資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (155 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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負荷要因
調査期間
(発症前)
46
職場ストレス、
家庭ストレス、
経済的ストレ
ス、過去1年に 1年間
おける生活上
の出来事関連
ストレス、うつ病
47
慢性的ストレ
ス、社会経済的
地位が低い、う
つ病・不安障
害、タイプAの
性格(特に敵
意)、社会的支
援の欠如
観察期間
過去1年
-
48
職業関連ストレ
ス
49
職場におけるい
じめ(本調査で
の定義:職場で
の孤立・排除、
仕事や努力を
貶められる、脅
迫される、陰で
2~4年間 侮辱的なことを
言われる、その
他の苦痛や憔
悴、苛立ちを引
き起こすような
否定的態度を
受ける等)
-
疾病
急性心筋梗塞
調査対象
調査方法
24,767人(心筋梗塞患者11,119人、対
照群13,648人)を対象(心筋梗塞群
11,119人のうち5,426人、対照群
症例対照研究
14,637人のうち7,387人は家庭以外の
場所で勤務していた)
心血管疾患、うつ症状
結果
有意性
心筋梗塞群では、対照群に比べて、すべてのストレスを有意
に多く体験していた(p<0.0001)。就業中心筋梗塞群では、就
業中対照群(17.9%)に比べて、23.0%が散発的職場ストレスを
体験していた。また就業中心筋梗塞群では、就業中対照群
(5.0%)に比べて、10.0%が前年に慢性的職場ストレスを体験し
ていた。年齢、性別、地域、喫煙調整後のロジスティック回帰
分析の結果、職場ストレスのある期間(OR 1.38、99%CI:
1.19-1.61)、慢性的職場ストレス(OR 2.14、99%CI: 1.732.64)によって心筋梗塞のリスクが有意に高くなった。心筋梗
塞群では、対照群(8.6%)に比べて、11.6%が散発的家庭スト
レスを体験していた。また心筋梗塞群では、対照群(1.9%)に
年齢、性別、地域、潜在
比べて、3.5%が慢性的家庭ストレスを体験していた。心筋梗 ストレスあり
的交錯因子
塞のリスクは、散発的家庭ストレス(OR 1.52、99%CI: 1.341.72)、慢性的家庭ストレス(OR 2.12、99%CI: 1.68-2.65)に
よって有意に増加した。経済的ストレスの体験率は、心筋梗
塞群14.6%、対照群12.2%であり、それにより心筋梗塞のリスク
は有意に増加した(OR 1.33、99%CI: 1.19-1.48)。過去1年に
おける生活上の出来事関連ストレスの体験率は、心筋梗塞
群16.1%、対照群13.0%であり、それにより心筋梗塞のリスクは
有意に増加した(OR 1.48、99%CI: 1.33-1.64)。またうつ病の
罹患率も、対照群(17.6%)に比べて、心筋梗塞群(24.0%)で高
く、それにより心筋梗塞のリスクは有意に増加した(OR 1.55、
99%CI: 1.42-1.69)。
著者名
Rosengren A,
et al
タイトル
書誌情報
Association of psychosocial risk
factors with risk of acute
The Lancet.
myocardial infarction in 11,119
2004; 364: 953–
cases and 13 648 controls from
962
52 countries (the INTERHEART
study): Case-control study
-
慢性的ストレスには、職場ストレス、Job strain(要求度高く裁
量度低い状態)、努力ー報酬不均衡、結婚・家庭上ストレス
があり、どれもCHDのリスクを高めることが経験的に知られて
いる。職場での地位、収入、教育程度等で定義される社会経
済的地位が低いほど、CHDリスクが高いことが知られる。う
つ病や不安障害は、CHD発症と強い関連があり、その予後
にも悪影響を及ぼすことが知られる。タイプAの中で特に敵
意及び怒り感情はCHDのリスクを高めると考えられている。
社会的支援により、様々なストレスが緩和される。そのため
その欠如は、CHDのリスクを増加させる可能性が高い。
慢性的ストレス、
社会経済的地位
が低い、うつ病・
不安障害、タイプ Strike PC &
Aの性格(特に敵 Steptoe A
意)、社会的支援
の欠如あり(有意
性への言及なし)
Progress in
Psychosocial factors in the
Cardiovascular
development of coronary artery
Disease. 2004;
disease
46: 337-347
システマティック
レビュー(オピニ オン)
うつ、社会的孤立と良質な社会的支援の欠如は、CHDに対し
て強固で一貫した因果関係を有する。慢性的な生活上の出
来事、職業関連ストレス(業務の裁量度、要求度とJob
strain)とCHDとの間には、強固で一貫した因果関係はない。
A型の行動様式(野心的、競争的、不寛容な行動様式)、不
安症、パニック障害とCHDとの間にも強固で一貫した因果関
係はない。職場ストレスに関する3件のレビュー研究を精査し
たところ、CHDとの有意な関連は見られないとする研究が、
データ数、証拠の質の点で最も信頼性が高いと考えられた。
うつ、社会的孤立
と良質な社会的
支援の欠如あり
慢性的な生活上
の出来事、職業 Bunker SJ, et
関連ストレス(業 al
務の裁量度、要
求度とJob
strain)、A型の行
動様式なし
“Stress” and coronary heart
disease: psychosocial risk
factors
慢性的ストレス、うつ病、社会経済的
冠動脈性心疾患(CHD) 地位、性格、社会的支援の5分野に注 文献レビュー
目したレビュー
オーストラリアの国立心臓病財団
冠動脈性心疾患
(National Heart Foundation)の専門
(CHD)、急性心臓疾患
家の近年の研究をレビュー
調整因子
フィンランドの病院勤務者5,432人(男
性601人、女性4,831人、18-63歳)を コホート研究
対象
性別、年齢、所得
145
1次調査、2次調査(各2年間)で実施した質問紙の両方で「職
場でいじめを受けている」とした回答者について、いじめを受
けたことのない回答者と比較した結果、性、年齢階級、収入
で調整した心血管疾患のORは2.3(95%CI: 1.2-4.6)であった。
ただし、ベースラインでの肥満の影響を調整した後は、有意
ではないが高い傾向を示した(OR 1.6、95%CI: 0.8-3.5)。いじ
職場でのいじめ: Kivimäki M, et
めとうつ症状の関連は、性別、年齢階級、収入に加え肥満度
傾向あり
al
で調整後も有意であった(OR 4.2、95%CI: 2.0-8.6)。2回の調
査のどちらか一方(1回)、両方(2回)でいじめを経験した回
答者のうつ病のORは、性、年齢階級、収入で調整したところ
1回経験者2.27(95%CI: 1.50-3.42)、2回経験者4.81(95%CI:
2.46-9.40)で、いじめの長期化とうつ症状の関係が示唆され
た。
Med J Aust.
2003; 178: 272–
276
Workplace bullying and the risk Occup Environ
of cardiovascular disease and Med. 2003; 60:
depression
779-783