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提案書16(3000頁~3199頁) (93 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

歯周治療のガイドライン2022においてPISA検査は歯周組織の慢性炎
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載する。) 症表面積を定量的に評価でき、歯周病と全身性疾患との関連を調べ
る際の有用な指標であることが記載されている。
157,000人
628,000回

※患者数及び実施回数の推定根拠等

全ての生活習慣病患者を網羅することが困難であることから、最も関連がある糖尿病を対象とし糖尿病病名があり歯科での受
診がある数を算出したNDB研究(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32103503/Suzuki S, et al. Int Dent J.2020)を参考に
すると患者数は157万人/年となる。そのうち歯周病の治療が必要で医科からの情報提供を受ける患者を10%程度と考えると
157,000人/年となる。この患者が年4回のPISA検査を受けるとすると年628,000回となる。

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

2008年にNesse W.らによって提案されたPeriodontal inflamed surface area (PISA)は広く全世界で歯周病による慢性炎症を
定量化できる方法として世界的に認知されている。また、PISAと全身疾患との関連について多くの研究がなされ、その重要性
が認められている。歯周病に伴う慢性炎症の程度を数値化できるPISAは歯周病と全身疾患の関連を調べる指標として有用であ
ることから、日本歯周病学会においても重要な検査としてガイドライン(歯周治療のガイドライン2022)への記載およびホー
ムページにおいてPISAのバナーを張り普及に努めている。検査は1歯6点法の歯周ポケット検査とBOPからなり、計算により
算出することから難易度はさほど高くない。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体制 特になし
等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門性 特になし
や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の要 特になし
件)

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

PISA検査は安全性の確立されている歯周ポケット検査とBOPの1歯6点法に基づき、計算により導き出されることから副作用
あるいはリスクはほとんどない。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

歯周病に伴う持続する慢性炎症が種々の全身疾患に大きな影響を与えることが知られている。PISA検査により歯周治療の効果
が数値化され、生活習慣病など慢性炎症に大きく影響を受ける全身疾患を有する患者の治療および管理目標となるばかりでな
く、医科との連携により患者の管理が行いやすくなると考えられる。PISA値333mm2以上であると他の要因とは独立しHbA1cを
1.0パーセントポイント増加させること、500mm2以上のグループでhs-CRPレベルに有意差があることなどを勘案し、特に生活習
慣病と診断された患者の内、PISA検査によりがPISA値が300mm2を超える場合、生活習慣性歯周病という病名をつけ医科歯科連
携した治療と管理を行っていくことは社会的に極めて重要である。日本の研究でPISAの上昇に伴い、入院患者と総医療費が増
加する傾向が認められている(参考文献5)ことからも医療費抑制など社会的に意義がある。

⑩希望する診療
報酬上の取扱い

関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)
その根拠


50
歯周精密検査は1歯4点以上の歯周ポケット測定、BOPの有無、歯の動揺度、PCR測定が必要であるが、PISA検査は1歯6点法
の歯周ポケット検査と1歯6点法のBOPから計算により算出することから、歯周精密検査に約15%増しの50点を加算すること
とした。

区分

区分をリストから選択

番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし

プラスマイナス
予想影響額(円)

314,000,000円

増(+)

その根拠

NDB研究(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32103503/Suzuki S, et al. Int Dent J.2020)によると、糖尿病病名があり歯
科での受診がある数は157万人である。一般に米国や日本において問題となる重度歯周炎の割合は10%程度と見積もられてい
ることから、10%が重度歯周炎とすると最終的な患者数は157,000人/年程度と推定される。年間患者数を157,000人として年
4回のPISA検査を行うとすると628,000件/年となる。歯周精密検査の加算として50点であるので影響は314,000,000円の増加
となる。

備考

PISA検査は歯周精密検査の加算として算定されるため、歯周精密検査の増加も考えられる。しかし、これまで精密検査を行っ
ていなかった患者に新たに精密検査とPISA検査を行うことは考えずらく、すでに精密検査を行ってきた患者に行われることが
多いと考える。実際に令和3年社会医療診療行為別統計での全歯周精密検査の実施件数は年1,137,728件であり、年間のPISA
検査628,000件は全歯周精密検査の5.5%であることから、多くがこれまでの精密検査に包含されると考えるのが妥当と思われ
る。さらに、PISA検査により生活習慣病の抑制や重症化予防がすすむことで全体の医療費の削減が見込まれる。

予想影響額

⑪提案される医療技術において使用される医薬品、医療機
器又は体外診断薬
(主なものを記載する)

該当無し

⑫提案される医療技術の海外における公的医療保険(医療
保障)への収載状況
※ 該当する場合、国名、制度名、保険適用上の特徴
(例:年齢制限)等

2)調べたが収載を確認できない
該当無し

⑬提案される医療技術の先進医療としての取扱い
⑭その他

1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ
4)概要

⑯参考文献2

d. 届出はしていない
特になし

⑮当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

⑯参考文献1

1)を選択した場合は、下の欄に詳細を記載。

1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ

日本臨床歯周病学会
Periodontal inflamed surface area: quantifying inflammatory burden.
Nesse W, Abbas F, van der Ploeg I, Spijkervet FKL, Dijkstra PU, Vissink A.
J Clin Periodontol.35:668-673,2008.doi: 10.1111/j.1600-051X.2008.01249.x
炎症を生じた歯周炎症表面積を定量化するEXCELスプレッドシートを開発し、これにより容易に歯周病に伴う慢性炎症を定量
化が簡単かつ臨床に広く応用できるシステムを構築することに成功した。
Dose–response relationship between periodontal inflamed surface area and HbA1c in type 2 Diabetics.
Nesse W, Linde A, Abbas F, Spijkervet FKL, Dijkstra PU, Brabander ECD, Gerstenbluth I, Vissink A.
J Clin Periodontol.36:295-300,2009. doi.org/10.1111/j.1600-051X.2009.01377.x
2

4)概要
1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ

2型糖尿病患者ではPISA が高いほど、HbA1c レベルが高かった。グループレベルでは、333 mm の PISA の増加は、他の要因の
影響とは関係なく、HbA1c を 1.0 パーセントポイント増加させることが示された。
Periodontal inflamed surface area is associated with hs-CRP in septuagenarian Japanese adults in cross-sectional
findings from the SONIC study.
Miki K, Kitamura M, Hatta K, Kimide K, Gondo Y, Yamashita M, Takedachi M, Nozaki T. ei al.
Scientific Reports 11: 1-8, 2021. doi.org/10.1038/s41598-021-93872-8

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