資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (82 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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その他の非心原性脳梗塞として、脳動脈解離や、奇異性塞栓症、播種性血
管内凝固症候群(DIC)、高安病、もやもや病などがある。
ウ
自然経過、治療、予後
アテローム血栓性塞栓症は、安静時に好発し、血管の狭窄が徐々に進行す
ることにより階段状、進行性に悪化するものが多いが、塞栓性の機序による
もの(頸動脈などの粥状硬化部にできた血栓の一部がはがれて塞栓子となり
脳動脈を閉塞させるもの)については、急激に発症することもある。一過性
脳虚血発作(TIA)の先行が 20~30%にみられる56。
心原性脳塞栓症は、突発的に症状が完成するものが多く、塞栓子により急
激に脳動脈が閉塞するため、側副血行路の発達が不良で皮質を含む広範な脳
梗塞となることが多い。意識障害、頭痛、嘔吐、失禁、けいれん発作などを
伴うこともあり、脳梗塞の臨床病型の中でもっとも重篤で予後不良である。
また、急性期の再発例が多い。
ラクナ梗塞は、近年の高血圧の管理により減少傾向にある。一般に症状は
軽く回復も早いが、多発すると血管性認知症やパーキンソン症候群の原因と
なることがある。
適応のある場合には、発症後できるだけ早期に、血栓溶解療法や血管内治
療(血栓回収療法)による閉塞血管の有効再開通を試みる。また、抗血栓療
法(アスピリンなど)、脳保護療法などの薬剤治療も行われる。急性期から
のリハビリテーションの実施も回復期の良好な改善のために重要である。
(5) 高血圧性脳症
ア
概念
急激な血圧上昇や持続的な高血圧が誘因となり、脳循環自動調節能が障害さ
れ、脳血管関門に破綻が生じ、血管透過性が亢進し発生する疾患である。脳毛
細血管内から血管外へ血漿成分が漏出して脳浮腫が起こり、頭蓋内圧が亢進す
る。頭痛、悪心、嘔吐といった頭蓋内圧亢進症状で発症し、進行すると意識障
害、痙攣が出現する。血圧の管理が普及した現在、高血圧性脳症はまれな疾患
となっている。
イ
成因
高血圧が引き起こす疾病である。長期にわたり、コントロールが不良な高血
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医療情報科学研究所. 病気がみえる vol.7
脳・神経. メディックメディア. 2017; 77-78
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