資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (160 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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負荷要因
調査期間
(発症前)
観察期間
1
肉体的・身体的にス
トレス(被疑者の拘
束・口論、被疑者追 当該業務中の
跡、肉体トレーニン 突然死
グ、医療・救助活動
等)
1984~2010年
2
消火作業を伴うスト
レス(要求度の高い
作業、重くて圧迫感
のある装備、消火活 動の緊急性等)
高血圧、高コレステ
ロール血症
3
当該業務中及
高リスク(緊急)業務 び通報帰還時
の突然死
疾病
調査対象
調査方法
調整因子
結果
有意性
著者名
タイトル
書誌情報
心臓性突然死
米国において1984~2010年にかけて
勤務中に発生した警察官の心臓性突 症例分布研究
然死441例
-
被疑者の拘束・口
論中、被疑者追
法律を執行する業務のうち、被疑者の拘束・口論中は34-69倍、
跡中、肉体トレー Varvarigo
被疑者追跡中は32-51倍、肉体トレーニング中は20-23倍、救急
ニング中、医療・ u V, et al
医療・救助活動中は6-9倍と有意に相対危険度が高かった。
救助活動中あり
(警察官)
-
虚血性心疾患
2006~2009年にかけてPubMed等の
関連文献を網羅的にレビュー
-
文献レビューの結果、一般市民と比較して消防士の死亡や虚血
性心疾患のリスクが高いとの結果は得られなかった。一方、高血
なし
圧(>160/100 mmHg)の消防士は、正常血圧/治療中の消防士に
比べて、退職、休職、怪我等の発生率が2-3倍高かった。
DrewCardiovascular risk factors
Nord DC,
among career firefighters
et al
AAOHN J. 2009;
57: 415-422
1996~2012年まで
心臓性突然死(SCD)
米国の男性消防士(男性、45歳以下)
における1996~2012年までの心臓性 後ろ向きコホート研究
突然死(SCD)205例
-
緊急業務は非緊急業務に比べてSCDとの関連が高く、その相対
危険度は、消火活動(22.1、95%CI: 14.8–32.9)、緊急通報対応
(2.6、95%CI: 1.5–4.6)、緊急通報からの帰還(4.1、95%CI: 2.7–
緊急業務あり
6.2)、訓練(4.8、95%CI: 3.2–7.2)であった。心血管疾患の発症が
ある場合、さらにリスクは高くなる。
Duty-related risk of sudden
Farioli A,
cardiac death among young US
et al
firefighters
Occup Med
(Lond). 2014;
64: 428-435
-
冠動脈性心疾患の死亡者の割合は、消火作業(32.1%)、通報へ
の対応(13.4%)、通報からの復帰(17.4%)、身体訓練(12.5%)、非
火災緊急事態への対応(9.4%)、非緊急業務(15.4%)であった。非
緊急業務における死亡率(OR)を1とし比較すると、消火作業(自
治体OR 53、95%CI: 40-72、大都市OR 12.1、95%CI: 9.0-16.4、国
家OR 136、95%CI: 101-183)、通報への対応(自治体OR 7.4、
95%CI: 5.1-11、大都市OR 2.8、95%CI: 1.9-4.0、国家OR14.1、
緊急業務あり
95%CI: 9.8-20.3)、通報からの復帰時(自治体OR 5.8、95%CI: 4.18.1、大都市OR 2.2、95%CI: 1.6-3.1、国家OR10.5、95%CI: 7.514.7)、身体訓練時(自治体OR 5.2、95%CI: 3.6-7.5、大都市OR
2.9、95%CI: 2.0-4.2、国家OR 6.6、95%CI: 4.6-9.5)であった。冠動
脈性心疾患による死亡のリスクは、非緊急業務より緊急業務の
方が著しく高かった(緊急事態でない時の約10-100倍リスクが高
い)。緊急業務のうち、特に消火作業が最も高いリスクを示した。
Emergency duties and deaths
N Eng J Med.
