が課
題であることが判明した。また、現時点での充電性能や日本にお
けるガソリンの優位性などを課題に挙げる事業者も多かった【表
1】。このほか、補助金申請額に下限が無いため、品質の悪い充
電器が将来的に事故を起こし、普及を阻害する可能性があるとい
う声もあった。
○ 主な売上向上への取組については、広告活動や市場調査、利用
者のニーズ調査を実施している事業者が多いことが分かった【表
2】。また、このような取組について、経済産業省と情報交換・
意見交換を積極的に行っていることも確認した。

採算性(EV普及が低調など)

167件(75%)

充電性能(充電時間が長いなど)

19件(9%)

日本におけるガソリン優位性(ガ
ソリン車が安いなど)

12件(5%)

1.充電設備の普及に向けた課題・売
上向上への取組
2.設置場所ごとの収益状況

※アンケート調査に回答があった222事業者のうち上位
3つの課題を記載

【表2】主な売上向上への取組
看板設置、HP掲載など広告活動

42件(46%)

市場調査、利用者のニーズ調査等

17件(18%)

EVの販売促進

9件(10%)

※売上向上への取組を実施していると回答した92事業
者のうち上位3つの取組内容を記載

2.設置場所ごとの収益状況
○ 回答のあった設置場所1,441か所のうち、単年度の収益が黒字(令和5年度中の売上が費用を上回ったも
の)となっているのは550か所であった【図1】。商業施設及び宿泊施設等の普通充電器(436か所)、住宅
施設等の普通充電器(46か所)は、黒字の割合も高い【図2】 。
また、収益が黒字となっている設置場所550か所のうち、設置前に事業計画を策定していたと回答があった
のは514か所(93%)(収益が赤字の場所874か所のうち、事業計画策定は332か所(38%))だった。
○ 一方、急速充電器は総じて赤字の箇所が多いことも分かった【図2】。今後の急速充電器の収益化の見通
しを把握するために、最もサンプル数の多かった商業施設及び宿泊施設等における急速充電器(計338か所)
について詳しく調査したところ、まず、高いビジター料金を設定している箇所は黒字となっている箇所が多
いことが分かった【表3】。また、収益と利用回数の関係からは、1分25円等の通常料金の箇所の場合、1
か月当たり約300回(1日当たり約10回、1回当たりの平均充電時間は約30分)の利用があれば、単年度の黒
字化が見込みやすいと考えられる【表3・図3】。
【図1】収益が黒字となっている設
置場所(充電器種別)
サービスス
テーション
37

商業施設及び
宿泊施設等
23

その他 2

2.設置場所ごとの収益状況
住宅施設等
46

普通充電器
484

【図2】設置場所ごとの黒字割合
(%)

100.0
道の駅
90.0
3
80.0
その他
70.0
60.0
3
50.0
急速充電器 40.0
66
30.0
20.0
10.0
0.0

普通充電器

【表3・図3】商業施設・宿泊施設における急速充電器の状況
箇所数

月間平均利用回数

黒字

14か所(70%)

242回

赤字

6か所(30%)

198回

黒字

6か所(2%)

198回

赤字

312か所(98%)

105回

200

300

急速充電器

83.0

88.5
30分3,000円などのビジター
料金を設定している箇所

それ以外(1分25円など)
9.1
0.00.0 0.0

12.1

6.0
0.0

商業施設及び
宿泊施設等
436
※普通充電器:10kW未満の出力ができる充電器、急速充電器:150kWまでの出力ができる充電器

0.0

200
100
0
▲100 0
▲200
▲300
▲400
▲500
▲600
▲700
▲800
▲900
▲1,000

収益/売上(
%)

充電設備の設置場所ごとに見た
ときに、収益が黒字となっている
場所はどのようなところか、また、
事前に事業計画を策定していたか
調査した。

④今後の改善点・検討の方向性

近似曲線
100

400

500

600

通常料金
高いビジター料金設定あり

月平均利用回数(回)

○ 調査手法Aにより、採算性の低さが
充電インフラ普及に向けた課題である
ことが改めて判明したが、調査手法B
により、普通充電器か急速充電器かに
よって、又は設置場所によって、収益
状況は大きく異なることが判明した。
○ 具体的には、商業施設及び宿泊施設、
住宅施設における普通充電器は、他の
設置場所や急速充電器全般に比べて、
収益が見込みやすいため、補助率の見
直しを含め、こうした収益の状況を本
補助金の制度設計に反映することを検
討すべき。
今回得られた収益状況等のデータも、
回答率が約3割と低かったことは課題
である。EBPMの観点から、毎年度、国
の補助を受けている事業者の収益状況
を調査するとともに、収益と平均利用
回数の関係等の公表により、民間事業
者の予見可能性を高めるべき。
○ また、収益が黒字となっている設置
場所では事業計画を策定している事業
者が多いことから、補助金交付の要件
に、事前に事業計画を策定することを
追加するなど、補助金の効果的な執行
に向けた要件を検討すべき。
○ さらに、急速充電器全般の収益向上
には、収入面では料金設定の工夫(ビ
ジター料金など)が鍵であるほか、コ
スト面では高圧電力の基本料金が過去
1年間のピーク需要に基づいて算出さ
れるため、急速充電器の電気料金が総
じて高くなる。こうした具体的な収
入・コスト両面の改善策を検討すべき
ではないか。

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