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提案書12(2200頁~2401頁) (158 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

・対象とする患者:3月以上の保存的治療によっても十分な改善を得られない、脊髄障害を原因とする排便障害を有する患者(直腸手術後の患者
を除く)。
・技術内容:
C119 在宅経肛門的自己洗腸指導管理料 800点
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等 に届け出た保険医療機関において、在宅で経肛門的に自己洗
腸を行っている入院 中の患者以外の患者に対して、経肛門的自己洗腸療法に関する指導管理を行った場合に算定する。
注2 経肛門的自己洗腸を初めて実施する患者について、初回の指導を行った場合は、当該初回の指導を行った月に限り、導入初期加算として、
500点を所定点数に加算する。
C172 在宅経肛門的自己洗腸用材料加算 2,400点
・算定の留意事項:
(1) 在宅経肛門的自己洗腸指導管理料は、3月以上の保存的治療によっても十分な改善を得られない、脊髄障害を原因とする排便障害を有する患
者(直腸手術後の患者を除く。)に対し、在宅で療養を行っている患者自ら経肛門的自己洗腸用の器具を用いて実施する洗腸について、指導管理
を行った場合に算定する。
(2) 指導に当たっては、経肛門的自己洗腸の適応の可否についての評価を行い、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱い
について」別添1の第16の10に掲げる医師及び看護師が指導計画を作成する。指導計画及び実施した指導内容は診療録等に記載する。
(3) 「注2」に規定する導入初期加算については、新たに経肛門的自己洗腸を導入する患者に対し、(2)の医師又は看護師が十分な指導を行った場
合、当該初回の指導を行った月に1回に限り算定する。
(4) 実施に当たっては、関係学会の定める経肛門的自己洗腸の適応及び指導管理に関する指針を遵守すること。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

119

医療技術名

在宅経肛門的自己洗腸指導管理料
本療法が保険適用された2018年4月から、当該療法講習実行委員会で蓄積しているデータでは、2023年3月の段階で約415例の患者が本療法を使用
しており、有効性の評価としている治療継続率は72.5%である。対象者の平均年齢は28歳であり本療法により復学、社会復帰が得られていること
から社会的経済面からも有用である。また、小児患者に関しては、排便自立を促進させる効果も期待されており、使用成績調査の満足度では、患
者本人よりも親の方が高い結果となった。本療法は、排便管理をサポートする両親の負担軽減にも寄与している。
今回保険適用の拡大を希望している対象についての海外で報告されているアウトカムは、次のとおりである。
【小児の直腸肛門手術後】
小児領域に関しては、2017年にコンセンサスレビューが報告されており、鎖肛やヒルシュスプルング病も含まれている27件の臨床研究の平均成功
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 率は約78%と明示されている。
2021年にイタリアで報告された論文レビューでは、鎖肛やヒルシュスプルング病を含めた小児疾患の20件の論文から集計した916名の患者のう
後等のアウトカム
ち、817名(89%)が本療法導入後に臨床的な改善(禁制の向上、失禁の減少)がみられ、本療法の有効性が示された。(※参考文献3)
【直腸癌の直腸手術後】
LARSに対するコーンカテーテルを用いた本療法の有効性と安全性に関して、フランスでランダム化比較試験が行われ、良好な成績が報告されてい
る(※参考文献4)。その研究では、15例のLARS患者に3ヶ月間本療法が施行され、有効性に関しては、LARSの重症度を評価するLARSスコア(最
善:0点~最悪:42点)の中央値が、治療前37.4点から治療後21.3点と有意に改善した。また、本療法における成功率は継続率として表現される
ことが多いが、15例全例が本療法を継続し、成功率100%と良好な結果であった。安全性に関しては、15例全例で大腸穿孔を含めた重篤な有害事
象は発生しなかった。

