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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (114 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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(エ) 喫煙113
喫煙が冠動脈疾患の危険因子であることは国内外で数多くのコホート
研究、そのメタ解析などで報告されている。
冠動脈疾患の発症・死亡のリスクは非喫煙者と比較して高く、その関
連には用量反応関係が存在する。また、低タール低ニコチンたばこがリ
スクを低下させるというデータはなく、さらに喫煙本数1日5本未満で
あってもリスクが増加する。喫煙が動脈硬化性疾患の危険因子であるこ
とは、わが国のみでの検討においても多くのコホート研究で一致してお
り、メタ解析では冠動脈疾患の罹患・死亡の相対リスクは生涯非喫煙者
と比べて、1日 20 本以下の喫煙で 2.15 倍、1日 20 本を超える喫煙では
3.28 倍である。
喫煙によって2型糖尿病の発症リスクは、1.4 倍に増加し、メタボリッ
クシンドローム発症リスクが喫煙本数に従って増加する。喫煙者は、非
喫煙者と比較して HDL-C が低く、LDL-C、TG が高いことがメタ解析で示さ
れ、また用量反応関係が認められている。喫煙は単独で動脈硬化性疾患
の危険因子であるばかりでなく、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシ
ンドロームの発症リスクを上げることも相まって、動脈硬化性疾患リス
ク増加に関与している。
(オ) 炎症マーカー114
近年、高感度 CRP(hs-CRP)が動脈硬化性疾患の危険因子となりうるこ
とが報告されている。わが国においても hs-CRP が脳卒中(特に脳梗塞、
ラクナ梗塞)と有意な関連を認める報告や hs-CRP が心筋梗塞と脳梗塞の
発症リスクと関連があり、特に心筋梗塞で関連が強いという報告もある。
一方、血中 CRP の濃度に関連する遺伝子型と冠動脈疾患の頻度の検討に
おいて、CRP の濃度と冠動脈疾患との頻度には関連がみられなかったこと
から、CRP の濃度が動脈硬化性疾患の原因にはならない可能性が示唆され、
むしろ動脈硬化の進展の程度を反映していると考えられる。
(カ) 睡眠時無呼吸症候群115
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、異常な呼吸パターン(無呼吸や低呼吸
の出現)や睡眠中の換気不全を特徴とする様々な呼吸障害を呈する睡眠
呼吸障害(SDB)の代表的な病態である。SAS は気道の閉塞に基づく閉塞
113

日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017 年版. 2017; 29

114

日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017 年版. 2017; 42

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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017 年版. 2017; 39

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