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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (81 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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り、くも膜下出血による国内死亡率は近年確実に減少していること、治療
件数等から発症数も緩やかに減少していることが推測される52。
(4) 脳梗塞


概要
脳梗塞は、脳実質に血液を供給する動脈が閉塞し、その動脈に栄養される
脳実質が虚血状態に陥り、壊死を起こした病態である。障害部位により、
様々な局所神経症候をきたす。寝たきりの原因疾患の第1位であり、発症予
防とともに、早期リハビリテーションによる ADL(日常生活動作)の向上、
社会復帰が重要である。
脳梗塞は、病型として、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラク
ナ梗塞、その他の脳梗塞に分けられる。脳梗塞の病型別頻度をみると、アテ
ローム血栓性梗塞が約 33%、心原性脳塞栓症が約 28%、ラクナ梗塞が約
31%となっている53。



成因
アテローム血栓性脳梗塞は、脳・頸部の大血管の粥状硬化を基盤として生

じる脳梗塞で、TOAST 分類では責任血管である主幹動脈の 50%以上の狭窄、
閉塞が基準となる。日本人を含む東アジア人には頭蓋内動脈の粥状硬化が多
く見られるが、近年の食事習慣の欧米化などに伴い、頸部動脈を原因とする
ものも増えている54。動脈硬化の進行する中高年に好発する。
心原性脳塞栓症は、心臓内(特に左房)に形成された血栓や、シャント性
疾患を介する静脈・右心系からの血栓が脳に飛来することによって生じる脳
梗塞である。もっとも頻度が高い原因疾患は心房細動、特に非弁膜性心房細
動である55。このほか、人工弁や、左房・左心耳内血栓、洞不全症候群、発
症 4 週間以内の心筋梗塞、左室内血栓、拡張型心筋症、左室壁運動消失、左
房粘液腫、感染性心内膜炎が高リスクの塞栓源となる。
ラクナ梗塞は、脳の細動脈病変による単一穿通枝領域の脳梗塞である。原
則としていわゆるラクナ症候群(純粋運動性不全片麻痺、純粋感覚性脳卒中、
運動失調性不全片麻痺、構音障害-手不器用症候群、感覚運動性脳卒中)を
呈する。高血圧を有する高齢者に好発し、通常直径 15 ㎜未満(急性期拡散
52

豊田一則ら. 脳出血・くも膜下出血診療読本. 中外医学社. 2016; 222

53

医療情報科学研究所. 病気がみえる vol.7

54

豊田一則. 脳梗塞診療読本第 3 版. 中外医学社. 2019; 121

55

豊田一則. 脳梗塞診療読本第 3 版. 中外医学社. 2019; 120

脳・神経. メディックメディア. 2017; 74

71