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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (108 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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70 歳以上の睡眠時無呼吸患者 394 人の検討では閉塞性無呼吸ではなく、
中枢性無呼吸が脳卒中リスクと関連すると報告されている。しかし、持
続的気道陽圧(CPAP)で治療された閉塞性睡眠時無呼吸患者群と健常対
照群の間に致死的(OR1.05、95%CI:0.39-2.21)及び非致死的(OR1.42、
95%CI:0.52-3.40)心血管イベントに差はなかった。睡眠中の無呼吸イベ
ントが起こる毎に1%ずつ高血圧の発症を増加させ、夜間の酸素飽和度
の 10%の減少により血圧が 13%上昇するという。薬剤抵抗性の高血圧の
原因として SAS を疑う必要がある。
(ケ) メタボリックシンドローム104
肥満は、メタボリッグシンドローム(Met S)の重要なコンポーネント
であり、Met Sに特有の腹部内臓肥満はインスリン抵抗性に深く関与し、
糖尿病、脂質異常症、高血圧を次々と引き起こし(メタボリックドミノ)、
心血管イべントの発症リスクを高める。
Iso らの報告では、脳梗塞を含む心血管イベントの既往がない日本人
(40~69 歳)の 9,087 例を 18 年間追跡調査した結果、脳梗塞のハザード
比は、男性 2.0(95%CI:1.3-3.1)、女性 1.5(95%CI:1.0-2.3)であった。
Takahashi らの報告では、55 歳以上の健常人 1,493 例の追跡調査では、
Met Sは、女性でのみ脳梗塞の危険因子になっていると報告されている。
Niwa らも 2,205 例の日本人一般住民を 11 年間追跡したところ女性でのみ
脳卒中リスクになると報告している。
日本人とおなじアジア人種である台湾でも 3,602 人を対象とした9年
間の追跡調査で、Met Sは脳卒中のハザード比は 3.5(95%CI:1.9-6.5)
と報告されている。
Met Sが構成する各因子と独立して脳卒中発症に寄与しているかどう
かは明らかでない。イラン人 2,548 例を9年間追跡した調査では、Met S
は脳卒中リスクを 1.9~2.7 倍高めていたが、各因子を含めた多変量解析
では脳卒中との有意な関連は消失していた。
(コ) 慢性腎臓病105
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓に何らかの異常所見が見出される、もしく
は糸球体濾過量(GFR)が 60mL/分/1.73 ㎡未満の腎機能が3か月以上持
続するものと定義される。

104

日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2019 対応]. 協和企画. 2019; 43

105

日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2019 対応]. 協和企画. 2019; 45

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