資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (52 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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ここで、労働時間が長いことにより生じ得る短時間睡眠の影響につい
てみると、Gallicchio ら(2009)21は、全死因に関し 16 の研究(対象者
1,376,728 人)、心血管疾患による死亡に関し5の研究(対象者 104,468
人)についてメタアナリシスを行い、短時間睡眠(多くの研究で6~7
時間未満、全死因に係る1研究は8時間未満)の群は、全死因について
相対リスク(RR)が有意に高かった(RR1.10、95%CI:1.06-1.15)が、心
血管疾患による死亡とは有意な関連がなかった(RR1.06、95%CI:0.941.18)としている。
Cappuccio ら(2011)22は、15 の研究(対象者 474,684 人)についてメ
タアナリシスを行い、短時間睡眠(多くの研究で5~6時間以下、1研
究は7時間未満)の群は、脳卒中(RR1.15、95%CI:1.00-1.31)及び冠動
脈性心疾患(RR1.48、95%CI:1.22-1.80)の発症又は死亡と有意な関連が
み ら れ た が 、 全 心 血 管 疾 患 と は 関 連 が み ら れ な か っ た ( RR1.03 、
95%CI:0.93-1.15)としている。
Ge ら(2015)23は、12 のコホート研究についてメタアナリシスを行い、
対照群(多くの研究で7~8時間、一部6~8時間又は7~9時間)に
比較して、短時間睡眠(多くの研究で5~6時間未満、一部4時間以下)
の群は、脳卒中の発症又は死亡と有意な関連がみられた(ハザード比
(HR)1.13、95%CI:1.02-1.25)としている。
Li ら(2016)24は、脳卒中の発症に関し 11、死亡に関し7の研究につい
てメタアナリシスを行い、対照群(睡眠時間7時間の群)に比較して、
睡眠時間が1時間短くなるごとに、脳卒中の発症に有意な増加がみられ
た(RR1.07、95%CI:1.02-1.12)が、脳卒中の死亡に関しては有意差がな
かった(RR1.05、95%CI:0.99-1.11)としている。また、16 の研究につい
てメタアナリシスを行い、睡眠時間と脳卒中の発症又は死亡との間には
概してJ字型の関連がみられるとしている。
21
Gallicchio L & Kalesan B. Sleep duration and mortality: A systematic review and meta-analysis of prospective
cohort studies. J Sleep Res. 2009; 18: 58-66
22
Cappuccio FP, et al. Sleep duration predicts cardiovascular outcomes: A systematic review and meta-analysis
of prospective cohort studies. Eur Heart J. 2011; 32: 1484-1492
23
Ge B & Guo X. Short and long sleep durations are both associated with increased risk of stroke: a metaanalysis of ovservational studies. Int J Stroke. 2015; 10: 177-184
24
Li W, et al. Sleep duration and risk of stroke events and stroke mortality: a systematic review and metaanalysis of prospective cohort studies. Int J Cardiol. 2016; 15: 870-876
42