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

【海外】
①「NICEガイダンス(2022年改訂)」難治性排便障害に対する治療効果として便秘や便失
禁を減らし、QOLが改善されることにより患者の尊厳と自立を促進させることが明記されて
いる。ここで評価され、適応とされている対象は小児と成人の両方、また原因疾患は脊髄
障害に限定されてはいない。
②2021 Management guidelines for low anterior resection syndrome –the MANUEL
project(※参考文献5)
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す LARS(低位前方切除術後症候群)による排便管理のガイドライン。ここでは、リハビリを
る。)
含めた保存療法に奏功しない患者の次の選択肢として、経肛門的洗腸療法の位置づけを明
確にしている。
【国内】
2017便失禁診療ガイドライン:洗腸には手間と時間がかかるため、重症の便失禁や便秘症
が適応である。高度な排便障害を呈する低位前方切除術後の排便障害(低位前方切除後症
候群)にも有用である、と記載され、外科治療の前に選択される専門的保存療法の位置づ
けである。推奨度B
2023年に改訂予定。

具体的な本療法の適応患者数について(②③が適用拡大部分)
①脊髄障害(脊髄損傷と二分脊椎)で本療法が適応と思われる患者数:6,484人
②直腸肛門術後の小児外科疾患で本療法が適応と思われる患者数:526人
③LARS(低位前方手術後症候群)で本療法が適応と思われる患者数:2,009人
本療法が適応と思われる対象患者数:①+②+③=9,019人
【本療法を実際に受ける予測患者数:3,391人】
本療法を受ける患者の割合*(本療法実施患者数/本療法を紹介した患者数)
(①6,484+②526+③2,009)×80%=7,215人
7,215人×長期継続率** 47%=3,391(①2,438+②198+③755)人、そのうち適用拡大による増加患者数は②と③の953人
【本療法の予測患者数の推移】
日本では約10年かけて、年間最大患者数3,391人に到達することを予測。初年度年間症例数は339人と算出する。
*本療法を受ける患者の割合は、2019年2月22日第3回経肛門的洗腸療法講習実行委員会における議論の結果を参考にした。
**長期継続率は、日本では2018年4月から導入開始しており長期成績の算出が難しいため、Peter Christensen, Long-Term Outcome and Safety
of Transanal Irrigation for Constipation and Fecal Incontinence DISEASES OF THE COLON & RECTUM VOLUME 52: 2(2009)の5年間の継続率
を参考にした。

年間対象者数の
変化

見直し前の症例数(人)

415名(2023年2月28日現在の継続使用患者の実数)、推定患者数は2,438人

見直し後の症例数(人)

対象が拡大された場合の難治性排便障害の最大患者数:3,391人、初年度は339人

年間実施回数の
変化等

見直し前の回数(回)

在宅経肛門的自己洗腸指導管理料:4,980回=415人×月1回×12ヶ月、推定計算上では、29,256回=2,438人×月1回×12ヶ月

見直し後の回数(回)

在宅経肛門的自己洗腸指導管理料:40,692回=最大患者数3,391人×月1回×12ヶ月

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

日本大腸肛門病学会における位置づけ:便失禁診療ガイドライン:洗腸には手間と時間がかかるため、重症の便失禁や便秘症が適応である。外科
治療の前に選択される専門的保存療法の位置づけである。推奨度B
経肛門的洗腸法の技術的な難易度は、外保連試案の技術難易度を参考にし、高圧(高位)浣腸と同等である技術度区分Bに分類する。

現状では、施設の要件はなし。ただし安全性と有効性を更に担保するため、専門家として医師と看護師が1人以上指定の講習会を受講することを
施設の要件
必須とする。「経肛門的自己洗腸の適応及び指導管理に関する指針」では、本療法を実施する際には、講習会を含めた全3回のトレーニングを受
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 講すること又は本療法の十分な経験を有する者による指導を受けることを推奨すると記載されている。
制等)
今回適用拡大が認められる場合には、本推奨は要件化する。
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

現行の施設基準を基に今回保険適用の拡大を希望する患者を追加した【脊髄障害または直腸肛門手術を原因とする難治性排便障害】に変更を要望
する。
1 在宅経肛門的自己洗腸指導管理料の施設基準
人的配置の要件
(1)脊髄障害または直腸肛門手術を原因とする難治性排便障害を含めた大腸肛門疾患の診療について5年以上の経験を有する常勤の医師が配置
(医師、看護師等の職種や人数、専門
されていること。
性や経験年数等)
(2)脊髄障害または直腸肛門手術を原因とする難治性排便障害を有する患者の看護について3年以上の経験を有する専任の看護師が配置されて
いること。
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 実施に当たっては、関係学会の定める「経肛門的自己洗腸の適応及び指導管理に関する指針」を遵守すること。
要件)

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