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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (84 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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質や平滑筋細胞、細胞外基質などの沈着物の病的集積が起き、粥状の隆起性
病変(アテローム性プラーク、粥腫)を形成する反応をいう。粥状硬化の進
行により、プラークの肥厚による血管内腔の狭窄や、プラークの破綻に続く
血栓形成による血管狭窄・塞栓、血管壁の弾力性の低下・脆弱化による動脈
瘤の形成などが生じる。冠動脈の粥状硬化は虚血性心疾患の、胸部・腹部大
動脈の粥状硬化は大動脈解離の原因となる。
ウ 虚血性心疾患等の危険因子
虚血性心疾患等の危険因子(リスクファクター)は冠危険因子と呼ばれ、
主要な原因である動脈硬化に深く関係している。主な危険因子としては、脂
質異常症(高脂血症)、高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、
慢性腎臓病、喫煙、精神的ストレス、年齢、性別、家族歴がある。
このうち、年齢(加齢)、性別(男性であること)、家族歴(家族に虚血性
心疾患や、脂質異常症など危険因子となる他の疾患を発症した者がいること)
はコントロールが不可能なものである。
危険因子の影響は、動脈硬化の病型により異なる。細動脈硬化では高血圧
が最大の危険因子であるが、粥状硬化症には脂質異常症の関与が大きい。ま
た、複数の危険因子が加わると、加重的に発症危険度が増すことが知られて
いる。なお、各危険因子の詳細は後記Ⅱ2(99 頁)のとおりである。
エ 発症の引き金因子
動脈硬化症は、慢性的な経過で進行し、虚血症状出現は疾患の終末期に起
こると考えるのが一般的である。この終末期にある要因が発症の引き金とな
ることがある。この引き金因子が推測可能な例があり、代表的なものが、過
度の身体的、精神的負荷等である。多くの例は、同定できるような引き金因
子なくして、自然経過で虚血症状を発症してくる。
オ 疫学
WHO の死亡統計をもとに、最近の世界各国の虚血性心疾患(急性心筋梗塞及
びその他の虚血性心疾患)死亡率を年齢調整して比べると東欧・北欧の死亡
率が上位を占め、次いで西欧・北米の先進諸国が続いている。
これに対し我が国の死亡率は先進国の中で最も低く、東欧・北欧の 1/8~
1/10、西欧・北米の 1/5 に過ぎない。男女間で比較すると、いずれの国にお
いても男性の死亡率が女性に比べ高いが、この傾向は我が国でも変わりはな
く男性はおよそ2倍のリスクがある。
WHO-MONICA と診断基準を合わせた発症率の国際比較が行われているが、
1990~2000 年における我が国6地域の悉皆調査からの検討から、急性心筋梗
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