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予算執行調査資料(総括調査票) (89 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2024/sy0606/0606b.html
出典情報 令和6年度 予算執行調査の結果を公表します(6月公表分)(6/28)《財務省》
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調査事案名



調



(27)工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)
②調査の視点

③調査結果及びその分析

1.計画策定補助について

(1)補助先の業種別の概況や提案された計画の状況
○ 環境省の補助実績データに基づき、令和3年度、令和4年度の計画
策定事業者の業種を確認したところ、CO2排出削減困難業種の多い製造業
が約半数を占め、さらに、非製造業については、スーパーマーケットや
介護施設の割合が高い【図1】。
【図1】業種の分布
(参考)支援件数
(n=67)

【調査対象先数(全て書面調査)】
【調査対象年度】
令和3年度、令和4年度 ・環境省
・計画策定事業者67者
※令和3年度32者、令和4年度35者
※回答数:41者、回答率:約61.2%

製造業

非製
造業

スーパーマー
ケット等
31%

その他サービス業等
26%

旅館・ホテル
11%

病院
12%

介護施設
20%

・スーパーマーケット等
令和3年度:6件
令和4年度:5件
・介護施設
令和3年度:4件
令和4年度:3件

今回の調査結果を確認したところ、スーパーマーケット及び介護施設におけるCO2削減の取組は、SHIFT事業のウェブサイトに掲載さ
れている事例集や脱炭素化実践ガイドラインにおいて紹介されている取組と基本的に同じ内容となっている【表1】。
【表1】事例集記載の取組例と実際の提案内容
業種



令和元・2年度の事例集に記載のある取組例

令和3・4年度の実際の提案内容

(下線は取組例と同一の対策)

スーパー
マーケット

高効率空調の導入、高効率冷凍冷蔵設備の導入、高効率給湯器の導
入、空調の設定温度の変更、LED照明の導入、商品陳列の見直し

高効率空調の導入、高効率冷凍冷蔵設備の導入、空調の設定温度の
変更、LED照明の導入、照明点灯時間の短縮

介護施設

高効率空調の導入、高効率給湯器の導入、LED照明の導入、節水シャ
ワーヘッドへの更新

高効率空調の導入、高効率給湯器の導入、高効率冷凍冷蔵設備の導
入、LED照明の導入、空調の設定温度の変更

また、計画策定補助を受けた事業者への調査の結果、実際に提案された対策が「設備導入のみ」又は「設備導入+運用改善2取組以下」
となっている事業者が約3割を占め、運用改善の内容は、事例集に記載のある一般的な省エネの取組、かつ、事業者の実際の導入コストは
ゼロ円との回答であった【表2】。また、これらの事業者は、CO2排出削減計画の策定を申請要件とする、本事業の設備更新補助で採択さ
れていたことから、実質的に、計画策定支援事業により設備導入コンサル費を高い補助率(3/4)で支援を受けていた状況となっている。
【表2】実際に提案された対策の状況
回答
事業者数

SHIFT
設備導入支援

3者(7%)

3者

設備導入+運用改善1取組

5者(12%)

5者

設備導入+運用改善2取組

3者(7%)

3者

事業者の回答
設備導入のみ

運用改善の具体的な提案内容

不使用時の消灯、空調温度設定、空調フィルター清掃、冷温水の出口温度調整、
冷凍冷蔵設備の抑制運転
(注)いずれも、事業者は導入コスト「ゼロ円」と回
答している。

(2)SHIFT事業のウェブサイト(事例集等)の活用状況
○ 回答があった41事業者のSHIFT事業ウェブサイト活用状況を調査したところ、以下のとおりであった。
活用している:21者、ウェブサイトの存在を知らなかった:20者


④今後の改善点・検討の方向性
1.計画策定補助について

1.計画策定補助について

○ CO2排出削減に取り組む事業者の裾野の拡大につなげる
ため、自力ではCO2排出削減計画策定が困難な中小企業等
に対して支援を行うとの事業目的に沿った支援となってい
るか。
○ 事業の成果を活用して、CO2排出削減に取り組む事業者
の裾野拡大ができているか。





補助を受けた事業者でも十分認知されていない状況を踏まえると、本事業による計画策定補助を受けていない事業者の認知度は低い
ことが想定され、CO2削減に取り組む事業者の裾野の拡大につなげることができていない可能性が高い。

○ 本事業は、CO2排出削減に取り組
みたいが、自力ではCO2排出削減計画
策定が困難な中小企業等に対して支
援を行うものであり、優良事例が積
み上がっていることに鑑み、今後に
ついては、策定された計画が優良事
例の範囲内に留まらぬよう、支援対
象を設備の運転データ等に基づくよ
り高度な計画策定に限るなど、メリ
ハリをつけて、真に自力ではCO2排出
削減計画の策定が困難な中小企業等
に重点化すべき。
○ また、実態として設備導入のコン
サル費補助となっている支援例も見
られることから、策定する計画につ
いては、
・設備導入以外の一定数以上の対策
検討を義務付けるとともに、
・計画策定補助を受けた事業者が、
本事業の設備更新補助を受ける際
には、設備更新補助以外の複数の
対策を実行に移していることを要
件とする
等の見直しを行うべき。
○ また、SHIFT事業ウェブサイトが
十分に認知・活用されていないこと
から、環境省の他事業との連携に加
え、関係省庁とも連携し、様々な機
会を活用して広く周知を図ることで、
CO2排出削減に取り組む事業者の裾野
拡大を図るべき。
例えば、環境省において実施して
いる環境金融事業等を活用して、脱
炭素関連融資を実施する金融機関に
SHIFT事業ウェブサイトの事例集等を
活用してもらうなどが考えられる。

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