資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (87 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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得られないために機能不全に陥った状態)をはじめとする心不全のほか、心
破裂等の機械的合併症等がみられる。心筋梗塞は致死的な疾患であったが、
近年、検査法・治療法の進歩により急性期予後は著しく改善している。治療
は、初期に酸素、硝酸薬(ニトログリセリン)、塩酸モルヒネ(鎮痛薬)、ア
スピリン(抗血栓(血小板)薬)の投与等を実施する。その上で、早期(病
院到着から 90 分以内)に血流を再開させる再灌流療法を行うことが治療目標
となる。
急性心筋梗塞の急性期死亡率(30 日以内の院内死亡率)の経年変化をみる
と、MIYAGI-AMI Registry では 1979 年の 20%から 2008 年の8%と改善して
おり、東京都 CCU ネットワークでも 1982 年の 20.5%が 2000 年代には6%程
度でほぼ安定している。この予後の改善には、再灌流療法の普及が関係して
いるものと推定される。
(3) 狭心症
ア
概要
狭心症は、冠動脈の異常(基質的狭窄あるいは機能的狭窄)により、心筋
の需要に応じた酸素の供給不足から誘発される一過性の心筋虚血から生じる
狭心痛(胸部が締め付けられる等の胸部絞扼感など)を主徴候とする症候群
である。
労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、急性冠症候群に含まれる不安定狭心症に
大別される。
なお、急性冠症候群のうち、不安定狭心症と非 ST 上昇型急性心筋梗塞につ
いては、初療時にこれらを区別して扱うことがしばしば困難であることから、
初療時の診断・治療においては、両者をあわせて非 ST 上昇型急性冠症候群と
して扱われる64。
イ
成因
狭心症は、心筋の酸素需要の増加、酸素供給の低下あるいはその両者の組
み合わせで生じる。
労作性狭心症は、動脈硬化性の冠動脈病変により内腔狭小化がある場合、
一定以上の労作によって誘発され、安静により通常3~5分程度で消失する。
発作時の息切れ、呼吸困難感として自覚されることもある。
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日本循環器学会ら. 急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版). 2019; 12
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