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提案書12(2200頁~2401頁) (108 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

脊損の起立性低血圧(以下、OH)は、受傷1週以内の発生率は全高位脊損で60%、1ヶ月目で頸損と高位胸損に発生が持続する
が、理学療法的処置(坐位・立位をとるなど)により麻痺重症度にかかわらず、四肢麻痺者のOHが改善した。
脊髄損傷者における実質的な認知機能障害を報告する多くのエビデンスが存在し心血管系制御障害などが、潜在的な共同要因
として挙げられた。(※4)
脊損で生じる起立性低血圧による極端な低血圧から自律神経過反射中の異常高血圧までの血圧の著しい不安定性は血管損傷に
つながり、その結果 脳卒中、心臓病のリスクが高まっていた(年齢性別調整後OR 3.72、2.72)(※5)。
3

ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等の改
訂の見込み等を記載する。)
1,200名
67,200回
1 推定患者数
日本脊髄障害医学会が行った全国疫学調査から、本邦での外傷性脊髄損傷の発生率(Frankel A-D)は、人口100万人あたり49人
で新規年間6,220人程度と推察され、頚髄損傷は約88%の5,400人程度と推計できる(Miyakoshi N, et al. A nationwide
survey on the incidence and characteristics of traumatic spinal cord injury in Japan in 2018.Spinal Cord. 2021.
59(6):626-634.)。
そのうち最重症の運動完全麻痺Frankel A-Bの患者は頸髄損傷の約30%で、特に重篤な起立性低血圧を生じやすい対象患者は
年間1,200名と試算される。

※患者数及び実施回数の推定根拠等

2 推定実施回数
受傷から3-6ヶ月ほどが最も起立性低血圧が起こりやすい時期であることから、北海道せき損センターでは、入院翌日から症
状が出現がしにくくなる約6ヶ月程度実施しており(年間対象患者60名程度 頚髄損傷患者の平均在院日数約8ヶ月)、起立性低
血圧による重篤なADL障害発生事例は数年に1例程度である。
今回提起した一連の処置のうち少なくとも1つは毎日実施されていることから、
6ヶ月×30日×1,200人=216,000回を実施している。
しかし今回の提案においては、受傷後の最も血圧変動が大きくかつ、その時期リハビリテーション介入の阻害因子となりうる
期間である8週までと限定すると、
56日×1,200人=67,200回に相当する。

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体制
等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門性
や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の要
件)

ガイドライン等での難易度認定はないが、脊髄損傷後の合併症として起立性低血圧を十分認識していることが求められる。過
度な収縮期血圧上昇は肺水腫や脳出血など重篤な合併症を生じうることから、身体所見等から血圧低下や意識消失などの変化
を観察でき、適切な対応ができる熟練した医師・看護師が必要である。また起立性低血圧出現時の身体所見は様々であること
から、脊髄損傷に精通した医師が少なくとも1名は常勤している施設での算定が望ましいと考える。
脊髄損傷に精通した医師が少なくとも1名は常勤していること
(1)ベッドの背上げ、看護師1名 (2)車椅子後傾、看護師2-4名 (3)弾性ストッキング・腹帯、看護師1-2名
症状急変に対応できる医師(脊髄損傷に診療に関連する各科医師のうち、最低1名はいずれかの科の専門医)は最低1名必要で
ある。
特になし

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

起立性低血圧は脊髄損傷の併発症としての自律神経障害から生じるため、過度な収縮期血圧上昇は肺水腫や脳出血など致命的
合併症につながる場合がある(国立障害者リハビリテーションセンター研究紀要、2009.30.pp.31-37)。体位変換時には血圧測
定を繰り返す必要があり、症状の観察に熟知した医師・看護師等が行う。
脊髄損傷患者の死亡原因の調査では、脳血管疾患が4.4%で第6位であり日米でほぼ同じである(脊髄損傷の治療から社会復帰
まで 全国脊髄損傷データベースの分析から 保健文化社、2010, pp164)。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし



妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)

⑩希望する診療
報酬上の取扱い
その根拠

区分
関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

100点
脊髄障害のリハビリテーションは、脳血管疾患等リハビリテーション料に該当するが、今回の予防処置は病棟内で実施するリ
ハビリテーションに相当すると考えられる。そのため、H001 3(Ⅲ)(1単位)に準じた100点と試算した。
起立性低血圧症状の悪化により、頸髄損傷患者のADL獲得が遅延する期間は、約1ヶ月程度のことが多い。頸損患者の退院前
1ヶ月の平均診療点数は89,750点(資料:北海道せき損センター)であり、起立性低血圧による入院期間の遷延が防げた場合、
対象者1,200名とすると総額1,077,000,000円/年の削減が見込まれる。
(ここから)外保連試案データ--------------------------外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):7,591円
外保連試案2022掲載ページ:326
外保連試案ID(連番):T62-19011
技術度:B 医師(術者含む):1 看護師:1 その他:0 所要時間(分):120
------------------------------------------------------------------(ここまで)

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番号
技術名

具体的な内容

頚髄損傷ならびに高位胸髄損傷患者では、自律神経障害としての起立性低血圧は避けられない併発症である。よって積極的予
防策の介入が重症化防止に必要であり、代替えとなる技術はないため、減点・削除が可能な項目はない。

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