資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (104 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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症を抑制させず、死亡率を有意に上昇させた。これには低血糖発作の増
加が関連していたと考えられる。脳梗塞の発症予防には、糖尿病を含む
危険因子(高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙)を包括的にコントロール
することが必要である。
また、糖尿病と脳卒中発症リスクに関連する 64 件のコホート研究のメ
タアナリシスにおいて、他の主要な心血管危険因子における性差とは無
関係に、糖尿病を有する患者の脳卒中発症の相対危険度は、男性と比較
して女性の方が 27%増加するという結果が示された。
(ウ) 脂質異常症(高脂血症)95
海外の研究では高コレステロール血症は脳梗塞の危険因子であること
が報告されている。
低 HDL-コレステロール血症と脳梗塞に関しては、日本人を対象とした
研究では、低 HDL-コレステロール血症が脳卒中及び脳梗塞の独立した危
険因子であることが報告された。
その後、総コレステロールと脳卒中に関しては 29 のコホート研究を解
析した Asian Pacific Cohort Studies Collaboration の結果が発表さ
れ、総コレステロールが1mmol/L(38.7mg/dL)増えると、脳梗塞の発
症が 25%増加することが示された。韓国から発表された観察研究によれ
ば、787,442 人に発症した 6,328 件の脳梗塞のデータを解析したところ、
コレステロール値が高くなるほど脳梗塞の危険度は高まるという結果が
示されている。
一方で日本人を対象とした脳梗塞を病型別に検討した研究では、動脈
硬化との関連が強い大血管性脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)におい
ては血清総コレステロール値と関連が認められるが、その他の病型では
関連が低いことが示されている。日本を含む東アジア地域での検討では、
血清総コレステロール値が高いことは脳梗塞の、低いことは出血性脳卒
中の発症リスクの増加と関連するというメタアナリシスの報告がある96
ものの、血圧と比べてその重要性は低いとされている。
(エ) 心疾患・不整脈
心房細動は脳梗塞の危険因子である。
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日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2019 対応]. 協和企画. 2019; 30
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Ma C, et al. Low-density lipoprotein cholesterol and risk of hemorrhagic stroke: a Systematic review and
dose-response meta-analysis of prospective studies. Curr Atheroscler Rep. 2019; 20; 21: 52
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