資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (59 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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前記(エ)(47 頁)の調査に基づくと、1日 7.5 時間程度の睡眠が確保で
きる状態は、1日の労働時間8時間を超え、2時間程度の時間外労働を
行った場合に相当し、これが1か月継続した状態は、おおむね 45 時間の
時間外労働が想定される。
1か月おおむね 45 時間を超える時間外労働に従事していない場合には、
疲労の蓄積は生じないものと考えられ、また、それ以前の長時間労働に
よって生じた疲労の蓄積は、徐々に解消していくものと考えられる。労
働時間の長さに着目すると、このような場合には業務と発症との関連性
が弱く、1か月おおむね 45 時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、
業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できる。
なお、前記(ウ)(43 頁)で検討した疫学調査の結果(長時間労働と脳・
心臓疾患の関係について有意性を認めるものがあるが、調査や疾病によ
っては有意性を否定するものもあり、日本人を対象とする大規模な調査
も現時点では1件に限られること)やその研究の限界も踏まえると、当
該知見のみでは労働時間の長さ(量的な評価)のみで業務と発症との関
連性が強いと評価するには十分ではないと判断するが、労働時間の長さ
と就労態様(労働時間以外の負荷要因の質的な評価)を総合的に考慮し
て業務と発症との関連性が強いかどうかを判断する際には、当該知見の
内容を踏まえて検討することが適切である。
前記(ウ)の知見のうち、長時間労働と脳・心臓疾患の発症等との間に有
意性を認めたものでは、長時間労働を「週 55 時間以上の労働時間」又は
「1日 11 時間以上の労働時間」として調査・解析している。この水準は、
1日の労働時間8時間を超え、3時間程度の時間外労働を行った場合に
相当し、これが1か月継続した状態は、おおむね 65 時間を超える時間外
労働が想定される。また、支給決定事例において、労働時間の長さだけ
でなく一定の拘束時間などの労働時間以外の負荷要因を考慮して認定し
た事案についてみると、1か月当たりの時間外労働は、1か月当たりお
おむね 65 時間から 70 時間以上のものが多かったところである。このよ
うな時間外労働に加えて、労働時間以外の負荷要因で一定の強さのもの
が認められるときには、全体として、労働時間のみで業務と発症との関
連性が強いと認められる水準と同等の過重負荷と評価し得る場合がある
ことに十分に留意すべきである。
そのように労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮して業
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