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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (148 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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6 心理的負荷を伴う業務と脳・心臓疾患の発症等に関する文献 (1)疫学調査(60文献)

負荷要因

調査期間
(発症前)

観察期間

1

肉体的・身体的
にストレス(被
疑者の拘束・口 当該業務
論、被疑者追 中の突然 1984~2010年
跡、肉体トレー 死
ニング、医療・
救助活動等)

2

交替制勤務
長時間勤務
警察業務特有
の職場ストレス に起因する過
度の飲酒、生活
様式の歪み

3

消火作業を伴う
ストレス(要求
度の高い作業、
重くて圧迫感の
ある装備、消火 活動の緊急性
等)
高血圧、高コレ
ステロール血症

4

消防士における 当該業務
1998~2012年
高リスク業務
中の突然
まで
夕方-夜間作業 死

5

当該業務
高リスク(緊急) 中及び通 1996~2012年
業務
報帰還時 まで
の突然死

6

疾病

調査対象

調査方法

調整因子

結果

法律を執行する業務のうち、被疑者の拘束・口論中は34-69
倍、被疑者追跡中は32-51倍、肉体トレーニング中は20-23
倍、救急医療・救助活動中は6-9倍と有意に相対危険度が高
かった。

有意性

著者名

被疑者の拘束・
口論中、被疑者
追跡中、肉体ト Varvarigou V,
レーニング中、医 et al
療・救助活動中
あり(警察官)

タイトル

書誌情報

Law enforcement duties and
sudden cardiac death among
BMJ. 2014; 349:
police officers in United States: g6534
case distribution study

心臓性突然死

米国において1984~2010年にかけて
勤務中に発生した警察官の心臓性突 症例分布研究
然死441例

-

虚血性心疾患

日本で虚血性心疾患を発症した警察
官58人と発症歴のない警察官58人を
比較。
症例対照研究、
次に警察官1,539人と一般職員153人
横断研究
を対象に比較。
(警察官の交替制勤務者割合は25%
(一般職員は5%))

警察官においても高血圧、耐糖機能障害、高LDL-C血症、
高LDLコレステロール血症等の既知の危険因子が虚血性心
疾患の発症と関連していた。
一般職員と比較し、警察官では年齢階層の上昇に伴う肥満 肥満、メタボリック
の有病率又はメタボリック症候群による腹部肥満率の増加が 症候群あり(警察 塩崎万起ら
顕著だった。
官)
警察官におけるメタボリック症候群の発症には交替制勤務や
長時間勤務等の特殊な勤務形態、飲酒や睡眠の状態等の
生活様式が関係していることが示唆された。

-

虚血性心疾患

2006~2009年にかけてPubMed等の
総説
関連文献を網羅的にレビュー

文献レビューの結果、一般市民と比較して消防士の死亡や
虚血性心疾患のリスクが高いとの結果は得られなかった。
一方、高血圧(>160/100 mmHg)の消防士は、正常血圧/治 なし
療中の消防士に比べて、退職、休職、怪我等の発生率が2-3
倍高かった。

心臓性突然死(SCD)

米国の男性消防士における1998~
動的コホート研
2012年までの勤務中の心臓性突然死

(SCD)182例

SCDの最大の原因は虚血性心疾患で、IRは18.1/100,000人
年であった。
高リスク業務中あ
低リスク業務、高リスク業務中の発生率はそれぞれ11.0、
Farioli A, et al

38.3/100,000人年であり、高リスク業務中には約3倍高くな
る。

Incidence of sudden cardiac
death in a young active
population

心臓性突然死(SCD)

米国の男性消防士(男性、45歳以下)
後ろ向きコホー
における1996~2012年までの心臓性
ト研究
突然死(SCD)205例

緊急業務は非緊急業務に比べてSCDとの関連が高く、その
相対危険度は、消火活動(22.1、95%CI: 14.8–32.9)、緊急通
報対応(2.6、95%CI: 1.5–4.6)、緊急通報からの帰還(4.1、
緊急業務あり
95%CI: 2.7–6.2)、訓練(4.8、95%CI: 3.2–7.2)であった。心血管
疾患の発症がある場合、さらにリスクは高くなる。

Farioli A, et al

Duty-related risk of sudden
Occup Med
cardiac death among young US (Lond). 2014;
firefighters
64: 428-435

米国における消防士(1994~2004年
症例対照研究
のデータを解析)

冠動脈性心疾患の死亡者の割合は、消火作業(32.1%)、通
報への対応(13.4%)、通報からの復帰(17.4%)、身体訓練
(12.5%)、非火災緊急事態への対応(9.4%)、非緊急業務
(15.4%)であった。非緊急業務における死亡率(OR)を1とし
比較すると、消火作業(自治体OR 53、95%CI: 40-72、大都市
OR 12.1、95%CI: 9.0-16.4、国家OR 136、95%CI: 101-183)、
通報への対応(自治体OR 7.4、95%CI: 5.1-11、大都市OR
2.8、95%CI: 1.9-4.0、国家OR14.1、95%CI: 9.8-20.3)、通報か 緊急業務あり
らの復帰時(自治体OR 5.8、95%CI: 4.1-8.1、大都市OR 2.2、
95%CI: 1.6-3.1、国家OR10.5、95%CI: 7.5-14.7)、身体訓練時
(自治体OR 5.2、95%CI: 3.6-7.5、大都市OR 2.9、95%CI: 2.04.2、国家OR 6.6、95%CI: 4.6-9.5)であった。冠動脈性心疾患
による死亡のリスクは、非緊急業務より緊急業務の方が著し
く高かった(緊急事態でない時の約10-100倍リスクが高い)。
緊急業務のうち、特に消火作業が最も高いリスクを示した。

Emergency duties and deaths N Eng J Med.
Kales SN, et al from heart disease among
2007; 356: 1207
firefighters in the United States –1215

1994~2004年
当該業務 のデータを解析
緊急業務(特に 中及び通 (2001年9月11
冠動脈性心疾患
消火作業)
報復帰時 日に発生したテ
の突然死 ロにおける死亡
者は除いた)

-

-

-

138

警察官における虚血性心疾患
の危険因子とその背景要因に
関する検討

Drew-Nord DC, Cardiovascular risk factors
et al
among career firefighters

産業衛生学雑
誌. 2013; 55:
115-124

AAOHN J.
2009; 57: 415422

J Am Heart
Assoc. 2015; 4:
e001818.