提案書17(3200頁~3401頁) (30 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
441111
PEEKによる大臼歯歯冠修復物
公益社団法人
提案される医療
技術が関係する
診療科
日本補綴歯科学会
37歯科・歯科口腔外科
主たる診療科(1つ)
00なし
関連する診療科(2つまで)
00なし
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
「実績あり」の 度)
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
PEEKによる大臼歯歯冠修復物
載する
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 151
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
文字数: 282
有
令和4年度
有
重度齲蝕等により大臼歯歯冠の歯質を大きく喪失した患者に対し、生体安全性が高く、高強度で破折リスクがない非金属性
のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を材料として、コンピューター支援による設計、加工・製作を行うCAD/CAMシステ
ムを用いて歯冠修復物を製作し失われた歯冠を回復し治療する医療技術である。
C、Pul、Per、歯の破損、冠破損(破折)、冠脱離、冠不適合
非金属の大臼歯歯冠修復物としてCAD/CAM冠が保険導入されているが、CAD/CAM冠は破折や脱離の報告があるため、全ての第
2大臼歯が残存し咬合が安定している場合のみに使用されている。破折リスクがないPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)
のブロック材料を使用することで最後臼歯や第2大臼歯が欠損している場合でも大臼歯に適用できるため保険収載が必要で
ある。PEEK材料は生体安全性が高く、金属の使用を嫌う場合や金属アレルギーのある患者にも適用でき、この医療技術によ
り全ての部位に対し非金属材料の歯冠修復により治療の選択ができるようにするためにも保険収載が必要である。
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
C、Pul、Per、歯の破損、冠破損(破折)、冠脱離、冠不適合、大臼歯部に歯冠修復物が必要な歯科用金属アレルギー症状
を示す患者にも適用、年齢は問わない。但し、十分な歯冠高径が少ない場合、部分床義歯の支台歯、高度な審美性の要望の
場合を除く。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
通法どおり支台歯形成、咬合採得、精密印象後に作業模型を作製し、この模型をCAD/CAM装置を用いてスキャニングを行
い、歯冠構造をコンピュータ上で設計する。その後、CAD/CAM加工機を用いてPEE製ブロックを加工し、既存のCAD/CAM冠と
同様の加工を行う。その後、研磨を行い、サンドブラスト等の内面処理を行った後、接着性レジンセメントにて合着を行
う。大臼歯CAD/CAM冠の患者推計の件数と同程度の頻度が見込まれ、治療回数は約3回(支台歯形成、精密印象、装着)が
予想される。
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
区分
番号
医療技術名
M
歯科修復及び欠損補綴
M0011イ、ロ、 M001 2 イ、ロ、 M003 1 ロ、M005 1、 M000-2、 M010 4、 M015-2
歯冠形成、印象採得(連合印象)、装着料、補綴物維持管理料、金属歯冠修復、CAD/CAM冠
既存の治療法・検査法等の内容
CAD/CAM冠(間接法)、金属歯冠修復
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
既存のハイブリッドレジンによる大臼歯CAD/CAM冠は全ての第2大臼歯が残存し、咬合が安定している患者であることが適
用の条件であるが、PEEKはハイブリッドレジンに比較して、高い破壊靭性値があり、支台歯形成においてCAD/CAM冠に比べ
て、歯質削除が少なくてもよく、咬合面やマージン部の厚みが小さくても使用できる。大臼歯CAD/CAM冠が使用できない最
後臼歯においても、また、第2大臼歯が欠損している場合にも第1大臼歯に使用可能である。物性値としての硬度(ビッ
カース)はハイブリッドレジンより小さいが、摩耗性は同等であるというデータもあり、対合歯に対しては摩耗させにく
く、過度の咬合力に対して緩衝作用もあるという特徴も有し、歯根に過度の負担がなく生理的で歯の寿命に有利であること
が期待できる。さらに吸水性が低く、変着色のリスクも少ない。一方、すでに臨床的に高い適合精度を有することが判明し
ているCAD/CAMシステムを有する技工所であれば追加の投資をすることなく製作することができる。さらに、PEEKはCAD/CAM
冠と同様に生体親和性が高く、成分の溶出量が少なく、医科分野では医療機器やカテーテル、体内インプラントなど生体埋
入の実績もある。広島大学病院で新臨床研究法に準拠して20症例を最後方臼歯を含む大臼歯に装着し、6ヶ月間の観察を
行ったところ、脱離、破折は一例も認めず治療法として有効であることが分かった(臨床研究等提出・公開システム
(treial ID: jRCTs062180040)。
広島大学病院で新臨床研究法に準拠して20症例を最後方臼歯を含む大臼歯に装着し、6ヶ月間の観察を行ったところ、脱
離、破折は一例も認めず治療法として有効であることが分かった(参考文献1)。機械的性質についてはクラウン形状で
あっても対合歯を摩耗させることなく、自己摩耗も少ない。PEEKは、口腔インプラントのアバットメントとして高い靭性値
を示し、破折リスクが非常に少なく、緩和効果があり、ショックアブソーバーの役割を示す(参考文献2)。生体親和性に
ついてはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材料は、カテーテルや体内インプラントなどに金属の代替材料として応用さ
れ高い生体適合性が証明され、生体親和性の根拠として体内インプラントへの応用の報告もある(参考文献3)。PEEKはサ
ンドブラスト等で機械的嵌合を与えることで、MMAタイプ(メチルメタクリレート)の接着性レジンセメントの接着が改善
されることが報告されている(参考文献4)。コンポジットレジンでもサンドブラスト処理で臨床的には十分な接着が得ら
れる(参考文献5)。
4
ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性
年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)
※患者数及び実施回数の推定根拠等
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)
日本補綴歯科学会から出されたガイドラインである”保険診療に
おけるCAD/CAM冠の診療指針2020”において歯冠形成、印象採
得、咬合採得、装着の手順は、PEEK冠の作製手順と共通項が多く
準用可能である。
6,064,152
428,705
令和3年の社会医療診療行為別調査の大臼歯への金属歯冠修復(4/5冠を含む)の件数は、5,070,180件(金銀パラジウム合
金)+378,828(銀合金)+615,144件(CAD/CAM冠材料)=6,064,152件である。これらのうち本技術の適用患者数を
428,705件と推計した。
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