よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


提案書17(3200頁~3401頁) (184 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

④有効性・効率性 *要修正、エビデンス追加
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

1a
ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

心不全患者の再入院には、不整脈や心筋梗塞、高血圧症、感染症等の医学的要因に限らず、服薬管理や食事療法、運動療法
等に対するアドヒアランスの不良や生活調整の失敗、身体的・精神的ストレス(抑うつ、うつ病)等が密接に関与してい
る。心不全の疾病管理には薬物治療・非薬物治療の最適化に加え、服薬遵守率の向上、塩分・水分管理、症状モニタリン
グ、身体活動の促進などのセルフケア支援、心理社会的支援などが含まれる。心不全の増悪は心疾患の悪化のみならず、水
分や塩分の過剰摂取、服薬の自己中断、症状のモニタリング不足などが誘因となることが少なくない。衣笠らは、「入院中
の多職種による集中教育は農村地域に住む日本人心不全患者の心不全による再入院、心臓死52%有意に減少した」「この結
果は心不全の社会経済的負担の軽減に貢献する可能性がある」と述べている1)。北川らの研究でも、「チームアプローチに
よって入院回数、入院期間、入院コストいずれも効果があった」と報告している2)。また、山内らは、慢性心不全患者の再
入院予防のための看護支援に関する実態調査の中で専門看護師・認定看護師の在職群では退院6週間以内の再入院率が
15.4%と、不在群30.8%に比べ、低下する傾向にあると報告している3)。このように入院中に心不全の増悪予防のための療
養生活支援を効果的・効率的に実施するためには、質の高い専門チームの構築と専門性の高い看護師の関与が重要であり、
在宅での適切なセルフケア実践によって、ある一定数の心不全増悪は予防できる可能性がある。また「急性・慢性心不全診
療ガイドライン(2017年年改定版)」では、多職種による学際的チームアプローチについては、推奨クラスⅠでエビデンス
レベルA、症状モニタリングは、推奨クラスⅠでエビデンスレベルCである。急性増悪による再入院が減少することにより、
患者が希望する住み慣れた地域での生活が延伸することは、患者のQOLを高め、同時に医療費や介護費用の抑制につなが
る。効果的なチームアプローチには、医学的な視点だけではなく生活者としての視点をもち、全人的アプローチが可能な優
れた看護師の存在が必要である。チーム構築だけでは効果はなく、チームがダイナミックに動くためには看護師の調整力と
リーダーシップが問われる。そして、調整力とリーダーシップの発揮には、経験と専門的な知識・技術の保持が求められ
る。2023年3月に本学会が調査した結果4)、5)では、回答のあった244施設のうち、心不全チームを有する施設は120施設
(49.4%)であった。200床以下の施設から1000床以上の施設まで病床数に寄らずチームが構築されたいた。そのチームメ
ンバーについては5年以上の経験を有する医師・看護師、3年から5年以上の経験を有する薬剤師、管理栄養士、理学療法士
が80%以上配置されていた。専門性が高い看護師が配置されている施設は70.7%に上った。また、チーム発足前と2021年度
の1年間の再入院率を測定していた15施設でチーム発足前後の再入院率の平均をpaired-t-testで比較したところ、発足前の
25.5%から2021年度は18.7%と有意に低減していた(p=0.002)。チームの有無(有n=120、無n=123)の2群で実践割合を
Mann-Whitney's U testを用いて比較した。チームの有る施設では、標準化プログラム活用が46.7%、心不全手帳活用が
71.8%、カンファレンス開催が95.8%、成果の可視化が44.1%で、チームの有る施設で有意に多く実践されていた。これらの
成果は、心不全チームの多くに配置されてる専門性の高い看護師の影響があると推察される。

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)
122,989人
245,978回

日本循環器学会/日本心不全学会「急性・慢性心不全診療ガイド
ライン」2017年改定、2021年フォーカスアップデート版

※患者数及び実施回数の推定根拠等

入院中死亡例を除く心不全入院患者数250,998人、(2022年、循環器疾患診療において設備内容等施設基準を満たした循環
器専門施設・研修関連施設1,516施設に関する調査結果、JRAODより)に対して、49%の施設に心不全チーム文献竹原)が存
在した場合の年間対象患者数は122,989人となり、1入院期間中週1回、2回実施するとした。

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

心不全診療に精通した看護師として、経験5年以上、600時間以上の研修を終えた看護師として、慢性心不全看護認定看護師
(A課程)445名、2020年度より認定看護師教育課程の改正があり、特定行為研修を組み込んだ「心不全看護認定看護師」(B
課程)58名、慢性疾患看護専門看護師262名、急性重症患者看護専門看護師;387名である。循環器専門医は15,205人(2021
年8月)である。多職種では心不全療養指導士(多職種);5,291名(2022年12月)、心臓リハビリテーション指導士(多
職種);7,022名(2023年2月20日)があげられる。日本循環器看護学会が実施した調査において、心不全チームの構成員と
して、経験年数別では、5年目以上がそれぞれ医師は95.2%、看護師は94.8%、理学療法士91%、作業療法士84.6%、管理
栄養士78.6%、薬剤師78.2%、医療ソーシャルワーカー74.0%であった4)。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)

1)心不全患者指導管理における多職種からなる専門チームがあること 2)チームカンファレンスが定期的(週1回程
度)に開催されていること 3)標準化された療養支援プログラムを作成していること 4)クリニカルパスや心不全手帳
等の情報共有や支援計画の継続性を保証するツールを活用していること

人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門
性や経験年数等)

チームメンバーの構成(5年以上の心不全治療の経験を持つ医師、心不全看護の経験を持つ専門性の高い看護師(5年目以上
の経験と所定の研修を修了していること)、3年以上の心不全患者の薬剤指導管理の経験をもつ薬剤師、3年以上の心不全患
者の栄養指導管理の経験をもつ管理栄養士、3年以上の心不全患者のリハビリテーションの経験をもつ理学療法士、3年以上
の経験をもつMSW)

その他
(遵守すべきガイドライン等その他の
要件)

日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)、2021年 JCS/JHFS
ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療、2021年改訂版循環器疾患における緩和ケアについての提


⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

副作用などのリスクなし

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

倫理的、社会的妥当性に問題なし



妥当と思われる診療報酬の区分
⑩希望する診療
報酬上の取扱い

点数(1点10円)
その根拠
区分

関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

予想影響額

300点/回
心臓ペースメーカー指導管理料(ペースメーカーの場合)300点、がん患者指導管理料1500点、緩和ケア診療加算390点(1
日につき)を参考にし、チーム医療であること、チームメンバーに高い専門的知識・技術を求めること、予防による経済的
効果が多岐にわたり、大きいこと。
区分をリストから選択

なし

番号
技術名

具体的な内容

プラスマイナス
予想影響額(円)

減(-)
退院後6カ月以内の再入院を防ぐことができた場合:約1640億円

その根拠

心不全患者1入院あたりの医療費約242万円×1年間の入院心不全患者(死亡退院を除く)250,998人(JROAD2022年)×再入
院率27%=約1640億円

備考

3383