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資料 Ⅱ-1-1 2025年度予算編成における課題 (36 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html
出典情報 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》
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患者本位の治療の確⽴に向けた取組み(研究の推進とガイドラインの策定)資料Ⅱ-1-36
○ 休薬・減薬に係る研究は、新薬開発の研究とは異なり活発とは言えないが、治療の質を維持しつつ、医薬品の投与量を減らすことができるのであれば、
患者にとっての意義も大きい。ただし、高額療養費制度があるため、患者側・医療機関側ともに高額医療に対するコスト意識が働きづらく、仮に同等の
効果を得られる医療をより低廉に受けられるとしても、現場でそれが実際に選択されるとは限らない。
○ 現在、⾰新的な作用機序を有する医薬品に対し、最適使用推進ガイドラインが導⼊されており、患者や医療機関等に関する要件が設けられているが、
同ガイドラインの対象医薬品は限定的であり、そもそも、減薬・休薬を含む患者本位の治療の実現や経済性の観点は盛り込まれていない。
(参考)経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針2024)(令和6年6月21日閣議決定)(抄)
休薬・減薬を含む効果的・効率的な治療に関する調査・研究を推進し、診療のガイドラインにも反映していく。
◆肺がん治療での薬剤投与を減量した場合も同等の効果が得られた例
① EGFR変異陽性非⼩細胞肺がん治療に用いる分子標的薬剤の用量を減ら
した場合でも、効果が同等以上であると⽰唆される研究。

② 非⼩細胞肺がん治療に用いる免疫チェックポイント阻害薬を(患者の体重
に応じて)減らした場合でも、効果が同等以上であると⽰唆される研究。

Jänne, PA, et al. AZD9291 in EGFR inhibitor–resistant non–small-cell lung cancer. N Engl J
Med 2015;372:1689-1699
Brown, K, et al. "Population pharmacokinetics and exposure‐response of osimertinib in patients with
non‐small cell lung cancer." British Journal of Clinical Pharmacology 83.6 (2017): 1216-1226.
Awano N, et al. “Outcome of osimertinib-treated patients with EGFR mutation-positive NSCLC
requiring dose reduction.”. Jpn J Clin Oncol 2024, in press

Low, JL, et al. "Low‐dose pembrolizumab in the treatment of advanced non‐small cell lung
cancer." Int J Cancer 2021; 149: 169-176.
Malmberg, R, et al. "Alternative dosing strategies for immune checkpoint inhibitors to improve costeffectiveness: a special focus on nivolumab and pembrolizumab." Lancet Oncol 2022;): e552-e561
Grit, GF., et al. "Real-world overall survival after alternative dosing for pembrolizumab in the
treatment of non-small cell lung cancer: A nationwide retrospective cohort study with a noninferiority primary objective." Lung Cancer 2024; 196: 107950.

【仮に、こうした論文の検証研究が日本でも結実し、臨床に反映された場合】
 標準量80mg(18,540円/日)→ 40mg(9,670円/日)
 当該医薬品の2023年度売上高は1,070億円。一定の仮定の下、年間約
150億円の適正化効果。

【仮に、こうした論文の検証研究が日本でも結実し、臨床に反映された場合】
 標準量200mg(42万円/回) → 100mg(21万円/回)
 当該医薬品の2023年度売上高は1,650億円。一定の仮定の下、年間
約140億円の適正化効果。

◆最適使用推進ガイドライン
対象医薬品

・新規作用機序を有する⾰新的な医薬品及びその類薬
※現在23種類(59適応)の医薬品についてガイドラインを策定

より幅広い医薬品についてガイドラインを策定すべき

ガイドラインに盛り込む内容

・対象医薬品の使用が最適だと考えられる患者の選択基準
・対象医薬品を適切に使用できる医師・医療機関等の要件

対象患者の状態に応じた投与量の調整など
治療最適化の観点からの使用⽅法も盛り込むべき

【改⾰の⽅向性】(案)
○ 患者本位の治療の確⽴に向けては、⺠間による調査研究が活発に⾏われにくい、減薬・休薬に係る研究など、コスト⾯を含む治療の最適化に
関する研究・調査について、国として積極的に進めていく必要がある。
○ 最適使用推進ガイドラインについて、より幅広い医薬品を対象とするとともに、各学会が定める診療ガイドラインも含めた各種のガイドラインにおい
て、費用対効果評価の結果に基づく経済性の反映のほか、減薬・休薬を含めた投与量の調整⽅法など治療の最適化に関する事項についても
盛り込むべき。