よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (153 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

6 心理的負荷を伴う業務と脳・心臓疾患の発症等に関する文献 (1)疫学調査(60文献)
調査期間
(発症前)

負荷要因

観察期間

疾病

調査対象

調査方法

11年間
冠動脈性心疾患(CHD)
(ベースラ 平均11年間フォ
ロンドンの国家公務員10,308人(男性
発症及び物理的・精神
コホート研究
イン時に ローアップ
6,895人、女性3,413人)
的非健康状態
測定)

33

努力に対する
報酬の低比率

34

平均4年
努力-報酬不均 間
平均4年間の
衡が高い労働 (観察期間
フォローアップ
低報酬の労働 中3回の
調査)

年齢、性別、雇用グレー
ドレベル(給与ベースで
6グレード)、その他の経
済的指標、既存のCHD
危険因子

努力に対する報酬の低比率は、フォローアップ期間において
すべてのCHD(HR 1.36、95%CI: 1.12-1.65)、CHDによる死
亡・非致死的心筋梗塞(HR 1.28、95%CI: 0.89-1.84)、肉体的
な非健康状態(OR 1.47、95%CI: 1.24-1.74)、精神的な非健
康状態(OR 2.24、95%CI: 1.89-2.65)を発症するリスクと有意
に関連があった。内的努力(仕事の後も仕事のことが頭を離
れない)が高いことも、上記のリスクを有意に高める要因で
あった。

コホート研究

30年間
(ベースラ 30年間のフォ 虚血性心疾患(IHD)及 コペンハーゲン(デンマーク)で男性
イン時に ローアップ調査 び全死因
5,249人(40-59歳)を対象
測定)

有意性

努力に対する報
酬の低比率、内
的努力の高さあ


報酬が高い群と比較し、報酬が低い群はCHDを再発するリス
クが高く(調整済みHR 1.77、 95%CI: 1.16-2.71)、男女別では
特に女性でこの傾向が強かった(9.53、95%CI: 1.15-78.68)。
努力-報酬不均衡が低い群と比較し、高い群はCHDが再発 努力-報酬不均
するリスクが高く(1.75、95%CI: 0.99-3.08)、男女別では、特に 衡が高い群あり
女性でこの傾向が強かった(3.95、95%CI: 0.93-16.79)。オー
バーコミットメントとCHD再発との間には関連が見られなかっ
た。

著者名

Kuper H, et al

タイトル

When reciprocity fails:
Effortreward imbalance in
relation to coronary heart
disease and health functioning
within the Whitehall II study

書誌情報

Occup Environ
Med. 2002; 59:
777-784

Effort-reward imbalance at
work and recurrent coronary
Psychosom
Aboa-Éboulé C,
heart disease events: a 4-year Med. 2011; 73:
et al
prospective study of post436-447
myocardial infarction patients

動脈病変保持率は、男性の高ストレス群(上位4分の1)では
36%、低ストレス群(下位4分の1)では21%であり、正の関連が
男性高ストレス群 Nordstrom CK, Work-related stress and early
あった(β=0.829±0.425)。また男性では、高ストレス群で
あり
et al
atherosclerosis
は、低ストレス群に比べて、Intima-media thicknessに0.048
±0.025 mmの増加が見られた。

Epidemiology.
2001; 12: 180185

年齢、BMI、収縮期血
圧、拡張期血圧、糖尿
病、高血圧、最大酸素
前向きコホート
摂取量(Vm2Max)、アル
研究
コール摂取、喫煙、余暇
の身体活動、社会的地


短時間睡眠者(6時間未満)は、睡眠時間が中程度(6-7時
間)の群に比べて、IHDによる死亡率が高かった(HR 1.46、
95%CI: 1.07-2.00)が、全死因死亡率については有意ではな
かった (HR 1.20、95%CI: 0.97-1.49)。職場や余暇活動にお
ける心理的プレッシャーは、睡眠時間とIHDによる死亡率との
関係に有意な影響は与えなかった。精神安定剤/睡眠薬を
服用(定常的又は稀に服用)する短時間睡眠者は、使用頻
度が高いほどIHDによる死亡率が高かった(低頻度群HR
0.94、95%CI: 0.60-1.48、中頻度群HR 2.50、95%CI: 1.314.80、高頻度群HR 3.03、95%CI: 1.31-6.951)。

