資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (150 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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調査期間
(発症前)
負荷要因
13
タイプA行動(時
間的切迫感、競
争的、攻撃的行
動)及び敵意、
うつ病、不安、
職場の心理社
会的特徴、社会
的支援
14
Job strainモデ
ル、努力-報酬
モデル、
organizational
injustice(組織 的公正)モデル
によって測定さ
れた職場ストレ
ス
15
職場ストレス
(特に努力-報
酬不均衡が大
きく、高度Job
strainの業務)
16
職場ストレス
(要求度高く、
裁量度低い)、
努力-報酬不均
衡(低い給料、
社会的承認の
欠如、努力に対
してキャリアアッ
プの機会が少
ない)
17
Job strain、努
力-報酬不均
衡、危険回避の
ための緊張を
伴う仕事、長時
間労働
18
観察期間
-
-
対象者の
仕事要求 1992年から
度等に関 1994年
する認識
男性において、
高度仕事要求
度、社会的支援 の欠如、isostrain
疾病
-
調査方法
調整因子
結果
有意性
著者名
タイトル
書誌情報
心理社会的要因と冠動脈性心疾患
システマティック
冠動脈性心疾患(CHD) (CHD)の発症及び予後の関係を調査
レビュー
した前向きコホート研究を対象
CHD発症に関して、下記の要因との間に中程度-強度の関
連が認められた論文の割合は以下であった(タイプA行動及
び敵意6/18、うつ病15/22、不安4/8、職場の心理社会的特
徴10/13、社会的支援6/9)。
予後に関して、下記の要因との間に中程度-強度の関連が 認められた論文の割合は以下であった(タイプA行動及び敵
意2/15、うつ病18/34、不安8/18、職場の心理社会的特徴
2/4、社会的支援14/21)。
タイプA行動及び敵意に関する結果は、ばらつきがあった。
MEDLINEの検索により、職場ストレス
冠動脈性心疾患
と冠動脈性心疾患(CHD)、心臓循環
(CHD)、心臓循環系疾
メタアナリシス
系疾患死との関係を解析した前向き
患死
コホート研究14例
-
Job strain(要求度高く裁量度低い状態)モデルに基づく
83,014人のデータによれば、高度Job strain群は低度Job
strain群に比べCHDの相対危険度は1.43(95%CI: 1.15-1.84)
であったが、危険因子調整後は1.16(95%CI: 0.94-1.43)に減
少した。努力-報酬モデルに基づく11,528人のデータによれ
ば、高努力低報酬群の相対危険度は1.58、95%CI: 0.842.97)であり、危険因子調整後も変化はなかった。
Organizational injustice(組織的公正)モデルによる7,246人
のデータによれば、相対危険度は1.62(95%CI: 1.24-2.13)で
あった。これらの結果から、職場ストレスはCHDのリスクを平
均50%増加させる。
取り上げた3つの
モデルの中で
Kivimäki M, et
は、組織的公正 al
モデルあり
Scand J Work
Work stress in the aetiology of
Environ Health.
coronary heart disease – a
2006; 32 :431meta-analysis
442
ストックホルム在住の心筋梗塞を発
症した951人(男性710人、女性241
人、平均55.8歳)と対照群1,147人(男 症例対照研究
性838人、女性309人、平均55.9歳)を
対象
モデル1:高血圧、総コ
レステロール、糖尿病
歴、CHDの家族歴
モデル2:喫煙歴、身体
運動不足、BMI
多変量ロジスティック回帰分析の結果、両モデルともストレス
と心筋梗塞との関連が認められたが、男性では外面的な要
因、女性では内面的な要因がより影響していた。モデルを組
み合わせ、努力-報酬不均衡が大きく、高度Job strain群に
着目したところ、男性、女性の心筋梗塞のORはそれぞれ2.02
(95%CI: 1.34-3.07)、2.19(95%CI: 1.11-4.28)であった。
あり(特に努力報酬不均衡が大
Peter R, et al
きく、高度Job
strainの業務)
Psychosocial work environment
and myocardial infarction:
Improving risk estimation by
combining two complementary
job stress models in the SHEEP
study
J Epidem
Community
Health. 2002;
56: 294-300
フィンランドの金属工場勤務者812人
コホート研究
(男性545人、女性267人)を対象
性別・年齢調整モデルでは、高度Job strain(仕事要求度が
高く、仕事裁量度が低い)群では、低い群と比較して心疾患
死のリスクが約2倍高かった(HR 2.2、95%CI: 1.2-4.2)。また
性別、年齢、ベースライ
努力-報酬不均衡が高い群の心疾患死のリスクも有意に高
ン時の生物学的要因
かった(HR 2.4、95%CI: 1.3-4.4)。これらのリスク増加は、
ベースライン時の生物学的要因について調整を行った後も
有意であった。
高度Job strainの
群、努力-報酬不 Kivimäki M, et
均衡が高い群あ al
り
Work stress and risk of
cardiovascular mortality:
prospective cohort study of
industrial employees
BMJ. 2002; 325:
857
研究結果からは、Job strain(要求度が高く裁量度が低い状
態)、努力-報酬不均衡、危険回避のための緊張を伴う仕
事、長時間労働が危険因子となることが示されている。
高度Job strain、
努力-報酬不均
衡、危険回避の
Tennant C
ための緊張を伴
う仕事、長時間労
働あり
J
Work stress and coronary heart Cardiovascular
disease
Risk. 2000; 7:
273-276
男性においては、高い仕事要求度、社会的支援の欠如、isostrain(要求度高く、裁量度低く、かつ社会的支援が低い状
態)がCHDの危険因子であることが明らかとなった。Job
strain(要求度が高く裁量度が低い状態)はCHDの危険因子
であるが、近年の研究では仕事要求度がより重要なリスクで
あることを示している。男性において、努力-報酬不均衡、
injustice、職場の不安定さ、長時間労働という要因が危険因
子かどうかについては、証拠が不十分である。女性において
は、CHDの発症と要因間の関係を考察するためのデータが
不十分である。
要求度高く、裁量
度低く、かつ社会
Eller NH, et al
的支援が低い状
態あり
Work-related psychosocial
factors and the development of Cardiol Rev.
ischemic heart disease: A
2009; 17: 83-97
systematic review
心筋梗塞
1973年から平
均25年フォロー 心血管疾患(CVD)
アップ
-
調査対象
心血管疾患(CVD)
職場ストレスと心血管疾患(CVD)の
レビュー(過去20年間)
文献レビュー
-
職場関連心理社会的要因と冠動脈性
心疾患(CHD)の関係について調査し
システマティック
冠動脈性心疾患(CHD) た33文献(男性を対象とした解析51
レビュー
件、女性を対象とした解析18件、男性
女性両方を対象とした解析8件)
140
Kuper H, et al
Systematic review of
prospective cohort studies of
psychosocial factors in the
etiology and prognosis of
coronary heart disease
Seminars in
Vascular
Medicine. 2002;
2: 267-314