資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (145 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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調査期間
(発症前)
負荷要因
9
10
震災復興業務
に関わる心理
的負担、残業、
睡眠不足、交替
制勤務、作業場
でのスナック菓
子や缶詰食品
の摂取等
交替制勤務
観察期間
疾病
2004年(震災
前)の健康診断
7~14か月
結果と2005年
(震災から健康
(震災後)の健 心疾患
診断実施時ま
康診断(各年5
での期間)
~12月に実施)
結果の比較
9年間(観察開
始・終了時の勤 1992~2000年
務形態により分 まで
析)
調査対象
調査方法
震災発生時(2004年10月)に地方自
治体に勤務していた4,035人を対象
(職務は、震災直後の集約的な復興
業務(男性1,285人、女性222人)、もし
くは通常業務(男性1,573人、女性955 後ろ向き研究
人)。復興業務従事の男性1,285人
は、さらに追加健康診断に呼ばれた
人279人、呼ばれなかった人1,006人
に分類。)
製鉄業に勤務する従業員のうち、
1992年時点で健康診断を受診してい
脳血管疾患、虚血性心 た男性社員6,708人を対象。
コホート研究
疾患
(勤務形態は常昼-常昼2,883人、常
昼-交替702人、交替-常昼1,063人、
交替-交替2,060人の4群)
調整因子
結果
有意性
著者名
タイトル
書誌情報
年齢
男性において、業務量が一番多かった群では、一番低かっ
た群に比べて、有意にBMI、収縮期血圧、血清総コレステ
ロールが増加した。 女性では、収縮期血圧、拡張期血圧が
Prolonged effects of
有意に増加した。この増加は復興作業業務が終わった後も
participation in disaster relief
J Hypertens.
続き、震災前のレベルには戻らなかった。業務量が一番多 収縮期血圧上昇 Azuma T, operations after the Mid2010; 28: 695かった群の収縮期血圧上昇(10 mmHg)のリスクは、男性
あり
et al
Niigata earthquake on increased
702
(OR 2.02、95%CI: 1.47-2.79)、女性(OR 1.82、95%CI: 1.21cardiovascular risk among local
2.75)ともに約2倍増加した。これらの原因として震災復興業
governmental staff
務に関わる心理的負担、残業、睡眠不足、交替制勤務、作
業場でのスナック菓子や缶詰食品の摂取等を考察している。
-
Cox比例ハザード回帰分析は、勤務形態ダミーを用いて常昼
-常昼群に対するハザード比を求めた。その結果、交替-交
替の常昼-常昼に対するハザード比は脳血管疾患罹患が
0.36(95%CI: 0.18-0.69)、虚血性心疾患罹患が0.34(95%CI:
交替-交替は有
0.17-0.65)と有意に低い値を示した。長期の追跡研究で夜勤
意に低い
や交替制勤務の影響がみられない理由として、長期間の観
察により健康障害の発生した従業員は死亡、退職、勤務が
変化したことにより、見かけ上の改善が発生すると考察して
いる。
-
日勤で得られたデータからは、交感神経優位及び血液凝固
能亢進の状態が朝にみられる傾向が確認された。夜勤の日
には日勤の日に見られたような自律神経系や凝固線溶系の
概日リズムがはっきりしなかった。
夜勤は自律神経
系及び血液凝固
心拍変動の周波数解析の結果、午前中と比較して夕方にお 線溶系の概日リ
いて、日勤の日にはRR間隔とHF成分(パワーとnu)の有意な ズムに影響あり
交替制勤務が自律神経活動及 逓信医学.
上昇と、LFnu(交感神経活動)とLF/HF比の有意な減少を認
津田泰夫
び血液凝固線溶系の概日リズ 2001; 53: 391めた。同じ対象者間で午前8時と午後6時の測定の平均を対 ※HF成分:副交 ら
ムに与える影響
394
応のあるt検定を用いて比較したところ、夜勤の日にはTF、 感神経活動の指
LF及びHF成分のパワーの有意な上昇を認めた。
標
凝固線溶系検査では、午前中と比べて夕方において日勤の LF成分:交感神
日にはPTの有意な上昇とF1+2(prothrombin fragment
経活動の指標
1+2)、プロテインC及びPAI-1(plasminogen activator
inhibitor-1)の有意な減少を認め、夜勤の日においてはDダ
イマーの上昇を認めた。
-
過重労働、特に、長時間労働、交替制勤務及び精神的ストレ
スにより、心疾患危険因子の増悪や発症リスクの増大が報
告されている。
しかし、過重労働が死亡を励起すること、又は死亡リスクを
増加させることを直接示した研究はない。
大久保靖 交代勤務の健康に与える影響
司ら
に関する疫学研究
産業医学ジャー
ナル. 2002; 25:
63-68
(参考)その他の疾病
11
交替制勤務
夜間勤務
12
過重労働、特
に、長時間労
働、交替制勤務 及び精神的スト
レス
1~2日
日本の高血圧、糖尿病等を有さない
病棟看護師(女性、平均33±3歳)10
日勤又は夜勤 自律神経系及び血液凝
人を対象
横断研究
の2日目に調査 固線溶系の概日リズム
( 勤務時間は日勤が8時- 17時まで、
深夜勤が21時40分-翌8時40分まで)
-
健康障害
-
総説
135
過重労働とその健康障害:いわ 産業衛生学雑
寶珠山務 ゆる過労死問題の現状と今後 誌. 2003; 45:
の課題について
187-193