Kales SN, from heart disease
2007; 356: 1207
et al
among firefighters in the United
–1215
States
1994~2004年のデータ
を解析(2001年9月11日
冠動脈性心疾患
に発生したテロにおける
死亡者は除いた)
総説
4
業務中及び通
緊急業務(特に消火
報復帰時の突
作業)
然死
5
職場での身体的負
中央値18.5年間
荷(特に心肺持久力
フォローアップ期間(中
(ベースライン時
が劣ると自覚してい
央値18.5年)
に調査)
る労働者について)
6
肉体的高負荷労働 20年間(ベース
%VO2max又は
ライン時に調
20年間
%VO2resが高い労働 査)
急性心筋梗塞
7
業務での高エネル
ギー消費活動(消費 11年間(ベース
カロリー、
ライン、4年目、 11年間フォローアップ
%VO2max、%VO2res 11年目に調査)
)
頸動脈アテローム性動脈 フィンランドの男性612人(観察開始時
コホート研究
硬化症
で42-60歳)
8
軍事訓練中の肉体
軍事訓練中
的負荷
突然死
1997~2001年
心血管疾患(CVD)
米国における消防士(1994~2004年
のデータを解析)
症例対照研究
デンマークで心血管疾患(CVD)を有し
ない男性2,190人、女性2,534人(20-67 前向きコホート研究
歳)を対象
米国の労働者1,891人を対象
コホート研究
米国で1997~2001年に発生した女性
兵士(平均19歳)の軍事訓練中の突然 横断研究
死15例
Cox比例ハザード回帰分析を行い、CVDと身体的負荷(OPA)、及
身体的負荷が高
年齢、性別、余暇での身体活 び主観的心肺持久力との関係を調べた結果、OPAが高く(OPAス
Holterma
く、心肺持久力が
動、MBI、喫煙、所得、アルコー コア3-4)、心肺持久力が劣ると自覚している労働者は、OPAが低
nn A, et
劣ると自覚してい
ル摂取、糖尿病の有無
く心肺持久力に優れる労働者に比べてCVD死亡のリスクが有意
al
る労働者あり
に高かった(HR 6.22、95%CI: 2.67-14.49)。
Law enforcement duties and
sudden cardiac death among
BMJ. 2014; 349:
police officers in United States: g6534
case distribution study
Self-reported occupational
physical activity and
cardiorespiratory fitness:
Importance for cardiovascular
disease and all-cause mortality
Scand J Work
Environ Health.
2016; 42: 291298
-
IHD既往のない群:絶対的なエネルギー消費量(kcal/day)より
Occupational physical activity
も、相対最大酸素摂取量(%VO2max)又は相対安静時酸素摂取 肉体的高負荷労
and 20-year incidence of acute
Krause N,
量(%VO2res)が高い労働がIHDと関連があった。負荷が10%増 働が高い労働あ
myocardial infarction: results
et al
加するごとに急性心筋梗塞のリスクが増加した。IHD既往のある り
from the Kuopio ischemic heart
群:同様の傾向が見られたが、既往のない群に比べて弱かった。
disease risk factor study
Scand J Work
Environ Health.
2015; 41: 124139
年齢等
11年間の頸動脈内膜中膜肥厚(IMT)の増加を調べた結果、仕事
での高エネルギー消費活動を示す5種類の指標すべてにおい
て、エネルギー消費量の増加とIMT増加との間に有意な関連が エネルギー消費
見られた。IHD及び頸動脈狭窄の既往歴で分けると、既往がある 量の増加あり
群では%VO2max及び%VO2resが有意に高くなった。特に虚血性
心疾患の既往者においては顕著であった。
Occupational physical activity,
Krause N, energy expenditure and 11-year
et al
progression of carotid
atherosclerosis
Scand J Work
Environ Health.
2007; 33: 405424
-
突然死15例のうち13例(81%)は心疾患を原因とし、8例(53%)
は、心臓に病理学的に異常がなかったが不整脈による突然死を
起こし、2例(13%)では冠動脈系の異常が認められた。アフリカ 系米国人の死亡率は、非アフリカ系に比べて有意に高かった(リ
スク比 10.2、p<0.001)。
Eckart
RE, et al
Am J Cardiol.
2006; 97: 17561758
150
Causes of sudden death in
young female military recruits