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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (154 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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6 心理的負荷を伴う業務と脳・心臓疾患の発症等に関する文献 (1)疫学調査(60文献)

負荷要因

40

調査期間
(発症前)

観察期間

15年間
職場でのプレッ (ベースラ 15年間のフォ
シャー
イン時に ローアップ
測定)

疾病

虚血性心疾患(IHD)

調査対象

デンマークの女性看護師12,116人
(45-64歳)を対象

41

12年間
陰性感情、心理 (ベースラ 12年間フォロー 炎症反応及び冠動脈性 ロンドンの国家公務員6,396人(男性
的苦痛
イン時に アップ
心疾患(CHD)
4,453人、女性1,943人)を対象
調査)

42

肉体的な悪条
件(降雪、強
風、長距離の歩
行と長時間の
直前
連続作業)と心
理的ストレス
(除雪作業に対
する責任)

43

短期的な業務
負荷の増加と
競争の激化
業務に関する
出来事の重複
発生

2000~2004年

心筋梗塞(死亡)

ポーランドで2000~2004年にかけて
労災として民事裁判となった12例

調査方法

調整因子

IHDの家族歴、糖尿病、
更年期の状態、BMI、喫
前向きコホート
煙、アルコール摂取、余
研究
暇時間の身体活動、年


コホート研究

結果

有意性

タイトル

書誌情報

適度プレッシャー群に比べて、プレッシャー過大群(HR 1.38、
95%CI: 1.04-1.81)及びプレッシャーがやや多い群(HR 1.26、
95%CI: 1.03-1.53)ではIHDのリスクが有意に増加した。プレッ
Psychosocial work environment
Occup Environ
シャーの大きさとIHDとの間に用量反応関係が見られた。特 プレッシャーの大
and risk of ischaemic heart
Allesøe K, et al
Med. 2010; 67,
に50歳以下の看護師では有意な関連が認められ、適度プ
きさによってあり
disease in women: The Danish
318-322
レッシャー群に比べて、やや多い群(HR 1.57、95%CI: 1.09Nurse Cohort study
2.25)よりも過大群(HR 1.94、95%CI: 1.25-3.01)のほうがリス
クが高かった。

性別・年齢調整モデルにおいて、高度炎症マーカー濃度は
CHD発症と有意な関連があった(フィブリノーゲン:HR 2.37、
95%CI: 1.55-3.61、CRP:HR 1.31、95%CI: 1.21-1.42、IL-6:HR
1.39、95%CI: 1.20-1.60)。高レベルの陰性感情及び心理的苦
性別、年齢、民族性、雇 痛と、炎症マーカー濃度との間には有意な関連は見られな
用グレード、従来の心疾 かった。陰性感情(Relative index of inequality)(HR 1.68、
患危険因子
95%CI: 1.20-2.36)及び高度心理的苦痛(HR 1.66、95%CI:
1.28-2.14)はCHD発症と有意な関連があり、炎症マーカー濃
度について調整後もこの関係性は有意であった。陰性感情
及び心理的苦痛と、CHD発症を関連付けるメカニズムに炎症
反応は介在していない。

高度炎症マー
カー濃度、陰性感
情及び高度心理 Nabi H, et al
的苦痛あり(CHD
の発症)

12例のうち11例については、業務中の活動内容が労災の基
準に合致せず、心筋梗塞は内因性のものと判断された。1例
については、悪天候(降雪、強風)のもとで肉体的に過酷な
業務(長距離の歩行、休憩なしの長時間作業が行なわれ、
心理的ストレス(町の除雪作業に対する責任)も重なったこと
から、業務が心筋梗塞発症の原因になったと判断された。

横断研究(労災
認定に関する 事例紹介)

著者名

Bloch-Bogusł
awska E, et al

Do psychological factors affect
inflammation and incident
coronary heart disease: The
Whitehall II Study

Arterioscler
Thromb Vasc
Biol. 2008; 28:
1398-1406

Myocardial infarction as an
occupational injury as
represented in the materials
collected at the Department of
Forensic Medicine in Bydgoszcz
in the years between 2000 and
2004

Arch Med
Sadowej
Kryminol. 2006;
56: 165-168

Work related stressful life
events and the risk of
myocardial infarction. Casecontrol and case-crossover
analyses within the Stockholm
heart epidemiology programme
(SHEEP)

J Epidem
Community
Health. 2005;
59: 23-30

心筋梗塞

初発心筋梗塞を発症したスウェーデ
症例対照研究
ンの労働者1,381人(男性968人、女性
413人)を対象

-

業務上のストレス(「業務でのあつれき」、「責任の増加」等)
が心筋梗塞と関連があると示唆された。day1とday2を比較し
た結果、短期的な業務の増加、競争の激化が心筋梗塞と関
連があり、「仕事の締め切りが厳しかった」経験が次の翌日
における心筋梗塞のリスクを増加させた(OR 6.0、95%CI:
1.8-20.3)。一方、「生活上のストレス性出来事が12か月にわ
たって重なる」こととの関連は見られなかった。

44

1か月
(突発的な
ストレス性
職場での突発
イベントと
的ストレス性イ
しては、発
ベント
症前1か
月間の体
験を調査)

急性心筋梗塞(AMI)

急性心筋梗塞(AMI)で入院した日本
人労働者47人(男性46人、女性1人)
横断研究
と健康な労働者47人(男性46人、女
性1人)を対象

-

過労をAMIの原因とする群は、過労以外をAMIの原因とする
過労をAMIの原
群に比べ、「職場で突発的ストレス性出来事があった」リスク
因とする群あり
が有意に高かった(OR 6.88、95%CI: 1.84-25.75)。

45

職場ストレス
家庭でのストレ 5年間


冠動脈系疾患

スウェーデンで冠動脈系疾患を発症
した女性(30-65歳)292人と健康な女 コホート研究
性292人を対象

年齢

観察開始時での職場と家庭の両方でストレスを受けた群は、
Multiple stressors and coronary
職場と家庭の両
冠動脈疾患を発症するリスクが有意に高く(HR 10.2、95%CI:
Orth-Gomér K disease in women. The
Biol Psychol.
方でストレスを受
2.4-23.6)、予後も良くなかった。患者群では、うつ症状がより
& Leineweber C Stockholm Female Coronary
2005; 69: 57-66
けた群あり
多く見られ、特に家庭でのストレスとの関連が強かった。
Risk Study

12か月
(発症前12
か月のラ イフイベン
トを調査)

5年間フォロー
アップ

144

業務上のストレス
(短期的な業務の
増加、競争の激
Möller J, et al
化、仕事の締め
切りが厳しかった
経験)あり

Fukuoka Y, et
al

Do Japanese workers who
experience an acute myocardial Int J Cardiol.
infarction believe their
2005; 100: 29prolonged working hours are a 35
cause?