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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (85 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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塞の初発発症で男性 30~60/10 万人・年(標準人口)、女性 10~20 人/10 万
人・年(標準人口)であることが報告されている。
旧厚生省疫学共同研究班の結果では、1960 年代から少なくとも 1980 年代後
半までは心筋梗塞・突然死発症率に明らかな変動はみられなかった。福岡県
久山町の追跡調査でも、1961 年から 2000 年にかけて虚血性心疾患発症率に有
意な時代的変化はなかった。しかしながら、最近の地域登録研究からの報告
では心筋梗塞発症が増加傾向に転じていることが懸念される。特に大阪、秋
田で実施された検討では男性で、滋賀県高島郡で行われた検討では男女とも
に心筋梗塞発症の増加を報告している58。
(2) 心筋梗塞
ア 概要
心筋梗塞は、病理学的に遷延する心筋虚血に起因する心筋細胞の壊死と定
義される。初期に心電図上で ST が上昇するものと正常又は下降を示すものが
あり、ST 上昇型急性心筋梗塞と非 ST 上昇型急性心筋梗塞に大別される。
イ 成因
心筋梗塞は、多くの場合、冠動脈硬化病変の脂質に富んだプラーク(血管
内膜の限局性肥厚)の破裂に伴う血栓形成で冠動脈内腔の閉塞を来し血流が
途絶し、その持続により心筋代謝の維持が不可能となり、心筋壊死が生じ発
症するものである。なお、プラークの破裂はないが、線維性プラークの表層
がびらん性変化(被膜が薄く、傷ついた状態になること)に伴って血栓を生
じる場合もあり、これをプラークびらんという。
梗塞部位の心筋は壊死し、壊死した細胞はマクロファージによって取り除
かれ、線維組織に置き換わる結果、薄く、収縮できなくなる。一方で、この
梗塞は梗塞が起こらなかった領域にも影響し、血液拍出量を維持するための
代償機転として、非梗塞領域の拡大等が生じる。これらの結果、心筋梗塞を
発症した者は、不整脈や心不全を生じさせやすくなる。なお、心室細動や心
原性ショックで非常に早期に死亡した例では、剖検でも梗塞巣が検出されな
いことがある。

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日本循環器学会ら. 虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012 年改訂版). 2015; 3

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