提案書12(2200頁~2401頁) (69 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
349102
提案される医療技術名
脊髄ヘルニア修復術
申請団体名
日本脊髄外科学会
提案される医療
技術が関係する
診療科
主たる診療科(1つ)
29脳神経外科
関連する診療科(2つまで)
30整形外科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
リストから選択
「実績あり」の
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する
無
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 190
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
脊髄ヘルニアは稀な病態であり、主として中高年者胸椎高位の脊髄腹側硬膜に欠損が生じ、同部に脊髄が陥頓して重度の脊
髄症を呈する。進行性の病変であり硬膜内操作による脊髄の癒着剥離、整復、再陥頓の予防手術が必要となる。脊髄に接触
しながら脊髄腹側の操作を行い、時には脊髄を圧迫牽引する必要がある。手術による神経障害のリスクがあり、神経モニタ
リング下に精緻な操作が求められる高難度手術である。
脊髄ヘルニア
術式には様々なものがあるが、脊髄と硬膜の癒着を剥離して、陥頓した脊髄を正常位置に整復し、脊髄腹側の欠損孔を塞
ぐ、あるいは拡大し陥頓を予防する手術が必要となる。脊髄腹側で癒着剥離、硬膜修復術が行われるため手術難易度が高
く、顕微鏡下操作にて6時間程度の長い手術時間を要する。髄液漏による低髄液圧症候群や難治の慢性硬膜下血腫を来たす
症例もあり、生命の危険もある深刻な病態に対する外科治療である。現状では、本手術に相当する適切な保険項目がなく、
脊髄障害の悪化を防ぐため顕微鏡下視野での繊細な手術手技が必要であり、新規項目として設定することが望ましい。
文字数: 271
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
・欠損硬膜に脊髄が陥頓し脊髄症状を呈している脊髄ヘルニア患者
・MRIや脊髄造影,脊髄造影後CTにて硬膜腹側に脊髄が癒着,陥頓所見を呈している
・脊髄半側切断症候群、痙性麻痺、しびれや下肢痛などの脊髄障害を示す患者
・全身麻酔を受けることが可能な患者
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
多くの脊髄ヘルニアは胸髄高位で脊髄腹側が硬膜に陥頓しているため、後方進入にて3-4椎弓を切除し、硬膜切開後、硬膜
内操作にて癒着陥頓した脊髄腹側を愛護的に硬膜より剥離し、脊髄を整復し、陥頓孔を閉鎖あるいは修復する処置を行い、
切開した背側硬膜を閉鎖する。通常、患者1人につき手技は1度であるが、難治例・再発例に対しては、複数回実施されるこ
ともある。
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
区分
K
K191 1,K191 2,K188-3, K142
脊髄腫瘍摘出術(髄外のもの)、脊髄腫瘍摘出術(髄内のもの)、癒着性脊髄くも膜炎手術、椎弓切除術、椎弓形成術
番号
医療技術名
既存の治療法・検査法等の内容
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
全身麻酔下、腹臥位で行う顕微鏡下手術であり、これまで適切な医療技術名がないため硬膜外操作である椎弓切除術や椎弓
形成術、あるいは、脊髄腫瘍摘出術の範疇にて対応されてきた。また、2022年に保険収載された癒着性脊髄くも膜炎手術は
手技に類似する部分があるものの、脊髄ヘルニア修復術はさらに癒着剥離以外に、脊柱管内への脊髄還納や再陥頓防止のた
めの硬膜欠損部の閉鎖等の手術操作が必要であり、難易度が数段高い。
硬膜に陥頓し脊髄症を呈した脆弱な脊髄そのものを触る手術であり、手術難易度としては、髄外脊髄腫瘍摘出術と、髄内脊
髄腫瘍摘出術の中間に位置すると考えられる。また、癒着性脊髄くも膜炎手術が癒着を剥離するにとどまるのに対し、脊髄
ヘルニア修復術ではさらに欠損孔を塞ぐ等複雑な操作があり脊髄障害の危険があることから、より高い点数が必要と考え
る。
・脊髄ヘルニアの外科治療例100例のレビューでは、術後症状改善70例(73%)、変化なし19例(20%)、悪化6例(7%)
である。(文献1:J Spinal Cord Med, 2009; 32: 86-94)
・37例の脊髄ヘルニア症例において、症状が生じてから診断されるまでの期間は、特に60歳未満の20例では20ヶ月(中央
値)と長く、診断が難しいことが示された。また、経過中37例中5例(14%)で症状の進行を認めた。(文献2:Spine J,
2015; 15:1943-48)
・本邦において1994年から2006年の脊椎脊髄手術登録15,805例中、脊髄ヘルニア手術症例は12例(0.08%)であった。(文
献3:J Neurosurg Spine, 2009; 11: 310-19)
・本邦において1994年から2011年の脊椎脊髄手術登録30,469例中、脊髄ヘルニア手術症例は18例(0.06%)であった。(文
献4:Spine, 2018; 43: 1552-8)
4
ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性
年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)
※患者数及び実施回数の推定根拠等
⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等の 希少疾患であり、ガイドライン作成は困難だが、今後学会主導の
改訂の見込み等を記載する。)
治療指針は作成される可能性がある。
80人
80件
脊髄ヘルニア修復術 文献上(文献3、4)、全脊椎脊髄手術の0.06-0.08%と概算されている。年間12万件の脊椎脊髄手術
(2020年度国内DPCデータ)とすると、約80件/年と推測され、稀な手術であると考えられる。
技術度D。顕微鏡下に脊髄硬膜あるいは脊髄への微細な操作を要するため、サブスペシャルティ領域の専門医による手術が
望ましい。
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