提案書17(3200頁~3401頁) (188 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
606201
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
乳腺炎重症化予防ケア・指導料
一般社団法人
25産婦人科・産科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
日本助産学会
16乳腺外科
関連する診療科(2つまで)
リストから選択
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
提案当時の医療技術名
令和4年度
乳腺炎重症化予防ケア・指導料
有
追加のエビデンスの有無
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
B
001 29
1-A
算定要件の見直し(適応)
1-B
算定要件の見直し(施設基準)
1-C
算定要件の見直し(回数制限)
2-A
点数の見直し(増点)
該当する場合、リストから○を選択
2-B
点数の見直し(減点)
該当する場合、リストから○を選択
文字数: 200
再評価が必要な理由
○
3
項目設定の見直し
該当する場合、リストから○を選択
4
保険収載の廃止
該当する場合、リストから○を選択
5
新規特定保険医療材料等に係る点数
該当する場合、リストから○を選択
6
その他(1~5のいずれも該当しない)
該当する場合、リストから○を選択
「6
提案される医療技術の概要(200字以内)
○
該当する場合、リストから○を選択
その他」を選んだ場合、右欄に記載
既収載乳腺炎重症化予防ケア・指導料で評価されている管理のうち、乳腺膿瘍を形成して[K472]乳腺膿瘍切開術を施行した患者に対して、新た
に切開創の感染予防管理、膿汁と漏出乳汁ドレナージ管理、授乳継続、哺乳困難傾向を示す児への授乳支援、乳腺炎再発予防教育、心理支援、家
族調整支援、授乳中断への葛藤への心理的支援を行う。その難易度や臨床上の有用性を考慮し、別項目を追加設定し、既存項目よりも高い評価と
する。
JMDC保険者レセプトデータ(2019年10月〜2020年9月、14歳から-59歳女性、入院外、ICD10[N61]乳房の炎症性障害により診療行為が行われた患
者、もしくは、[B001]乳腺炎重症化予防ケア・指導料(初回):500点、[B001]乳腺炎重症化予防ケア・指導料(2回目から4回目まで):150
点、[K472]乳腺膿瘍切開術が算出された患者、総数13,500)について分析した。その結果、乳腺炎重症化予防ケア・指導料の初回指導料算定群は
診療日実日数が2.8日、非算定群は3.6日と有意に少ないことが確認され(t(11610)=10.941, p<.001)、乳腺炎重症化予防ケア・指導料の算定に
より短期間に乳腺炎治癒に至ることが明らかとなった。
一方、乳腺膿瘍切開術実施患者の診療実日数平均が13.2日と長期に及ぶことも明らかとなり、乳腺膿瘍切開術が行われた場合、現行の乳腺炎重
症化予防ケア・指導料の初回から4回に限り算定可能という条件下では、切開術実施患者の診療実日数13.2日をカバーできず、十分な支援を受け
られないことが判明した。
乳腺炎は授乳婦の30%程度の頻度で発症し、そのうち、10%程度で膿瘍を合併する(Amir LH, et al, 2004)。従来のうっ滞性乳腺炎等軽症の乳
腺炎からの重症化による膿瘍形成という一連の臨床経過がある一方で、乳管閉塞から蜂窩織炎を合併し急激に膿瘍形成に至るものもある
(Mitchell KB, et al, 2022)。そのため、臨床上、乳腺膿瘍を形成している患者への特段の対応が必要になる事もある。
当該技術は、日本助産学会・日本助産師会の乳腺炎ケアガイドライン2020において、乳腺膿瘍切開術施行症例には、非切開症例に係るケア・指
導に加えて、切開創の感染予防管理、排膿状況の観察および排膿を促進するケアが付加される。加えて、母親の服薬管理(アドヒーランス、耐性
菌等を考慮した薬剤効果の確認)、患側の乳汁分泌低下を回復させるためのケア、切開創を避けた直接授乳指導、哺乳を拒否する児へのケア等に
加えて、母親のメンタルヘルスの不調や家族調整等に対する詳細かつ濃厚なケアが発生する。さらには切開排膿に対する心身の苦痛や困難、再発
に対する予期的恐怖や不安や育児困難への支援や、動揺し葛藤する母親の授乳継続/断乳への共有意思決定支援とそれに伴う具体的ケアが発生す
る。切開術実施患者には、非切開術実施患者にはないこれらの難易度が高く濃厚で確実な追加的指導とケアが必須となるため、従来の算定に加え
てより高い評価が妥当と考える。
加えて、以下に示す不利益を回避するために、乳腺膿瘍切開後の早期治癒促進及び授乳継続の支援は重要である。すなわち、乳腺膿瘍を形成
し、十分な支援を得られなかった場合には、授乳の中断となるだけではなく、次の出産後の母乳育児の意思決定にも大きな影響を及ぼす可能性が
ある。母乳育児の早期中断により、乳児の良好な発育促進、疾患のリスクの減少(APA 2022)、母親の乳がんや子宮体癌のリスクの減少
(Sugawra Y, et al.2012 ),産後うつや育児困難を予防する(Shimao,M.,et al,2021)といった恩恵が得られなくなる。これらの損失は、先進国全
体でGDPの約2400億ドル(¥32,543,880,000,000)との試算であり(Rollins NC.,et al, 2016)、アメリカ合衆国では、年間30億ドルの追加の医
療費の予算が必要であると試算している(CDC, 2016)。
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