提案書12(2200頁~2401頁) (138 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
351203
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
椎間板内酵素注入療法(椎間板髄核融解術)
日本脊椎脊髄病学会
30整形外科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
29脳神経外科
関連する診療科(2つまで)
31麻酔科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
提案当時の医療技術名
令和4年度
椎間板内酵素注入療法(椎間板髄核融解術)
有
追加のエビデンスの有無
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
提案される医療技術の概要(200字以内)
文字数: 175
再評価が必要な理由
K
134-4
1-A 算定要件の見直し(適応)
1-B 算定要件の見直し(施設基準)
1-C 算定要件の見直し(回数制限)
2-A 点数の見直し(増点)
2-B 点数の見直し(減点)
3 項目設定の見直し
4 保険収載の廃止
5 新規特定保険医療材料等に係る点数
6 その他(1~5のいずれも該当しない)
「6 その他」を選んだ場合、右欄に記載
該当する場合、リストから○を選択
該当する場合、リストから○を選択
該当する場合、リストから○を選択
○
該当する場合、リストから○を選択
該当する場合、リストから○を選択
該当する場合、リストから○を選択
該当する場合、リストから○を選択
該当する場合、リストから○を選択
椎間板内酵素注入療法(椎間板髄核融解術)は、椎間板ヘルニアの病因である髄核を標的とし、組織中の基質であるグリコサミノグリカンを融解
する酵素(コンドリアーゼ)を用い、X線透視下に局所麻酔下で椎間板髄核内に投与する術式である。周囲の神経や血管などの重要臓器を回避し
疼痛なく椎間板内の至適位置に投与するためには解剖学的見識・熟練した手技を要するものである。
令和2年度診療報酬改定で5,350点の手技料が新設されたが、本技術を実施するために必要とされる技量・能力および透視装置を有する限定的な施
設においてのみ可能となる治療であることを考慮いただき、また既存の外科的治療(直視下ヘルニア摘出術・内視鏡下ヘルニア摘出術)と比べ新
たな評価軸である費用対効果(※参考文献1)の面に優れるという報告を踏まえて、技術料の見直し(増点)について再評価いただきたい。
【評価項目】
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)
②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項
(ここから)外保連試案データ--------------------------外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):71,916円
外保連試案2022掲載ページ:60-61
外保連試案ID(連番):S93-0097750
技術度:D 医師(術者含む):1 看護師:2 その他:1 所要時間(分):15 以上追記
------------------------------------------------------------------(ここまで)
本技術は椎間板周囲の神経や血管などの重要臓器を回避し椎間板の髄核内の至適位置に針を穿刺し、薬剤を投与する術式であり専門的技術を必要
とする。治療に伴う医師作業あるいは介助量・合併症リスクは椎間板レーザー蒸散法や同種椎間板移植術とほぼ同等である。専門的技術をもって
的確に投与することで治療効果も高く既存の手術治療と比較して腰椎椎間板ヘルニアに対する生活の質の改善において本技術は費用対効果に優
れ、手術療法を回避できることがすでに報告(※参考文献1)されている。このため、新たな評価軸(費用対効果)で考慮いただき、腰椎椎間板
ヘルニアに対する日本の医療費削減のためにも技術料を現行よりも高く再評価していただきたい。
腰椎椎間板ヘルニアを有し、下肢痛腰痛を伴う患者が対象である。
現在、本技術に使用する国内で承認を受けている薬剤はコンドリアーゼのみであり、適応は「保存療法で十分な改善が得られない後縦靭帯下脱出
型の腰椎椎間板ヘルニア」となっている。
投与の前にアナフィラキシーへの対応に備え静脈ルート確保などの救急処置を行える準備をし、X線透視下で穿刺針を神経や血管を損傷しないよ
う椎間板内に到達刺入し、穿刺針が至適位置から移動しないように介助者が保持を行うものである。椎間板穿刺に際しては無菌的操作を実施し、
用時調整したコンドリアーゼ1.25単位(生理食塩水懸濁後総量1mL)を注入する。注入後は穿刺針を抜去し、一定時間監視下で副作用の発現等を
観察する。事前準備から治療までは約3-4時間を要する。その後、日帰り手術とされる場合と、1泊入院で実施される場合がある。コンドリアーゼ
の場合は異種タンパク製剤であることから、重篤な過敏症の発現の可能性を考慮して、患者1人につき手技は1回のみである。
本技術は現在技術料5,350点となっている。外保連試案では医師1名、協力看護師2名、協力技師1名、0.25時間、人件費合計24,743円、償還できな
い費用合計47,173円、合計71,916円でありこちらは診療報酬額を上回り、診療を提供する側としては経常損失となっているのが現状である。
算定の留意事項として以下が設定されている。
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和4年3月4日 保医発0304第1号) K134-4 椎間板内酵素注入療法「適正
使用ガイドを遵守して実施した場合に限り算定する。」「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月
4日 保医発0304第3号)第57の12 椎間板内酵素注入療法において、施設基準と届出に関する事項が設定されている。
K
診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)
134-4
医療技術名
椎間板内酵素注入療法
③再評価の根
拠・有効性
本技術の治療効果は第Ⅲ相治験および市販後臨床研究の結果によると、術後6ヶ月までに実に約8割の患者が著明な改善が得られる(※参考文献
4)としており、手術療法と同等の治療成績と考えることができる。また市販後の臨床研究においても坂野らの報告では、治療後2年間での評価が
報告されており、78%に2年間有効であり、再発例はなかったと報告されている(※参考文献3)。また、患者満足度が80%と高く、85%がこの治
療法を推奨する結果となっている。
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインでは、「酵素注入療法は手術的治療よりも劣り、さらに経皮的髄核摘出術は酵素注入療法よりも劣ってい
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 る」とある(※参考文献2)。しかしながらヘルニア摘出を目的とした手術療法では1年以降の再治療の割合は5-10%であるのに対し、コンドリ
アーゼ投与後1年以降6年までの再治療割合は2.0%のみであった。本技術が奏功した場合、手術療法に比べて本技術が明らかに高い疾病制御をも
後等のアウトカム
たらしており、医療経済的にも大きな効果が得られると期待される。
費用対効果を検証する新たなエビデンスとして岩崎らの報告(※参考文献1)では、椎間板内酵素注入療法+椎間板内酵素注入療法が奏功しな
かった場合に手術治療を行う場合と、初めから手術治療を行う場合とで、医療費だけではなく患者の精神的・肉体的負担や生産性損失も考慮にい
れた費用分析を検討し、本技術は最初から手術治療を行う場合に比べて費用の観点から治療開始後52週の時点でOpen surgeryよりも66万円、内視
鏡下摘出手術より51万円費用負担が少なく、費用対効果に優れた治療法と結論している。
ガイドライン等での位置づけ
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第2版(監修:日本整形外科学会、日本脊椎脊髄
病学会、発行:2011年)
「酵素注入療法は手術的治療よりも劣り、さらに経皮的髄核摘出術は酵素注入療法よりも
劣っている」
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021改訂第3版(監修:日本整形外科学会、日本脊椎
る。)
脊髄病学会、発行:2021年)
「コンドリアーゼ
本薬剤は本邦で開発された2試験の下、本邦で販売承認されたが、いずれの試験もCOIが存
在するので、長期の有効性、安全性に関する報告が今後多数行われることを期待し、現時
点での推奨の判断は見送った。」
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