Scand J Work
Environ Health.
2013; 39: 550558

総説

-

過重労働、特に、長時間労働、交替制勤務及び精神的ストレ
スにより、心疾患危険因子の増悪や発症リスクの増大が報
告されている。
しかし、過重労働が死亡を励起すること、又は死亡リスクを
増加させることを直接示した研究はない。

ストレス性出来事の最中又は直後に
心臓性突然死(SCD)を起こした英国 後ろ向きコホー
の成人110人(男性89人、女性21人、 ト研究
平均36±16歳)を対象

SCD110例の原因は、口論(45%)、警察・警備員・病院職員
等による身体的拘束(31%)、警察による留置(10%)、試験・
学校・仕事のストレス(7.27%)、悪い知らせ(4%)等であっ
た。死亡例の43%は、解剖で異常は見られず、心臓の形態
は正常であった。

35

職場ストレス

36

短時間睡眠
精神安定剤/睡
眠薬の服用
(職場ストレス
の影響は充分
な睡眠により低
減可能)

37

過重労働、特
に、長時間労
働、交替制勤務 及び精神的スト
レス

38

ストレス性出来
事:口論、警察
等による身体的
出来事の
拘束、警察によ
最中又は る留置、試験・
直後
学校・仕事のス
トレス、悪い知
らせ等

心臓性突然死(SCD)

39

職場ストレス
(特に高ストレ
スの職場での
肉体労働)

心血管疾患及びうつ病 フィンランドの公務員69,842人(男性
を原因とする障害給付 16,613人、女性53,229人、平均44.3
の受給状況
歳)を対象

4.6年間
(ベースラ 4.6年間のフォ
イン時に ローアップ
測定)

結果

年齢、性別、併存疾患、
カナダで心筋梗塞を発症した後、職場
血栓溶解、推奨薬の
冠動脈性心疾患(CHD)
前向きコホート
復帰した労働者(男性669人、女性69
数、労働体制の要因、
の再発
研究
人)を対象
社会的支援、無感情
症、業務上ストレス

対象者の84%
18か月の を18か月にわ
公益事業会社に勤務している573人
初期アテローム性動脈
追跡調査 たりフォローアッ
(心血管疾患の身体症状のない40硬化症
時に測定 プした(男性249
60歳)を対象
人、女性218人)

-

調整因子

心疾患危険因子の増悪
や発症

コホート研究

年齢

Sleep duration and ischemic
短時間睡眠あり
heart disease and all-cause
(虚血性心疾患)
mortality: prospective cohort
Garde AH, et al
心理的プレッ
study on effects of
シャーなし
tranquilizers/ hypnotics and
perceived stress

寶珠山務

過重労働とその健康障害:いわ 産業衛生学雑
ゆる過労死問題の現状と今後 誌. 2003; 45:
の課題について
187-193

Krexi L, et al

Sudden cardiac death with
stress and restraint: The
association with sudden adult
death syndrome,
cardiomyopathy and coronary
artery disease

Med Sci Law.
2016; 56: 85-90

Job strain and the risk of
disability pension due to
musculoskeletal disorders,
depression or coronary heart
disease: a prospective cohort
study of 69,842 employees

Occup Environ
Med. 2012; 69:
574-581

男性、女性、肉体労働者は、ストレスレベルが1段階上昇す
年齢、職種、作業特性、
ると、筋骨格系の障害給付の受給リスクが1.3-2.4倍増加し
身体機能、精神障害、
高ストレスの職場 Mäntyniemi A,
た。心血管疾患による障害給付は、高ストレスの職場で働く
参加者の社会経済的階
で働く男性あり
et al
男性で増加が認められた。うつ病を原因とする障害給付には

ストレスとの有意な関連は見られなかった。

143