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別紙1○【先進医療会議】先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について (27 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00053.html |
出典情報 | 先進医療会議(第117回先進医療会議、第142回先進医療技術審査部会 12/8)《厚生労働省》 |
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6.Modality が異なるためやむを得ないことは理解出来るが、本試験で Phoenix ASTRO 基準(血清
PSA nadir 値よりも 2.0ng/mL 以上上昇)で生化学的再発をイベントとして含む 5 年無再発生存割合
が、本試験の比較対照とされている「ロボット支援下根治的前立腺摘除術後の 5 年生化学的無再発
生存率(血清 PSA 値が 0.2ng/mL 以上への上昇)は、74-87%」と比較可能であると考え得る理由につ
いて説明されたい。
なお、申請医療機関で実施された先行臨床試験の論文(日泌尿会誌 109(4):194-203,2018)におい
て「今後、Focal Therapy の有用性について、限局性前立腺癌に対する他治療と無作為化比較対照試
験を行うことが望ましいが、Focal Therapy が根治的治療とコンセプトが大きく異なること(略)からその
実施は困難な状況である。今後、Focal Therapy の概念の周知と、実施に際する環境の改善により、
他治療と無作為化比較対照試験が実施されるようになることが期待される」と考察されている。仮に、
ロボット支援下根治的前立腺摘除術とのランダム化比較試験を実施するとしたら何を主要評価項目と
して評価すべきと考えているのか、申請医療機関の見解を提示されたい。
【回答】
前立腺全摘除術では、PSA を分泌する臓器が全て摘出されるため、血清 PSA 値は0になることが想
定されています。このため、前立腺全摘除術後には、血清 PSA 値のわずかな上昇も再発とされ、
0.2ng/mL 以上の上昇は再発として定義されています。一方、前立腺癌局所療法後は、正常部位が残存
しているため、会陰部圧迫(自転車やバイクのサドルによる物理的な刺激など)や、炎症により、血清
PSA 値は容易に上下します。さらに、残存組織に存在する前立腺肥大症組織が徐々に拡大することに
より、血清 PSA 値は徐々に上昇する傾向を示す場合が臨床的に経験されています。こうした状況を踏
まえ、前立腺癌局所療法後の再発評価方法として、Phoenix ASTRO 基準が、国際的に使用されている
のが現状です(Shoji S, et al. International Journal of Clinical Oncology; 25: 509-20, 2020)。
以上のことは、逆に基準値を揃えることを仮に考えた場合、前立腺全摘除術において 2.0ng/mL 以上
の上昇は再発として定義してしまうと偽陰性が多くなってしまい、前立腺癌局所療法において 0.2ng/mL
以上の上昇は再発として定義してしまうと偽陽性が多くなってしまうことを意味しています。従って、癌の
発生を適切に捉えるためには、むしろ両治療法間で PSA 基準値の設定が異なっているほうが、偽陰性
と偽陽性の観点から適切な評価方法であると考えます。
さらに、前立腺癌は、血清 PSA 値の上昇なくして転移することは極めて稀です。このため、本プロトコ
ールでは、血清 PSA 値から再発とされた症例に対しては、さらに MRI を施行し、前立腺癌が疑われた
前立腺内部の領域に対する生検、および前立腺全体から均等に 12 カ所の生検(系統的生検)を実施し、
再発を明らかにします。MRI で癌が疑われた領域に対する生検と系統的生検の併用により、前立腺内
部に存在する臨床的に意義のある癌の 90%以上が診断可能と報告(Rud E, et al. BJU International;
114: E32-42, 2014) (Baco E, et al. European Urology; 67: 787–94, 2015)されていることから、生検による
癌再発の評価の精度は高いと考えます。われわれの自験例(Shoji S et al., International Journal of
Clinical Oncology; 25: 1844-53, 2020)では、前立腺癌局所療法後に全例で生検を行い、Phoenix ASTRO
基準での再発症例を比較したところ、生検による癌検出症例と Phoenix ASTRO 基準での再発と評価さ
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PSA nadir 値よりも 2.0ng/mL 以上上昇)で生化学的再発をイベントとして含む 5 年無再発生存割合
が、本試験の比較対照とされている「ロボット支援下根治的前立腺摘除術後の 5 年生化学的無再発
生存率(血清 PSA 値が 0.2ng/mL 以上への上昇)は、74-87%」と比較可能であると考え得る理由につ
いて説明されたい。
なお、申請医療機関で実施された先行臨床試験の論文(日泌尿会誌 109(4):194-203,2018)におい
て「今後、Focal Therapy の有用性について、限局性前立腺癌に対する他治療と無作為化比較対照試
験を行うことが望ましいが、Focal Therapy が根治的治療とコンセプトが大きく異なること(略)からその
実施は困難な状況である。今後、Focal Therapy の概念の周知と、実施に際する環境の改善により、
他治療と無作為化比較対照試験が実施されるようになることが期待される」と考察されている。仮に、
ロボット支援下根治的前立腺摘除術とのランダム化比較試験を実施するとしたら何を主要評価項目と
して評価すべきと考えているのか、申請医療機関の見解を提示されたい。
【回答】
前立腺全摘除術では、PSA を分泌する臓器が全て摘出されるため、血清 PSA 値は0になることが想
定されています。このため、前立腺全摘除術後には、血清 PSA 値のわずかな上昇も再発とされ、
0.2ng/mL 以上の上昇は再発として定義されています。一方、前立腺癌局所療法後は、正常部位が残存
しているため、会陰部圧迫(自転車やバイクのサドルによる物理的な刺激など)や、炎症により、血清
PSA 値は容易に上下します。さらに、残存組織に存在する前立腺肥大症組織が徐々に拡大することに
より、血清 PSA 値は徐々に上昇する傾向を示す場合が臨床的に経験されています。こうした状況を踏
まえ、前立腺癌局所療法後の再発評価方法として、Phoenix ASTRO 基準が、国際的に使用されている
のが現状です(Shoji S, et al. International Journal of Clinical Oncology; 25: 509-20, 2020)。
以上のことは、逆に基準値を揃えることを仮に考えた場合、前立腺全摘除術において 2.0ng/mL 以上
の上昇は再発として定義してしまうと偽陰性が多くなってしまい、前立腺癌局所療法において 0.2ng/mL
以上の上昇は再発として定義してしまうと偽陽性が多くなってしまうことを意味しています。従って、癌の
発生を適切に捉えるためには、むしろ両治療法間で PSA 基準値の設定が異なっているほうが、偽陰性
と偽陽性の観点から適切な評価方法であると考えます。
さらに、前立腺癌は、血清 PSA 値の上昇なくして転移することは極めて稀です。このため、本プロトコ
ールでは、血清 PSA 値から再発とされた症例に対しては、さらに MRI を施行し、前立腺癌が疑われた
前立腺内部の領域に対する生検、および前立腺全体から均等に 12 カ所の生検(系統的生検)を実施し、
再発を明らかにします。MRI で癌が疑われた領域に対する生検と系統的生検の併用により、前立腺内
部に存在する臨床的に意義のある癌の 90%以上が診断可能と報告(Rud E, et al. BJU International;
114: E32-42, 2014) (Baco E, et al. European Urology; 67: 787–94, 2015)されていることから、生検による
癌再発の評価の精度は高いと考えます。われわれの自験例(Shoji S et al., International Journal of
Clinical Oncology; 25: 1844-53, 2020)では、前立腺癌局所療法後に全例で生検を行い、Phoenix ASTRO
基準での再発症例を比較したところ、生検による癌検出症例と Phoenix ASTRO 基準での再発と評価さ
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